みんな納得!を目指す低学年の話合い活動
低学年の話合い活動において、みんなが納得することができる合意形成をするためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・源憲一
目次
「みんな納得!」をめざして
話合い活動では、学級生活に関わること、クラスのみんなで取り組みたいことについて話し合い、合意形成し、解決方法などを決めます。みんなが納得することができる合意形成をするためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょう。
また、一年生では、1単位時間の話合い活動の経験も大切ですが、話し合って決めることのよさや話合いの方法を理解するためには、短時間の話合い活動をたくさん経験することも大切です。
低学年の話合い活動では、みんなで話し合って決めること、そして、合意形成して決めたことを実践するよさを経験できるようにしましょう。
みんなの思いを生かして合意形成する
話合い活動(学級会)は、自分もよくて、みんなもよいと思うことができるように合意形成する場です。問題の解決方法などを決定する場面では、安易に多数決で結論を出すのではなく、少数意見にも耳を傾け、よさに気付くことができるようにします。
少数意見のよい点に目が向くような指導を
たとえ少数であっても、みんなが納得する結論を導き出すために大切な意見があります。その意見のよいところを見付けるようにし、よりよい方法をみんなで話し合い、考えられるように、具体的に助言を加えるようにしましょう。
- 少数意見を大切にする学級の雰囲気づくりをする。
- 少数意見の子供も納得できる話合いをする。
友達の考えのよさに気付くように
学級会の板書例
解決方法などの決定をする際の配慮
みんなで取り組む方法などを決定した結果、「自分の意見が採用されなかった」という子供もいることが考えられます。
そんな子に対しては、教師が声をかけたり、みんなの前でその子の意見を価値付けしたりするなど配慮しましょう。
困ったら、実際にやってみよう!
低学年の子供は、自分の意見を譲ることや、友達の意見のよさを素直に認めたりするのが難しいことがあります。そんなときは、出ている意見や考えを話合い活動のなかで実際にやってみるのも一つの方法です。
実際にやってみることで、自分の意見や考えを友達に理解してもらうことができたり、友達の考えを理解したり、そのよさを素直に認めたりすることができます。
実態に合わせて「即実践」。そのために話合い活動を行うときには、即実践することも想定して場を設定しておくとよいでしょう。
決まったことはしっかり掲示、みんなで実践!
合意形成した後、司会が決まったことを確認したり、黒板記録の係が決まった考えに印(決定マークを貼る、チョークで〇を書くなど)を付けたりして、決まったことをはっきりさせることが大切です。学級会コーナーに掲示して常に確認できるようにし、活動への意欲を高めましょう。
また、話合いで取り上げられなかったことについてはどのようにするか、確認しておきます。
学級会の板書例では、今回のクラス運動会では取り上げられなかった「ともだちカルタ」は、雨の日の休み時間にみんなで遊ぶことになっています。
どの子の意見も、みんなで合意形成するのに 生かされているということを、子供自身が感じることができるように支援していきましょう。
多数決で決める?
安易な多数決は避けたいものです。どうしても多数決になる場合には、提案理由や話合いのめあてを大切にして、公平な気持ちで決めることができるよう指導しましょう。
みんなの意見を十分に聞き合い、一人ひとりが自分の考えを決定する理由がはっきりとしていることが大切です。
- ポイント①全員が参加している
- ポイント②勝ち負けではない
- ポイント③実践へ向けてきちんと決める
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2020年10月号より