不登校児童を救う、教師と保護者連携の言葉がけ
森田直樹さん
スクールカウンセラー
KIDSカウンセリング寺子屋主宰

不登校に悩む保護者をサポートし、不登校解消の高い実績をもつスクールカウンセラーの森田直樹さん。子どもが自信をもてるようになる的確な言葉がけを親が毎日のようにしていくこと(コンプリメント)により、子どもたちは登校する力を取り戻すことができるといいます。教師が、不登校の児童をもつ家庭に手を差し伸べるにはどんなことがあるのか、お話を伺いました。
目次
保護者経由で子ども自身の中にある良さに気付かせよう
――森田さんはどのようなきっかけで、不登校の解決に尽力されるようになったのでしようか
森田 私は教員時代、多くの不登校の子どもたちを見てきました。
カウンセラーさんは面接をしてその子をなんとかしようとするのですが、結局誰も治すことができないんですね。私は自ら進んで不登校の子の担任を引き受けていましたが、その子たちはみんな不登校が治りました。
だから、自分のやり方をきちんと実証研究し、みんながその実践を使えるようになれば、不登校の問題は解決すると考えたのです。
53歳のときに学校を退職し、大学院で研究を始めました。
しかし、大学院でわかったことは、大学教授には誰も不登校を治すことができないということでした。どんなに立派な本を書いていても、それらはいろんなケースの寄せ集めであり、一人の子どもを追跡して結果を出したという人はほとんどいませんでした。
施設で不登校を直しても、家に帰ると元に戻ってしまう

――不登校の子に本当に必要なサポートとは、どのようなことでしょうか
森田 私は、不登校の子に足りないのは「自信」だと考えています。だから、最初は子どもに自信をつけさせて不登校を治そうと、自分でフリースクール形態の施設をつくりました。
近隣の不登校の子どもたちが5人ほど集まり、実際に不登校は治りました。
ところが、彼らは家庭に戻るとまた元に戻ってしまうのです。結局、家庭の中に子どもに自信をつけさせる環境をつくらなければ解決しないのです。
そこで、子育てをする保護者の力を育てていこうと考えました。
保護者の方には、子どもに干渉するのではなく、できたことをほめるようにと伝えています。
しかし、学校に行かずゲームばかりしている子をほめろと言われても難しいですよね。そこで例えば、朝起きる力があるなど、「したこと、できたこと」を見つけてほめましょうと伝えています。
最初、子どもは反発しますが、反発は話を聞いている証拠です。諦めずに声かけを続けることが大事なのです。
こういう関係を保護者が続けていくと、子どもは「親は本気かもしれない」「俺に愛情をかけてくれているかもしれない」と思い、少しずつ変わっていきます。心を開く時が必ずやって来ます。そこまで続ける必要があるのです。