コロナに負けない先生のメンタルヘルス
コロナ休業明けで先生方の疲れやストレスは、二学期にかけて大きくなっていく時期です。そこで、先生が抱える可能性のある心の問題について、これまで多くの先生方を診察してきた、三楽病院の真金薫子先生にお話を伺いました。
監修/東京都教職員互助会三楽病院精神神経科・真金薫子部長

目次
今年度は新しい学校の学級づくりと、過重労働の軽減を試すことを考える
今年は新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、学校ではかつてない長期の休業を余儀なくされました。それによって、学校運営に当たる管理職や教育委員会の先生方は、休校決定から学校再開に向け、対応策の検討などによって相当に多忙だったと聞きます。
一方、担任の先生方は、比較的、時間的精神的な余裕もあったと聞いています。ただ学校が再開後は、本格的に遅れを取り戻すため忙しく過ごされましたし、夏休みも短縮をされている自治体が大半です。そのため多様なストレスが心身に影響を及ぼすのはこの時期からでしょう。そこでいくつか考えられるケースについてお話ししていきましょう。
Case1 自分自身の指導の不全感を感じ、心が重い
授業時数が限られる中、感染者の再増加によって、また休校になるかもしれない不安と焦りがある。そのため、子供の学習定着が十分ではないと感じながらも、学習内容を先に進めていかなければならない状況がある。
本来のカリキュラムであれば、子供に学習が定着していない場合は、繰り返し指導をしていたのにと思いながらも、それが十分にできないまま進まなければならない。「こんな授業でいいのだろうか」と、自分自身の指導の不全感を感じ、なんだか心が重くなってくる。

真金先生からアドバイス
真面目な先生方は、「時間に余裕があったら、本当はていねいにやりたいところなのに、時間がないため、どんどん先に進まなければいけない」と悩まれていると思います。
不安なときは、実際に子供に学習が定着しているかどうか、まず少しでも確認してください。すると反応が乏しいだけで、意外に定着していることが分かるかもしれません。
もし本当につまずきがあったら、気になるところからしっかり教え直しましょう。休校中と違い、分からないことを先生と一緒にクリアできると、その分スムーズに進むこともあります。
そして何よりもまず、全国のどの先生も同じように手探りの状況にあると割りきることが大切です。