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実録!教育現場の「コロナ対応」教師たちのトライ&エラー

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新型コロナ対策:新しい授業と学級づくりの知恵、続々更新中!
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学校再開から4か月。コロナ禍という初めての事態に、先生方も右往左往しながら日々を過ごしてきました。全国の先生方はコロナ対応上、どのような悩みや苦労を抱えて、どのように解決してきたのでしょうか。学校現場の声をつぶさに取材します。

小学校の「コロナ対応」私のトライ&エラー
写真AC

子供の理解は置き去りにしても内容を進めなければ、という雰囲気

男性シルエット

東京都
男性教諭(40代)

春の急な休校についてはよく覚えています。発表当日、職員室で「ネットですごいことになっているよ」と言われ、テレビをつけたところ、「一斉休校」と言われ、みんなで驚きました。

管理職も当然、知りませんでしたから、何も指示されないまま、その日は終わったのです。翌日に校長会があり、教育委員会との調整などもあったと思いますが、「学校は週明け月曜日の午前中まで行い、そのときまでに子供に配付する課題を準備しよう」という話がありました。

実はその日は、私が担任をする六年生たちを送る会だったのですが、校長会の中での話を受け、全校児童が集まっての会ではなく、体育館に六年生だけがいて、そこに一~五年生が順番に入ってきて発表会を行うような感じになりました。

そういうことしかできなかったのですが、六年生たちはやってくれた小さい子供たちに感謝をしていました。

卒業式もできるのかどうか不安でしたが、式は休業の後、短縮で行うということで、その式次第を週末の間に作り、月曜日に卒業証書のもらい方など、子供たちに「こういう感じでやるから、覚えておいてね」と説明をしました。しかし、多くの子が泣いていましたね。

卒業式では、子供たちは久しぶりに会えてうれしそうな反面、子供たちの中に「卒業するんだな」という気持ちが醸成される前に卒業になってしまった、という感は否めませんでした。

ただ六年生ということで、早期に指導を進めていたため、学習面での積み残しがなかった点はよかったですね。

「しょうがないな、後は出たとこ勝負」

私はその後、異動になったのですが、新しい学校がどんな学校かだけでなく、休校は続くのか、そのために何を準備するのかなど、何もかもが分からなさすぎて、「しょうがないな。後は出たとこ勝負」という気持ちになり、かえって不安はありませんでした。

新任校では管理職からの話を受け、「ああしよう、ここはこうしよう」と話をすべきことが多かったので、人間関係をつくるうえではある意味よかったと感じています。

結果的には、4月いっぱいは登校もなかったし、課題準備の指示もありませんでした。しかし、それではさすがに子供たちのことが心配ということで、先生方と話し合い、家庭でできるストレッチ動画とか、家でできる簡単な実験、音楽のリコーダー演奏など、それぞれが得意分野で動画をアップしました。

5月に入ってからは週1回の登校があり、そのときに1日4時間、5日分で20コマ分の授業に沿ったプリントを用意し、配付。翌週にはそれを受け取ることになりましたが、この課題づくりは大変でした。

5月中、「そろそろ学校が始まりそうだぞ」という話になってきた頃、保護者から「学習面が心配です。大丈夫ですか?」と言われたのをよく覚えています。私からは「空いている時間にしっかり見ていきます」としか、言いようがなかったですね。

6月からは登校が始まりました。学級経営については、互いに初対面で不安もありましたが、子供たちとの相性もよかったのか、ひと月ほどで良好な関係が築けました。

やはり不安なのは学習面です。冬に2週間以上の休校が起こる可能性があるため、特に取り決めがあったわけではありませんが、学校全体の先生方の雰囲気が多少、子供の理解は置き去りにしても内容を進めなければ、という雰囲気なのです。休業中に課題で与えた部分も簡単な復習だけで進めていくことになりました。

とはいえ、このような形では不安もあるため、必要に応じて個別の指導も行いました。ちなみに本校は比較的児童数が少ないため、授業中や休み時間で子供たちに目を配ることが可能なので助かりました。

本校は関係者の中から濃厚接触者が出ましたが、感染者は出ず、内容は現在ほぼ例年通りまで進んできています。しかし、冬の時期の万が一に備え、今も内容をどんどん進める方向できています。

そこで私としては例えば、国語の学習で文章を書くことを、社会科の内容とリンクさせるとか、総合と社会科をリンクさせるなど、カリキュラム・マネジメントによって、時数の圧縮を図ろうと考えました。

これについては、管理職に提案もしたのですが、「えっ?」という反応で、他の先生方に「カリマネで…」と話しても今一つ反応がない感じなのです。

学習指導要領実施の初年度ですが、コロナ騒動ばかりでそこに目が向いていなくて残念な感じがしました。

これから冬に向けては、学校としては2週間なり、1か月なりの休校になったときへの対応として、オンラインで授業を進めていこうという話になってきています。正直言って、私も先生方もまだハード、ソフト両面で慣れていない状況で、日々の研修を進め始めているところです。

ただし各家庭環境に差があり、それも不安です。必要に応じてハードの貸与も行うようですが、昼間、保護者が誰もいない家庭で、子供一人で本当に操作し、授業を受けることができるのか。まだまだ課題があるし、現状で現実味は感じられません。

管理職に提案もしたのですが、「えっ?」という反応で、他の先生方に「カリマネで…」と話しても今一つ反応がない感じ

意味不明のルールと余計な仕事の増加で、周囲にうつ病が増えている

女性シルエット

埼玉県
女性教諭(30代)

一斉休校が発表された当日、テレビを見て「休みになるかも」という話は出ていました。県内の地域によっては、週明けにもう1日行ったところもありましたが、私の地域では翌日、六年生を送る会の途中に休校が伝えられました。

同市内の学校でもある程度、準備はしていたものの、「やっぱり今日なんだ!」という声が出たということです。

ちなみに休校になった場合を見込み、前日に「課題を出しますか?」と先生方に声をかけましたが、それぞれバラバラな感じでした。決定当日、私は「今日だろうな」と予想していたので、早めに出校して課題を準備し配付しました。

当日、「今日で終わりなんだよ」という話をしたとき、子供たちが泣いていたので、「私の学級経営は成功だったかな」と感じました。

休校中には週1回、電話か家庭訪問を行うことになっており、1回は家庭訪問に行って、本人もしくは保護者と面談をし、1回は電話をしましたが、結局修了式は行われないままの年度末となりました。

新年度は一年の担任になったのですが、入学式前日に準備を終えて、リハーサルの最終確認をしているときに、「入学式はやりません」と伝えられました。そのため、全学年の保護者に来ていただいて、教科書などの配付を行い、そのまま休校になりました。

ただ何もせず休校というのはどうかということで、オンライン授業をやろうという話も出たのですが、先生側のICTスキルと家庭側のネット環境の問題もあり、保護者にアンケートをとって、オンライン授業をできる環境が整っているかどうかを確認するに止まり、実施はしませんでした。

正直言えば、もう少し早めに多様な決定ができないのだろうかというのが、そのときの私の思いです。自治体の決定がなかなか出ないため、例えば4月の学年だよりを4回作り直しました。その他の指導計画についても、立てたけれど直前に休校が決まり、また作り直しの繰り返しでした。

休校中の課題に関しては、新入生の担任になったので、数字やひらがなを書く程度のことしか出せません。何よりも、最初のあいさつが電話で「初めまして。担任になった〇〇です」と話すのですが、電話に慣れていない子もいて、会話も成立しにくかったですね。

コロナ禍を機に、オンライン研究会に参加

6月から分散登校が始まりましたが、担当が一年生ですので、十数人ずつの指導はかえってやりやすかったです。ただ「密になっちゃいけない」「大きな声で話さない」と、説明してもなかなか分かってもらえなくて苦労をしました。

何より入学当初は、友達づくりのための大事な時期なのに、近付くこと、大きく声を出して話すこと、表情を見ることができず、何か月か経った今でも、「本当に心の面が十分に育っていくのだろうか」との心配はあります。

ただ学習面は行事がないこともあって進んでおり、夏休みが短かったこともあって、8月中に本来9月にやることがやれているので、万が一休校になったとしても、現時点では時数の面での心配はありません。

仕事としては、余計な仕事が増えたストレスは少し感じています。例えば、給食も当初は子供が配膳してはいけないことになって、私が配膳していました。しかし一人で三十数人分、配膳するととても時間がかかって大変なのですが、自治体のガイドラインが示されると、どうしようもありません。

今は子供が配膳することになったのですが、おかわりはなぜか担任がすることになっており、疑問を感じています。そのような意味の分からないルールと余計な仕事の増加で、周囲ではうつ病が増えています。知人の学校では今年、うつで辞職した先生も出たと聞いています。

私自身はそこまでのストレスは感じてはいません。ただ新しい学習指導要領が実施になった以上、しっかり生かした指導をしたいと考えるのですが、この時期にそのことについて話し合える先生がいないのがとても残念です。

例えば一年生では、国語と算数がとても重要で、時数の余裕があると言いつつも、万が一の休校を考えると、十二分とは言えないのが現実です。そこで新しい学習指導要領を踏まえ、しっかり資質・能力を育むために、生活科(や総合的な学習の時間)と教科の学習をリンクさせていくことで、より確かな力の育成を図ろうと考えたりもします。いわゆるカリキュラム・マネジメントで、より汎用的な力を育みたいのです。

しかし残念なことに先生方の多くは、この改訂で何が変わったのかを知らないため、相談をして一緒に考えられる先生がいません。そのため最近は、「この場だけにいてはダメだ」と感じるようになり、今年増えている学校外のオンライン研究会に顔を出して、勉強をするようになりました。

今年度当初、子供たちの顔も分からないまま仕事をしているときは、「私はなんで働いているんだろう」と思うこともありました。しかし今、7歳なりにコロナという病気を理解し、「普段はこうじゃないけど、コロナだからしかたないね」と言っている子供たちのために、しっかり外で学び、その分を子供たちの学びに返していきたいと思っています。

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