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LD(学習障害)について理解し、支援していこう

2019/6/22

読み書きが苦手など、特定の分野が苦手な子はいませんか? その子は、LD(学習障害)の傾向があるのかもしれません。LDは問題行動が少なく、見逃されがちな発達障害です。LDの子が発するSOSをキャッチし、支援しましょう。


麻生崇子さん・・・武蔵野市立井之頭小学校主任教諭。気になる子が複数いるクラスを任され、「何とかしてしまう先生」として有名。若い先生からの相談をよく受ける。
井上 馨さん・・・特別支援教育士スーパーバイザー。武蔵野市立井之頭小学校主任教諭武蔵野市内4校の特別支援教室(通級)を巡回指導中。個別ケースにフィットした具体的なアドバイスに定評がある。
高山恵子さん・・・ NPO法人えじそんくらぶ代表。『特性とともに幸せに生きる』(岩崎学術出版)など著書多数。診断名にこだわらず、その子の特性を理解し、一緒にうまくいく方法を考える指導を実践・提唱中。

LDは「認知」のどこかに不具合がある状態

LDの基本的な特性は、知能全般に問題がなくても、6つの能力(聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する)の1つ以上に課題がある状態のことです。

最初にお伝えしたいのは、こうした特性は、脳の機能である「認知」のどこかに不具合が生じている状態であるということ。つまり脳のシステムの問題なので、本人としてもいかんともしがたいのです。ここを理解しないで接してしまうと、「やる気がない」とか、「努力が足りない」と感じてしまうこともあります。

「学習スタイル」を大切にする、という考え方

では、どうしたらよいのでしょうか? まずは学習スタイルに着目してほしいと思っています。人には利き腕があるように、優位に働く感覚があります。それは、大きく分けると、「視覚型」「聴覚型」「体得型」の3つです。

たとえば、英語でappleのスペルを覚える際、書いて覚えることが一般的ですが、「エー・ピー・ピー・エル・イー」と音で覚える方が定着する子もいます。

教師が一番効率的だと思っている「今までの指導方法」が、すべての子にとって効率的であるとは限らないのです。

最近は、上手に教えられないと、「自分はダメな教師だ」と思ってしまう方も多いようです。けれども、それは、教師が悪いわけではなく、子供が悪いわけでもなく、「指示の出し方」や「学習方法」といったやり方にミスマッチが起こっているだけです。

そんな時、「人には優位感覚があり、学習スタイルにも個人差がある」という視点があると、「この指示で、伝わる?」「この学習方法で大丈夫?」と、思考を深めていく一助となります。

高山先生が作成に協力したiPhoneアプリ「えでゅけルン」で、ご自身の優位感覚をチェックし、「学習スタイル」という概念に親しんでみませんか?

「えでゅけルン」は、iPhone でApp storeよりダウンロード可能(Androidは未対応)。

説明がまったく伝わらない子

説明がまったく伝わらない子
先生「太陽光パネルで走る自動車を使い、3つ実験をします」
Aくん「???」
Bくん(手遊び始める)
先生「ん!?」
先生「黒板、見てね~」(手順を書いたから大丈夫)
Aくん「あれ?」(作業ができない)
先生(どうしたらいい?)
イラスト/畠山きょうこ

何で、説明が伝わらないの?

あんなに一生懸命指導案を練ったのに、何でここまで伝わらないの。私の指導案の作り方、おかしい?

矢印

●綿密な指導案では対応できないことも

トンチンカンなことが起こる。それは、指導案作成とは別の話です。「そういうことがある」前提を持っておくと、気が楽です。

手順を書き出してもダメだった…。

「手順を書いておくとよい」と習ったから書いたのに、それでもダメだった。どうしたらよいのかしら?

●「口頭だけ」と「書き出し」AくんとBくん、どう違う?

「口頭だけの指示」と、「書面がある指示」、そこでインプットに違いが出てくる子もいます。それを観察できるようになるとよいですね。

特性 最初にチェックすべきは、情報インプットの状態

LD傾向があるかも? と感じたら、最初に着目していただきたいのは、情報のインプット状態です。

「理科の実験、驚くことがよく起こります。それを前提として、説明をする際に、やるべきことを別紙に書き出しておくなど視覚指示も併用します。説明では伝わらなかったAくんは視覚指示だと伝わるのであれば、Aくんの課題は『聞く』ことだと理解できます」(麻生先生)

支援策 情報は小分けに伝える

「情報は、できるだけ小分けにして伝えるという意識を持っておくとよいでしょう。例えば、①と②の説明をした後に作業し、作業後、③と④の説明をするイメージです。聞けない原因が、情緒不安などLDでない場合もあります。『聞きなさい』ではなく、『なぜ、聞けないのか?』という問いを、ご自身に返してみてください」(井上先生)

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