「学校評価」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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学校は学校運営や教育活動について自らの取り組みを評価し、保護者や地域にその情報を公開することが求められています。よりよい学校にすることが目的であり、単に評価するだけでなく公開してアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことが大切です。

執筆/茨城大学教授・加藤崇英

みんなの教育用語

自主的・自律的な学校マネジメントのために

学校はいま、自主的・自律的で特色のある学校教育活動の展開を期待されています。このことは、学校が自主的・自律的な経営(マネジメント)をする必要があるということです。

そのためには、学校はまず、自ら学校教育目標を定め、それに基づく具体的な教育計画を立案し、実施しなければなりません。それとともに、その実施状況について自己評価を行い、その結果を保護者や地域住民などの学校関係者に説明して評価を受けます。つまり、アカウンタビリティをしっかり果たすことが求められているわけです。

自己評価をするためには、学校の目標や計画の達成についての教職員による評価のほかに、児童生徒や保護者にアンケートをして学校をどう評価しているかを調べることも必要です。

このような学校評価の一連の取り組みをとおして、学校の自主的・自律的なマネジメントが形成されることになります。

学校評価に関する法規定

学校評価については、すでに小学校設置基準(2002年施行)等において、自己評価を実施し公表するよう規定されていました。

そして2007年には、学校教育法および学校教育法施行規則の改正により、「自己評価」「学校関係者評価」「設置者への報告」を学校評価制度の基本とすること、また保護者・地域にその情報を提供することで説明責任を果たすことが定められました。

学校教育法の規定は次のとおりです。

第42条 小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。

第43条 小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。

学校教育法

学校教育法施行規則には、評価を実施するにあたっての具体的な取り組みが定められました。

それぞれの小学校は、実情に応じて適切な項目を設け自ら評価を行ってその結果を公表すること、同時に保護者や学校関係者による評価とその公表を行い、かつその結果を学校の設置者に報告するというものです。

もちろん、以上の規定は幼稚園、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校等にもそれぞれ準用されます。

『学校評価ガイドライン』

2006年、文部科学省は各自治体が実施している学校評価の実態を踏まえ「全国的に一定水準の教育の質を保証しその向上を図る」ために『義務教育諸学校における学校評価ガイドライン』を策定しました。

そして数度の改訂を経て、2016年3月、『学校評価ガイドライン〔平成28年改訂〕』が作成されました。そこには、学校教育法における規定を遵守するために取り組むべき課題が示されています。

「学校評価の目的」については、以下のように記されています。

① 各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、目指すべき目標を設定し、その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより、学校として組織的・継続的な改善を図ること。

② 各学校が、自己評価及び保護者など学校関係者等による評価の実施とその結果の公表・説明により、適切に説明責任を果たすとともに、保護者、地域住民等から理解と参画を得て、学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めること。

③ 各学校の設置者等が、学校評価の結果に応じて、学校に対する支援や条件整備等の改善措置を講じることにより、一定水準の教育の質を保証し、その向上を図ること。

学校評価ガイドライン〔平成28年改訂〕 より

学校評価の課題

学校評価の課題は、学校運営の多方面にかかわっているので一概に特定することはできませんが、以下の2点を指摘することができます。

第1は、学校評価とカリキュラム・マネジメントの関係がしっかりおさえられているか、ということです。

新学習指導要領ではカリキュラム・マネジメントの確立が課題となっています。そこでは、教育課程の編成・実施・改善が効果的になされることが期待されていますが、これらは教育活動や学校運営の評価・見直しとも大きくかかわってきます。つまり、学校評価は、カリキュラム・マネジメントと関連づけながら実施することが期待されており、新学習指導要領においても強調されているところです。

第2は、学校が保護者・地域との信頼・協力の関係を構築するための一つの方策として学校評価を機能させているか、ということです。

コミュニティスクール(「学校運営協議会」を設置している学校)は、現在、多くの自治体において運営されるようになってきました。学校運営協議会においては、学校長は、学校運営の方針や計画、実施の状況等について、参画している委員、つまり保護者や地域住民に説明し、適宜、意見も受けます。こうした説明を円滑化し、また協議を活発化することが学校評価を機能させていくために必要であるといえます。

学校評価はただ実施すればよいというものではありません。よりよい学校にするために、学校運営の改善を目指し、教育活動を向上させるために行うものであることを忘れてはなりません。

▼参考文献
文部科学省『学校評価ガイドライン〔平成28年改訂〕』2016年
福本みちよ編『学校評価システムの展開に関する実証的研究』玉川大学出版部、2013年
木岡一明『新しい学校評価と組織マネジメント』第一法規、2003年
中留武昭「アカウンタビリティ」(安彦忠彦他編『新版 現代学校教育大事典』ぎょうせい、2002年)

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