学びの保障か、子どもの安心か─文科省調査に見る「ウィズコロナ時代の学校づくり」
長きにわたった休校措置による学習の遅れを取り戻すべく、多くの自治体・学校で夏休みの短縮などの対応がとられました。しかし、取り戻すべきなのは「学習の遅れ」だけでしょうか。子どもが楽しく、安心して学校に通える状況をつくるために、いま学校がすべきことを考えます。

目次
行事の縮小や夏休み短縮など、各学校における学習指導の工夫
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からとられた学校の休校措置は、長い自治体で約3か月にも及びました。学年の始まりを含むこの休校期間の学習の遅れを取り戻すべく、各学校ではさまざまな措置がとられています。
文部科学省による調査「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公立学校における学習指導等に関する状況について(令和2年6月23日時点)」では、学校再開後の学習指導の工夫として、「学校行事の見直し」を予定していると答えた学校は97%。ほかにも「長期休業期間の短縮」が95%、「ICTの活用」が71%、「授業における学習活動の重点化」が70%、「時間割編成の工夫」が59%などとなっています。
実際に、この夏は多くの学校で夏季休業を2〜3週間に短縮する措置がとられ、休業明けも、運動会をはじめとする行事の中止や縮小が予定されています。
酷暑の中でのマスク着用や、ソーシャルディスタンスを保っての学習活動、友だちとの交流も制限される中での、夏休みの短縮や行事の縮小です。学習の遅れを取り戻すことに前のめりになるがあまり、子どもたちにとっての「学校生活の楽しさ」が奪われてしまうのではないかと懸念する声も多く上がっています。