これから先生になるあなたへ②情報を得る手段|樋口綾香のすてきやん通信

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大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 新シリーズ、『これから先生になるあなたへ』が始まりました。今回は、「適切に情報を得る手段」についてお伝えします。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

これから先生になるあなたへ②~情報を得る手段~
イラストAC

これから先生になるあなたへ①~自己紹介のポイント~

「百聞は一見にしかず」とは言うけれど……

前回は、準備の必要性や、自己紹介のポイントについてお話ししました。これから先生になる方が安心して働き出せるように、今回は、「情報を得る手段」についてお伝えします。

現場に出て、自分の目で見たものが、事実です。しかし、現場に実際に出るまでに、少しでも情報を知っておきたいと思うのは、当然のことでしょう。

今は、様々なメディアを通して、自分が知りたい情報を簡単に手に入れることができます。自分が勤務する自治体についても、教育委員会や学校のホームページを通して知ることができるのをご存じでしょうか。

知っておくとよいこと

では、どのようなことに注目して閲覧すればよいのでしょう。

まだどの学校に勤めるか分からない場合、次のようなことを知っておくのがおすすめです。

  • 自治体の規模
  • 教育方針
  • 全国学力状況調査の結果
  • 導入しているICT機器の種類 など

これらは、私たちの働き方と大きく関わり合います。

たとえば、自治体の教育方針は、学級経営や授業づくりに関わってきます。どんなことを大切にして学級や授業をつくっていくのか、ていねいに初任者通信などで発信している自治体もあります。見ておくとイメージを掴むことができるでしょう。

また、それぞれの自治体で導入しているICT機器の種類を知ることは、事前に知識を得たり、自分用の仕事道具を選んだりすることにつながります。

私が勤務している自治体では、教師も子供も一人一台のiPadが配付され、学習支援ソフトとしてロイロノートが導入されています。事前にiPadやロイロノートの使い方を知っておけば、現場で一から教えてもらうよりもスムーズに仕事を始めることができるのは、言うまでもありませんね。ロイロノートの他にも、ミライシードやSKYMENU、MetaMoJi Noteなど、学習支援ソフトはたくさんあります。使い方については、それぞれの会社のホームページで紹介されていますし、無料のオンラインセミナーが開催されていることも多くあります。私の場合は、個人でもiPadを使用しています。同じものを使って親しんでおくことで、環境にすぐに慣れることができます。

SNSを効果的に利用する

今、SNSは誰でも当たり前のように利用する情報伝達手段となっています。教員でも多くの人が利用しています。コロナ禍の影響で、この1〜2年でオンラインセミナー、オンライン研究サークル、オンラインサロンなど、時間や場所を問わない学びの場が増えました。

ただ、SNSには、危険な面があることも頭に入れておかなければいけません。公立校の教員は公務員であり、守るべき服務義務があります。地方公務員法に定められている「身分上の義務」は、次の5つになります。

信用失墜行為の禁止
秘密を守る義務
政治的行為の制限
争議行為等の禁止
営利企業等の従事制限

SNSを利用することによって、これらの服務義務に違反すると、罰則が課せられます。

例えば、教員であることを明らかにした上で、嘘の情報や人事の内容を流したり、子供の写真や作品、ノートなどを許可なくアップしたりしてしまう人がいます。これは、信用失墜行為や守秘義務違反になるだけでなく、肖像権や著作権の侵害にも当たります。軽い気持ちで発信したことが、大きな事件に発展する可能性があるのです。とても恐ろしいことですよね。SNSは慎重に利用すべきです。

一方で、SNSは気をつけて利用さえすれば、とても有効に働くものです。

私はInstagramを利用していますが、そこでは「今」、全国で行われている多くの実践に触れることができます。「#小学校の先生」、「#教育書」、「#国語」などで検索すれば、さまざまな実践や、参考になる物事について知ることができるのです。

ただ、SNSから得られる情報は、「知らない人の実践」であることを頭に入れた上で受け取ることが大事です。発信者の前にいる子供たちを知ることはできません。載せられている情報だけでは、発信者の教育的意図を全て汲み取ることもできません。また、その実践が、うまくいったものなのか、そうでないのかも確かめようがありません。実践を真似る場合は、自分や目の前にいる子供たちに合うものなのか、十分に考えてから取り入れるようにしましょう。

教育書から学ぶ

手軽に情報を得る手段として、SNSを効果的に利用することをお伝えしましたが、現場に出るまでの学び方としていちばんおすすめしたいのは、教育書を読むことです。

私自身、情報の流れるスピードが速いSNSでは、一つの投稿について時間をかけて考えるということはあまりありません。一方で、教育書を読むと、たくさんのインスピレーションを受けながら、じっくり考えることができます。

教育書には、SNSでは語られることのない、実践の裏にある教師の思いや子供の実態など、経験を積み重ねた先輩教員の声がたくさん詰まっています。筆者の考え方を知ることで思考が刺激され、「自分だったらどうするか」「自分には何ができるか」と想像を膨らませながら、考えを深めていくことができるのです。

働き始めると、一気に余裕がなくなります。日々やらなければいけないことに追われ、本をゆっくりと読む時間がもてないかもしれません。今のうちに、ぜひ、少しずつ読み進めてほしいと思います。

WEBサイト「カタリスト for edu」では、様々な分野で教育に携わる先輩方からの「初任者へおすすめの一冊」が紹介されています。ぜひ、参考にしてみてください。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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