これから先生になるあなたへ④同僚とのつながり|樋口綾香のすてきやん通信

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板書や指導のコツを伝授!樋口綾香の「すてきやん通信」

大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 『これから先生になるあなたへ』第4回は、同僚とのつながりの大切さについてのお話です。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

これから先生になるあなたへ④~同僚とのつながり~
イラストAC

これから先生になるあなたへ①~自己紹介のポイント~
これから先生になるあなたへ②~情報を得る手段~
これから先生になるあなたへ③~子供と出会う日~

自分を支えてくれる3つのつながり

「一人では生きていけない」とよく言いますが、仕事においても本当にその通りで、一人では、仕事はやっていけません。

私は、楽しく、充実したワークライフを送るために、3つのつながりを大切にしています。

それは、「子供とのつながり」「保護者とのつながり」「同僚とのつながり」です。

この3つのつながりの中で、今回は、「同僚とのつながり」について、詳しくお伝えします。

同僚とつながることで得られる力

子供と出会ったその日から、めまぐるしくいろいろなことが起こります。問題が起こるのは、初任であろうと、ベテランであろうと関係ありません。しかし、1~2週間も経てば、クラスの様子は変化してきます。なぜか経験の浅い自分のクラスは騒がしく、経験豊富な先生のクラスは落ち着き始めている、ということを感じ始めるのです。

このわずかな変化に気づいても何もしないで放っておくと、その差はあっという間に広がっていきます。重要なのは、クラスの様子を客観的にとらえられる力と気づいたときに行動できる力です。この二つの力を発揮するには、同僚とつながることが必要不可欠です。

クラスの様子を客観的にとらえる力

自分のクラスの様子を客観的にとらえられる力は、同僚の先生の学級経営に関心をもつことで、身についていきます。クラス全体の様子は、担任の先生の学級経営方針と大きくかかわり合います。一人ひとり先生の持ち味や信念は違っているため、関心をもって知ろうとすることで、自分の学級経営力も、授業のための技術も高まっていくでしょう。

子供たち一人ひとりに対して、どんな言葉かけをしているか、休み時間に何をしているか、授業中の声の調子、表情、立ち位置、板書のしかたに至るまで、観察することによって、子供たちに与える影響や先生の意図を感じ取ることができます。

気づいたときに行動できる力

わからないこと、うまくできないことがあったときは、「こんなときは、どうしたらいいのだろう」「どうやったらうまくいくのだろう」と考えますよね。解決するためにはどうしますか。本を読みますか? 自分で考えてやってみますか? 本を読むには時間がかかります。自分で考えたところで、よい方法が見つかるとは限りません。私が勧めるのは、「すぐに相談すること」です。

これを読んでいるみなさんは、相談することを「いちばん簡単な方法」だと思うかもしれません。でも、実際はそんなことはないのです。先生になってすぐの皆さんにとって、気軽に相談できる相手がいるとは限りません。先生方はみんな忙しそうに働いているかもしれません。はじめは相談できても、度重なれば遠慮する気持ちも出てくるかもしれません。でも、どんな状況であれ、「すぐに相談」してください。それが、「気づいたときに行動できる力」です。

雑談をしよう

社会に出ると、「『ほうれんそう』は大事です!」と言われます。「ほう」は報告、「れん」は連絡、「そう」は相談。一人ではできない仕事だからこそ、どれも大事なことなのは納得ですよね。

先ほど、「すぐに相談」してください、と書きました。これは、問題が小さいうちに対処できるようにしたいからです。手に負えなくなってから、問題が発覚するということは多くあります。これを防ぐのが、普段からの「雑談」です。

雑談は義務ではないので、緊張感がない状態で、日常の何気ないことを話すことができます。だからこそ、雑談の中でいつの間にか、「報告」「連絡」「相談」が含まれることがよくあります。雑談の中で、「その声かけは素敵だね」「その行動を子供がとっているときは注意したほうがいいかも」などと、初任者が意識していなかったことについて、評価や助言をもらえるのです。

同僚とは、何か特別なことがあったときだけ話すのではなく、普段から、挨拶ともう一言の雑談、休み時間に顔を合わせたときの雑談、放課後5分の雑談というように、声をかけ合い、その日の出来事を話すことを意識してみてください。きっといろいろな発見や気づきが得られますよ。

いちばん身近でもっとも成長させてくれる存在

隣のクラスのM先生は、何をするのもてきぱきしていて、格好よくて、憧れの先生でした。

1年目だった私は、授業ノートづくり、職員会議で配られる書類の整理まで、できるだけM先生の真似をしました。授業の前は、進め方を相談し、指導書をいっしょに読み、先に授業を進めてもらって、同じように進めていきました。

朝と放課後には、いっしょにお茶を淹れ、その日にすること、したことを話しました。どうしたら子供や保護者と関係をつくれるか、M先生の目指す学級像や、仕事への向き合い方も教えてもらいました。

本を読んだり、SNSを通して情報を得たりする方法もよいのですが、生き生きと仕事をしている先生は、いちばん身近でもっとも自分を成長させてくれる存在です。M先生のほかにも、若い先生が気をつけないといけないことを教えてくれた先生、仕事だけじゃなくプライベートでも仲良くなった先生、悔しいことも嬉しいことも何でも話し合えた同期の先生、私の周りには、信頼できる同僚がたくさんいました。

皆さんもぜひ、同僚とのつながりを大切にしてくださいね。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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