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第1回「みんなの教育技術」オンライン学習会「ポスト・コロナ・クライシスの学級づくり」  学びのリフレクション・レポート

特集
新型コロナ対策:新しい授業と学級づくりの知恵、続々更新中!

小学館「教育技術」主催のオンライン学習会「ポスト・コロナ・クライシスの学級づくり~みんな、どうしてる?」(パネリスト:樋口綾香先生・小倉美佐枝先生、ファシリテーター:藤原友和先生)が2020年6月27日に開催され、週末の夜に全国から計165名が参加、豊かな学びの時間となりました。そこで、当日グラフィック・レコーディングを担当された小林雅哉先生に、学びを振り返るレポートをご執筆いただき、完成したファシリテーション・グラフィックとともにお届けします。

北海道公立小学校教員・小林雅哉

オンライン学習会出席者

“How to” → “How come”の学び

学習会を通して意識されていたこと。それは、「今必要なのは “How to” ばかりを追う学びではない」ということだったと思います。

ファシリテーターの藤原友和先生が、会の途中でこんなことを投げかけられました。

「~をしたよ」という話をするときには、「~という理由があって」という前提の部分を丁寧に語っていきましょう。

対談をされた樋口綾香先生・小倉美佐枝先生の「前提」もそれぞれ違いましたし、おそらく参加者のみなさんのそれも一人ひとり違ったはずです。学校規模、学級や学年・学校の状態、先生たちの置かれている状況、地域のニーズ……など、さまざまなことが違ったはずです。ですから、 “How to” ばかりに注目して聞いた話は、自分の学級にそのまま適用しても上手くいかない場合が多いと思います。 

樋口・小倉・藤原の三先生
左:樋口綾香(ひぐち・あやか) Instagramでは、ayaya_tとして、#折り紙で学級づくり、#構造的板書、#国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか、編著・共著多数。
中:小倉美佐枝(おぐら・みさえ) 若手教員向けのセミナーで圧倒的支持を集める個性派ポジティブ教師。共著に『女性教師の実践からこれからの教育を考える!』(学事出版)ほか。
右:藤原友和(ふじわら・ともかず) 1977年北海道函館市生まれ。「ファシリテーション・グラフィック」を取り入れた実践研究に取り組む。教師力BRUSH-UPセミナー、函館市国語教育研究会、同道徳研究会所属。

“How come? (How did it come about?)” (どうしてそうなったか?)に着目すると、話し手の思考の過程を完全ではありませんが、追体験することができます。その体験を通して、今自分たちの目の前にある問題をどのように捉え、向き合っていくのかを考えていくヒントを得ることができると思います。

この後に書く「振り返り」の中には「〇〇すれば、ポスト・コロナもへっちゃらだい!」といった “How to” の話は一つもありません。

学習会を通して私が感じたことが、どのように生まれてきたのかを、できるだけそのままに書いていこうと思います。その点を踏まえてお付き合いいただければと思います。

学習会の流れ

まず初めに、小倉先生・樋口先生のお二人が 「今日まで気をつけてきたこと」 についてそれぞれお話しくださいました。

「今日まで気をつけてきた͡コト」のグラフィック・レコーディング
「今日まで気をつけてきたこと」のグラフィック・レコーディング
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小倉先生のお話の概要

  • 佐賀県は、4月から学校が始まり、スタートは例年通りだった。いつもと違うことは特になかった。
  • 学校は子どもたちにとっても、先生方にとっても「安心して過ごせる場所」
  • 環境の衛生も大切だけれど、精神の衛生がとても大切。
  • 気をつけていたのは「コロナだから」と絶対に言わないこと。
  • 「どうしたら楽しく過ごせる?」を大切にしてきた。これから子どもたちがピンチの場面に出会ったときにも、その考え方が必要だと思うから。
  • 学校に来るだけで「楽しい!」と子どもたちは言っていた。
  • 授業についても制約があり、やりづらさはあったが「その中でどう楽しむか?」を子どもたちと考え続けてきた。
  • 暑い九州では、マスクの着用が熱中症にもつながり、悩みどころだった。

樋口先生のお話の概要

  • 大阪は3月~5月の間、休校が続いた。
  • 教員も在宅勤務等で対応することが多かった。
  • 今年度は、国語科の専科となり、週12時間の国語の授業を担当した。いろいろな学年、先生の様子を見てきた。
  • 子どもの中には、分散登校時に緊張している子が多く見られた。「早くみんなと会いたい、しゃべりたい」といった声も聞かれた。
  • 6月、学校が始まって、「精神的に不安定になりやすい子について、気をつけて見ていきましょう」という確認があった。家庭から学校への電話は、例年に比べて多かった。
  • 今、学級づくりを進めていく上での「安心する学級の条件」を考えた。コロナ前と「同じだけど違う」ということを感じている。
  • 基盤となるのは「(子どもと)先生との関係」である。笑い合える関係に加え、トラブルが起きた時に「先生が解決してくれる」という安心感も必要であると考える。
  • その基盤の上に「仲間との関係」がある。学級の中で苦手なことを言えたり、前向きなお願いができたりという「自己開示」ができること。また、お互いに寛容でいられることが大切である。
  • そして「メリハリをつけること」が大切である。これがないと、ザワザワした雰囲気が生まれてしまう。そういった雰囲気が苦手な児童もいる。専科としていろいろなクラスに入っていると「学級文化ってそれぞれあるんだな」と感じた。

それぞれのお話の後「6月、どうだった?」というテーマで、対談が行われました。対談の後、参加者の質問からピックアップしたものに対して、小倉先生・樋口先生のお二人が答える「Q&A」の時間となりました。内容についてはグラフィック・レコーディングの写真がありますので、ご覧いただければ概要がつかめるかと思います。

「6月、どうだった?」のグラフィック・レコーディング
「6月、どうだった?」のグラフィック・レコーディング
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「Q&A」のグラフィック・レコーディング
「Q&A」のグラフィック・レコーディング
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