身に付けさせるには?【伸びる教師 伸びない教師 第64回】
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豊富な経験によって培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする人気連載。今回のテーマは、「身に付けさせるには?」です。コロナ禍での生活は、子供たちの学校生活にいまだに影響があるようです。例えば、あいさつ。子供たちに元気にあいさつをすることを身に付けさせるにはどのような方法があるのかという話をお届けします。
執筆
平塚昭仁(ひらつか・あきひと)
栃木県公立小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を務める。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。
目次
コロナ禍の影響で
私がこれまで勤めた学校では、どの学校もあいさつに関わる目標やスローガンが必ずありました。毎朝、校門に立った高学年の子供たちが「おはようございます」と登校してくる子供たちに大きな声であいさつをしている光景をよく目にしました。自分の学級でも「おはようございます」「さようなら」「いただきます」と全員が大きな声であいさつをできるようになるまで繰り返し指導をしていたことを思い出します。
ところがコロナ感染症が流行すると、飛沫感染防止のため授業中に声を出す活動をすることが難しくなり、「大きな声であいさつをしよう」と子供たちに呼びかけることさえがはばかられる状況となってしまいました。その後もこの状況は続き、いつの間にか学校から子供たちの元気な声が聞こえなくなっていきました。
コロナ感染症の流行がひと段落した今、再びあいさつの指導に取り組む学校が多くなり、私の学校でもあいさつの指導に重点を置くことにしました。しかし、コロナ禍の代償は思いのほか大きく、教師が子供たちに大きな声であいさつをしても、小さい声のあいさつしか返ってこない場面を何度も経験しました。以前のような元気なあいさつが本当に学校に戻ってくるのか、不安になったこともありました。それにしても、教師がこだわらなくなると、こんなにもあっさりと身に付いていたことができなくなってしまうのかと無力感に襲われたことを記憶しています。
ただ、子供たちからすると、コロナ禍のときは「大きな声で話してはいけない」と言われていたのに、コロナ禍が明けた途端「大きな声であいさつをしよう」と言われても戸惑うばかりだったのだと思います。
学校のよいところを教えて
4月、新たに赴任した学校の始業式で子供たちにこんな投げかけをしました。
「校長先生はこの学校に来たばかりです。早くこの学校のことを知りたいので、みんなが思うこの学校のよいところを教えてください」
何人かの子供が手を挙げ、前に出て学校のよいところを教えてくれました。また、始業式の後、2年生以上の子供たちに「この学校のよいところ」「どんな学校にしていきたいか」についてアンケートを取りました。 学校のよいところについて「みんな仲よし」「一生懸命な人が多い」などたくさんの意見が集まりました。その中に「あいさつが大きな声でできる」という意見も多くありました。しかし、反対に「どんな学校にしていきたいか」の中では「あいさつができる学校にしたい」という意見も多く見られました。「大きな声であいさつができていない人が多い」「人によってあいさつの声が小さい」といった理由が挙げられました。

