いま子供たちに必要な「金融教育」とは?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

子どものやる気を引き出すユニークな実践が話題の沼田晶弘先生。
今回は、「小学生にいまどんな金融教育が必要だと思いますか?」という質問に答えていただきました。

目次
子供は「物の価値」ではなく、「物の値段」を基準に判断しがち
子供にも金融教育は必要だよね。
なぜなら日本では、お金の価値や、お金を稼ぐという感覚を知らされずに育ってしまう子供があまりにも多いと感じるから。欧米に比べて,お金の話をするのは良くないという空気がある気もしている。
だから子供たちは、「ジャガイモ1個85円」と書いてあるのを見ると「安い!」と言ったりする。
実際に通常のスーパーの相場で考えると、「ジャガイモ1個85円」は決して安くはない。それなのになぜ子供たちは安いと言うのか。それは、85円という値段しかみていないから。
つまり、子供たちは「物の値段」を基準に高い・安いを判断しがちで、「物の価値」に目を向けることは少ないんだ。
さらに、消費税については知っていても、ローンや利子については、それが何を意味するのか知らない子が多い。なぜなら、大人がなぜ貯金をするのか、なぜ家を買うときにお金を借りる必要があるのか、そしてなぜ利子がつくのか、学校でも家庭でも教えてくれる機会があまりにも少ないからだ。
「家のローンはいくら?」「いまどれくらい貯金があるの?」と子供に聞かれても、答えることをためらってしまう保護者も多いだろう。
実際に金額を言う必要はないけれど、お金は湯水のごとく涌いてくるわけではなく、お父さんなりお母さんが1か月働き、その労働に対する対価として給料が支払われていることや、資産運用をすることでリスクを分散していること、さらに日本経済を回すことにつながっていることなどを教えることは重要なことだと思う。
日本の子供は「お金の価値」を体験として学ぶ機会が少なすぎる
子供たちが社会に出たとき、「お金」との付き合いは決して避けて通れないものだ。
だからこそ子供には早いうちから、「お金の価値」を学ばせるべきだと思う。
海外では貨幣の概念やお金の管理の仕方、どうやってお金を稼ぎ、資産運用をするのかといった金融教育を学べる仕組みが整っている国も多い。
ところが日本の学校では、金融教育は重要としながらも、実際に金融教育ができる教師は少なく、さらに利益を出す経済活動を学校で体験することは難しい。
個人的には、学校は社会性を育む場でもあるのだから、本来は経済活動について学び、自分なら具体的にどうやってお金を稼ぎ、運用するのか考え、体験しながら健全な経済感覚を身に付けるべきだと思う。
健全に利益を得る仕組みや方法を知らないまま社会に放り出されてしまうと、労働力に合わない賃金で搾取されたり、逆に安直に高額なローンを組んだりしてしまうことにもなりかねないからだ。