密を避けてできる!小学校体育の運動アイデア5つ
接触することが多い体育の授業。新型コロナ禍の時代、禁止するのではなく、離れることで成立する運動の数々をレポートします。
監修/東京都公立小学校指導教諭・岩田純一(THE体育代表)
協力/東京都墨田区立業平小学校
目次
導入
ソーシャルディスタンスが自然に確保できるように、流行の「TT兄弟」で子供たちの間隔を空けるようにし、軽快な音楽をバックに準備運動をする。
①すずRunゲーム
陸上運動
しっぽ取りリレー
地域によって異なるが、バトンの共有はリスクがあるため、バトンに代えて平テープを取ることによって、リレーする。平テープをズボンの背中側のゴムにはさんでおく。
ランダムしっぽ取り
子供がタッチするのを防ぐ「ランダムしっぽ取り」。タッチする代わりに平テープのしっぽ取りを行うおにごっこ。
②リズムランニング 短なわバージョン
体つくり運動
通常は短なわを使わない運動であるが、密や接触を防ぐために短なわを活用している。短なわを使えば子供同士が自然に離れることができる。
③パズルアンドコーン
体つくり運動
4人が1グループになる。1人がカードを持つ。カードにかかれた3色の玉の位置どおりに、下に置かれた玉を並べ替える。3人が一斉に行い、並びかえて戻ってくるのが早い人が勝ち。
④カードキング
体つくり運動
高学年の子供たちに絶大な人気のゲーム。ルールが少し複雑なので、高学年の子
供の成長段階にぴったりだ。子供がタッチするときには紙を丸めた棒を使ってタッチすることにより、子供同士の直接の接触を防ぐことができる。
ルール説明
① 2チームに分かれる。
② チームそれぞれが手持ちのカードを決める。1セット14枚なので、人数が多い場合は、7と8を増やして合わせる。
③ ゲーム開始後、相手チームをタッチするか、されたら、お互いのカードを見せ合い、数が大きい(強い)カードを持っているほうが勝ち。負けたほうはその場に座る。
④ 座っている味方を復活させることができるのは、7と8の「ヘルプマン」だけ。
⑤ 7と8の「ヘルプマン」が全員座ったときだけ、9の「スペシャルヘルプマン」が復活させることができる。
⑥ 相手の「キング」を見付けて、自分のチームの「ジョーカー」がタッチして倒すように協力する。「ジョーカー」が「キング」を倒したら、倒したチームの勝ち。
⑤天大中小
ボール運動
今年度からの学習指導要領解説に示されている運動。通常の「天大中小」のコートは中央の〇だけであるが、それにプラスしてそれぞれのラインに間隔を取り、子供が近付き過ぎないように工夫している。〇に入ると「スーパードボン」で待っている子と交代する。自陣のコートにツーバウンドするか、自分の攻撃の際にコート外にボールを出すか、ドボンにボールを入れてしまったら、天→大→中→小→待っている子の順にひとつ下がる。
コロナ禍だからこそ、運動をしよう
新型コロナ感染にリスクが高い体育の活動として、「児童生徒が密集する運動」や「近距離で組み合ったり接触したりする運動」が文部科学省より提示されてい
ます。したがって、サッカーやバスケットボールなどの接触プレーがある競技や子供同士がタッチする活動はリスクが高いと考えられます。また、用具の共有が難しいため、器械運動やバトンなども避けたい用具に入ります。マスク着用は、体育時には基本的にしなくてよいことになっています。
それを踏まえ、おすすめしたいのが、「離れなさい!」と子供に指示しなくても、自然にソーシャルディスタンスを確保しながら活動できる運動です。
バトンリレーやタッチ、接触プレーなどができないので、「活動をしない」というのではなく、通常の活動をひと工夫することによって、活動できるものがたくさんあります。例えば、バトンの代わりに平テープを使ったり、自然に距離が確保できる個人の持ち物のなわとびを活用したりすることで、できないと思っていた活動が可能になります。
コロナ禍でストレスがたまっている子供も見られるので、体を動かすことによって発散することにもつながります。子供たちは基本的に、体を動かすことが大好きなので、いろいろな工夫で運動をしていくことが大切ではないでしょうか。
取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗
『教育技術 小五小六』2020年10月号より