子供になめられないためにはどうしたらいい?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
「ダンシング掃除」や「勝手に観光大使」などのユニークな方法で子供たちの「やる気」を引き出すカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。先日行われたオンラインセミナー(2021年3月30日実施)では、後半参加者から寄せられた質問に、一問一答形式で答えてもらいました。その質疑応答の内容を、3週にわたってお届けします。
目次
質問1:一学期、子供たちの信頼関係ができていない中、子供になめられないために、どう毅然とした態度をとればよい?
ボクは、子供たちの前で常に教師が「毅然とした態度」を取らなければいけないとは考えていない。
ただし、正しいことは正しい、間違っていることは間違っているとしっかり伝える必要はあるよね。
この時に、先生の言うことが気分によって変わったり、誰かに何か言われたからといって主張を変えたりすると子供との信頼関係が崩れてしまうので、注意が必要だと思う。
さらに、怒るときに「出て行きなさい!」と言ったはずなのに、本当に出て行ってしまうとまた怒るというような、子供を混乱させるような叱り方もよくないよね。
子供たちは敏感なので、自分の軸をブレないようにすることが大事だと思うよ。
質問2:昨年度崩壊したクラスの担任になった場合は?
ボクなら、昨年度なぜ学級崩壊したのか、その理由を考える。
多くの場合は、「先生の話に工夫が足りない」など、先生側に理由があることが多い。
それなのに「あのクラスの子供たちは、全然担任の話を聞いてくれなかった」などと子供のせいであるかのように話しているのを聞くときがあるよね。
確かに子供にも問題があるのかもしれないけれど、子供のせいにしても問題は解決しないし、教師としてのスキルアップにもつながらない。
子供が話を聞いてくれないなら、子供が話を聞きたくなるような話し方を工夫する必要があるはず。
だからこそ、まずは学級崩壊の理由を探り、立て直し方を考える。
もし自分で理由がわからなければ、子供たちに直接理由を聞いてみるのもよいと思う。
例えば、クラスの中に誰かが間違うとみんなで寄ってたかって笑ったり、責め立てたりするような雰囲気があり、それが学級崩壊の大きな要因だと気付いたら、ボクなら子供たちにそういうクラスの雰囲気をどう思っているのか聞き、解決方法をみんなに話し合わせてみるだろう。
ほとんどの子供は、クラスが学級崩壊した状態ではいたくないと思っているはずだし、もっとよいクラスにしたいと願っているはずなので、きちんと原因を見極め、「みんなは本当はどうしたいのか」「どうすれば解決できるのか」、子供たちの意見を交流させながら、教師も一緒に考えてあげることが大切だと思うよ。
質問3:子供に対する「怒り方」がわからず、教育実習に行くのが怖い
怒り方がわからないなら、怒る方法を考えるより、「怒らなくてよいようにするためにはどうすればよいのか」を考えるほうがよいのでは? そもそも「怒る」必要はない。子供が間違ったことをしたら、必要な場面で、「それは違うよ」と指摘したり、「それはダメだよ」と注意するだけ。
注意しなければならないことはあっても、無理に怒らなければならないことはないはずだから、「怒り方」は無理に身に付けなくてもいいんじゃないかな。もし子供に注意するのも苦手なら、自分が得意な別の方法で正しい方向に子供を導けばよいと思う。
苦手を克服するのか、他の方法で解決するのかは考え方次第。
ただし、やっぱり学校では子供に注意したり、指摘しなければならない場面はたくさんあるから、ボクも後でふり返り、「言いすぎたかな」「もっと違う言い方をすべきだったかな」と感じて落ち込んで帰ることはよくあるよ(笑)。
でも、クヨクヨするのではなく、「じゃあ明日どうフォローしようかな」と思考を切り替えるようにしている。子供との接し方は、やはり体験して試行錯誤しながら覚えるしかない。不安もあるだろうけれど、「フォローすれば大丈夫」と考えれば、少しは気持ちも楽になるんじゃないかな?
- ↑メールアドレスだけで、カンタンに投稿できます。
- いただいた内容を一部引用、要約してサイトに掲載させていただくことがあります。
沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵