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修学旅行実施時も育む能力を明確に整理していることが重要 <中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント> #06

中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント バナー

前回は、総合的な学習の時間(以下、総合学習)の実践研究で博報賞を受賞した、新潟県上越市立三和中学校の3年生の実践について、研究主任の山川純教諭に聞いていきました。今回は、キャリア教育を大きな柱として、職場体験や職業理解、修学旅行などに取り組んでいる2年生の総合学習の内容について、熊木恵美子教諭と地元研究校の副校長も務めたベテラン講師の森一夫先生にお話を伺います。

職場体験を通して働くことの意義を学ぶというねらい

まず熊木教諭は、2年生の総合学習の全体像や1学期の学習について次のように説明します。

「2年は毎年7月に職場体験を実施するので、1学期は職業調べや職場体験に向けたマナー講座などの事前学習から始めていきます。職場体験を終えた後、2学期の最初は職場体験をまとめた新聞を作成して発表を行い、10月頃からは進路学習、11月頃からは翌年3月に行われる修学旅行に向けて、学習活動を行っています(資料1参照)。

資料

年間指導計画
三和中学校の令和7年度の年間指導計画。中学2年の計画をご参照ください。

まず1学期に実施している職場体験についてですが、子供たちは働いた経験がないため、仕事をするというイメージがありません。そこで、前年度の1年生の3学期に、地元三和区内の多様な職業の方を招いて、5回、職業講話をしていただいています。子供たちはそれを聞いて、『ああ、この仕事にはこんな苦労ややりがいがあるんだな』というイメージをもちます。

その後、1学期には、まず世の中にはどんな仕事があるのかを調べ、続いてレディネステストを行って、自分にはどんな職業が向いているのかといったことを考え、職場体験へとつなげていきます。

本市は、体験依頼ができる事業所リストをまとめてくれているので、その中から三和区内の事業所で可能なところを事前に調べておいて一覧表にし、子供たちはその中から自分の行きたい事業所の希望を取ります。ただし、子供たちには『職業を体験するのではなく、職場を体験するのだ』と話をしており、例えば保育士になりたい子供が、全く別の事業所に行くような場合もあります。その上で丸3日間、学校ではなく事業所に通って体験するわけで、子供たちも納得の上で、自分が目指す職業かどうかに関わらず職場体験をしているのです」

三和区内の農家やグループホームなど、多様な場所で職場体験を行う子供たち。

こうした職場体験のねらいについて、総合学習に長く関わってきている森先生は次のように話します。

「上越市の職場体験を含めたキャリア教育は20年ほどになります。高校生が行うようなインターンシップとは異なり、働く人の姿を実際に間近に見る職場体験です。職場が教室であり、職場の皆さんが自分たちの3日間の先生です。その体験を通して働くことの意義を学ぶというねらいで行っています。

例えば、グループホームに行った子供の感想では、『私は3日間の職場体験で今の自分を知ることができました。自分のよいところ悪いところを働いている人や入居者に言ってもらえたからです。そのおかげで自分に自信をもつことができ、いろんなことに挑戦しようと思っています』といったものがあります」

「実際に体験をしてみると、以前は興味がなかった仕事に触れてみて、『ああ、こんな仕事があるのか、面白いな』と思う子供が出てくる一方で、例えば、保育士になりたいと思って行った子供が、『こんなに大変だったのか』と感じるような大きな気付きもあります。そのような成長は、子供の体験後の話や体験日誌、学習をまとめる活動を通して私たちは感じています(資料2参照)」と熊木教諭も話します。

資料2

職場体験の学習をまとめた新聞
職場体験の学習をまとめた新聞。

キャリア教育の視点から修学旅行で育てたい基礎的・汎用的能力について整理

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