【小一・小二】学習指導要領を踏まえた「三学期の通知表」の書き方
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今年度は新型コロナの影響があり、三学期の通知表の評価に難しいところがあるかもしれません。学習指導要領をベースにコロナ下での視点も合わせ、保護者に理解と協力を得る記入ポイントを紹介します。
執筆/東京都公立小学校校長・吉藤玲子
目次
三学期所見の留意点
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、十分な活動ができなかった教科もあると思われます。見学・体験学習や遠足などが中止になった学校も多いのではないでしょうか。例年、行事などで見られる変容を書くのが難しければ、1年間の学習を通して、成長が見られた点に目を向けてたくさんほめてください。特に二年生から三年生になる場合は、クラス替えなどがあり担任が代わる場合が多いのです。ぜひ担任として1〜2年間続けて見てきた子供の変容を記入しましょう。
一年生の学習
国語科では、1年間の思い出の作文を書いたり、話したりします。長く書いたり、話したりすることをめざすのではなく、順序よく伝えることが上手にできた場合はほめてあげましょう。
算数科では、大きな数を考えるとき、10のまとまりに着目していきます。お金の計算や生活の中の具体物を例にとって考え方が示せたときなどその気付きを記録しておきましょう。
生活科では、季節の締めくくりとして冬の様子を観察します。昨今、日常生活の中で食べ物などを通して季節を感じにくくなってきていますが、ぜひ意識して季節の特徴に気付かせたいものです。朝のスピーチや帰りの会のつぶやきなども記録しておきましょう。二年生では、「あそび名人」など、日本の伝統的な遊びについて学びます。地域のお年寄りからいろいろと教えてもらったり、教えてもらったことを今度は、幼稚園や保育園の年長さんに伝えたりする交流活動もよく行われます。コロナ禍の中ですので、交流も難しいかもしれませんが、クラスの友達以外と接したときにその子供のよさが発揮される場合もあります。注意深く見ていきたいものです。
生活面においても1年間の自分の成長をふり返る場面が出てきます。自分は、1年間で何をがんばったのだろう、どんなことができるようになってきたのだろう、まだわがままなところがあるから直したほうがよいなというように、自分のことを自分でふり返ると次にやるべことの見通しがもてます。子供が自分の成長に気付けている場面や文章を見付けたら、たくさんほめてあげましょう。
二年生の学習
すべての学習は、三年生につながっていきます。三年生になると、グループで活動したり、意見を発表したりする場面も増えてきます。また子供も成長して友達関係が幅広くなります。その準備段階として二年生三学期の所見はていねいに記述したいものです。
国語科の学習の中で、書写の時間があります。三年生になると毛筆が入ってきます。その前に硬筆できちんと「とめ」「はね」の書き方ができていれば、ぜひ伝えておきましょう。硬筆の学習が基礎になって筆で書く学習につながります。
算数科では、九九の暗唱は、三年生でのわり算の学習に欠かせません。まだ身に付いていない子供がいたら、家庭での学習もしっかり行ってもらうように伝えたいものです。
生活科では、身の回りの物で作成する「おもちゃづくり」に挑戦したり、自分の成長をふり返って「こんなに大きくなったよ」とまとめたりします。どちらも発見の多い活動です。子供の気付きを記録して、その子らしい発言を所見に書くと、保護者も喜ぶと思います。
体育科では、「ボールをける運動」などのゲーム活動で友達との関わりを見ることができたら、そのこともぜひ記載しましょう。チームのリーダーになった子供などはほめてあげましょう。
保護者に向けて
保護者には、学年が上がるということをきちんと伝えたいと思います。学年が上がるということは、できなくてはいけないことが増えていくことでもあります。きちんと今の学年で身に付けておくべきことを伝えましょう。計算、漢字を覚えることなど、具体的に伝えることが大切です。
生活面においては、忘れ物や学習道具の用意がきちんとできないなどのことは連絡して、次の学年でも意識して気を付けるように伝えます。文面にはなかなか表しにくいこともあるでしょう。学年末の保護者会をうまく利用して、学校の意向を伝えていきましょう。
タブレットの活用
本年度になって急速にICT化が進み、低学年でも一人1台のタブレット型パソコンが配付された学校も多いと思います。低学年にはパスワードを入力することから難しいと思いますが、配られた以上、保護者は学校でどのように活用されているか気になるものです。
上手にインターネットに接続できた、簡単なプログラミングソフトを活用してキャラクターの動作活動ができたなど、タブレットを使って活動したことがあれば、ぜひ記載しましょう。また、感染予防のためオンライン学習を余儀なくされ実施した場合は、そのスムーズな操作や対応についても触れましょう。
イラスト/terumi
『教育技術 小一小二』2021年2月号より