新型コロナウイルス禍の今こそ、コミュニケーション力を【菊池省三流「コミュニケーション科」の授業 #3】


教師と子ども、子ども同士のコミュニケーション不足こそ今の学校の大問題! 菊池省三先生が、1年間の見通しを持って個の確立した集団、考え続ける人間を育てる「コミュニケーション科」の授業の具体案と学校管理職の役割を提示します。
第3回「コミュニケーション科」の授業は、<新型コロナウイルス禍の今こそ、コミュニケーション力を>です。
目次
“教師主導の説明型の授業” に戻る危険性
2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大で、政府は1都6府県に緊急事態宣言を出しました(4月16日に全国に拡大)。その後、いくつかの県も独自に緊急事態宣言を出し、学校の休校措置が継続しています。卒業式や入学式、始業式のみ登校し、家庭での自習を続けている現状に頭を悩ませている先生方から、私の元にも様々な悩みが寄せられています。「授業ができない」「宿題等の提出の仕方が煩雑」「家庭訪問等のあり方をどうするか」「オンライン授業をどう行えばいいか」──日々の対応に追われている先生方の戸惑いは深刻です。
臨時休校中の家庭学習で身に付いていることが確認できれば、学校再開後に改めて対面授業で教える必要はないと、文部科学省が都道府県教委などに通知しました。学校が再開すれば、遅れた学習を取り返そうと、ひたすら教科書を進める授業が始まることでしょう。学校が再開されても「3密」を避けることから、対話的な学びを自粛するという通知も出ています。こうしたことから、“教師主導の説明型の授業” に再び学校現場は戻るのではないかということに危機感を抱いています。
学校に来られない子どもたちのために、多くの学校や先生方が、オンライン授業やプリントづくりに懸命です。確かに必要なことではありますが、それが全てではありません。そもそも、オンライン化したその場しのぎのいつもの授業を、オンラインゲームやYouTubeの刺激的な画像に慣れた子どもたちは果たして興味をもって見るでしょうか? この非常事態です。NHK教育テレビやネットで発信している優れたプログラムをむしろ活用するぐらいの気持ちでいてもいいのではないでしょうか。
学校から課題を出すのであれば、「○○について調べてみよう」「話し合いをするとき、どんな声で話すといいと思うか」など、自分で調べて答えを見つける探究型の学びを経験させましょう。テーマと締め切りを決め、レポートにして提出させます。もちろん、まとめ方は子どもに任せます。納得解のテーマにすることで、一人ひとりの答えが違ってきます。クラスの答えをまとめてコピーして配ったり、学校が再開したらみんなの答えを先生が紹介してもいいでしょう。「へえ、いろんな考え方があるんだな」と子どもたちは実感できます。離れていても、コミュニケーション力を培うことはできるのです。