子供たちにうまく声がけできない【現場教師を悩ますもの】

「教師を支える会」を主宰する『現場教師の作戦参謀』こと諸富祥彦先生による連載です。教育現場の実状とともに、現場教師の悩みやつらさを解決するヒントを、実例に即しつつ語っていただきます。
目次
【今回の悩み】子供たちを前向きにさせる声かけとは? ほめ言葉の語彙も少なくて…
子供たちをほめて前向きな気持ちを引き出したいと思うのですが、どうしたらその子に響くような言葉をかけてあげられるでしょうか。自分の語彙が少ないのが悩みです。
また、子供のいいところを見つけてあげられていないのではと、自信がなくなってしまいます。
(公立小学校教諭・20代、教職年数:2年)
信頼と期待のメッセージを前提に、状況に応じて関わっていく
先生がすごく熱心で、丁寧に子供たちを見てあげていることが伝わってきます。20代の小学校の先生とのことですが、こういう意志を持っている先生は必ず力が伸びます。
では、どうしたらいいか。この方も気づいているように子供は一人ひとり違うし、置かれている状況も違います。すごく意欲を失っていることもあれば、ちょうど今、少し前を向いている状態のこともある。その状況に応じて声かけをしていくことです。
意欲を高めるための言葉かけとしては、アドラー心理学の「勇気づけ」が一番有益だと思います。つまり、「どうしてできないんだ」と叱責するのではなく、「あなたならきっとできると思う」という信頼と期待のメッセージを込めて、子供たちの状況に応じて声をかけるのです。昔の先生のようにすごく厳しくしたり、やさしくしたり、ころころ態度を変えるようなテクニックに走り過ぎないことです。
子供をコントロールしようとすると、だいたい失敗します。子供の様子を見て、深く関わってほしい感じのときはぐっと関わって、ちょっと放っておいてほしい感じの時には適度に放っておきつつライトに関わる。相手の様子を見ながら、距離感をうまくつかんで関わっていくのがポイントです。