ぬまっち流「自由研究」指導のポイント|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
「ダンシング掃除」や「勝手に観光大使」などのユニークな方法で子供たちの「やる気」を引き出すカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。今回は、夏休み前にやっておきたい「自由研究」の指導のポイントについて聞きました。
目次
なぜ「自由研究」で困る子が多いのか
夏休みの宿題の定番「自由研究」。
正直、子供も保護者も困っている人が多いのが現状だよね。
「自由にやってもいい」と言われているのに、イヤイヤやらされている様子も見受けられるので悩ましい。
なぜだろう。
理由その1「そもそも研究したいと思っていないから」。
理由その2「自由にやっていいと言われるので、何をやってよいのか迷ってしまうから」。
だから、工作キットを完成させただけだったり、慌てて前日に、夏休みの旅行の写真を貼り付けただけの旅行記を作成したりする子が多いのではないだろうか。
でも、これは仕方がないと思っている。
なぜなら、「研究の方法」を学校でちゃんと学んでいないから。
ボクがアメリカの大学院で修士をとったときには、研究をしたり、研究論文を書く前に、論文の書き方や研究の仕方を学び、そのための単位を取る必要があった。
大学院生ですらそのような手順を踏んで研究を進めるのに、小学生にやり方も教えず、「とりあえず自由に研究してみよう」と言われても、困るのは当然かもしれないよね。
「自由研究」のやり方、手順を具体的に説明する
ボクは子供たちに、まず「自由研究のやり方」を説明するようにしている。
例えば以下のように自由研究の流れや方法をレクチャーしてから、取り組ませるようにしている。
【自由研究の進め方】
1)目的を立てる
(なぜこの研究をするのか。疑問に思っていることは何かをはっきりさせる)
2)仮説を立てる
(予想せずに始めるとただの調べもの学習になってしまうので、仮説は必ず立てる)
3)情報収集・過去の文献を研究
(何を使って調べるのか考える)
4)研究方法を考える
(どのように調べていくのか、どのように記録するのかを考える)
5)結果
(調べた結果、どうだったのかを簡潔に書く)
6)考察
(仮説と結果を比較し、結果についてどう思ったかを書く)
自由研究の題材選びのポイント
自由研究のテーマや題材の選び方を指導しておくこともポイント。
テーマや題材を選ぶときに、以下の3点を押さえておくと取り組みやすいと思うよ。
- 自分一人でできること。
- 疑問に思ったら何度でも繰り返しできること。
- 身近な話題、身近な疑問を取り上げること。
まず、保護者がいないとできないような題材は避けたほうがいいよね。
また、「あれ? どうなってんだろう?」「もしかするとこうなんじゃないかな?」と思ったら、いつでも繰り返し自分で調べられるもののほうが、自分なりの発見が多くなるのでおすすめだ。
さらに、「身近な話題や身近な疑問」の中から「自分が知りたいこと」を探すと、「もっとよく知りたい。もっと調べてみたい」という気持ちも強くなり、研究が深まると思うよ。
ボクのクラスでこのように子供たちに説明したところ、子供たちから挙がった題材は
「出川イングリッシュはなぜ通じるか」
「私をやる気にさせる言葉」
「シュウマイワールドカップ」など。
そして、「旅行」は題材に不適なことにも気付くことができた。
1人ではいけないし、繰り返せないから。
せっかくの夏休み。ぜひ自由研究を通して、「調べるって面白い」「学ぶって楽しい!」「もっといろんなことを知りたい」と、子供たちの好奇心の扉を開くような経験をさせてあげたいもの。
ぬまっちらしい自由研究のアイデア満載の本もあるので、よかったら参考にしてみてください!!!
【自由研究に関する著書】
「満点ゲットシリーズ ちびまる子ちゃんの自由研究」(集英社)/(著)さくら ももこ、沼田 晶弘、(株)さくらプロダクション、マスヤマ フミコ
「自由研究できたえる!! ホンモノの考察力」(イースト・プレス)/沼田晶弘 (監修)、永井啓太(イラスト)
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵