小学校で実践できる異文化理解とは?「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」きっとおもしろい発見がある! #35

「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」の35回目のテーマは、「小学校で実践できる異文化理解とは?」です。異文化理解の実践は少し難しい面があるかもしれませんが、外国から転入してきた子供たちを通して異文化理解を実践するという視点ならハードルが少し低くなるかもしれません。小学校でどのように異文化理解を図っていけばよいのかというヒントをお届けします。

執筆/吉藤玲子(よしふじれいこ)
帝京平成大学教授。1961年、東京都生まれ。日本女子大学卒業後、小学校教員・校長としての経歴を含め、38年間、東京都の教育活動に携わる。専門は社会科教育。学級経営の傍ら、文部科学省「中央教育審議会教育課程部社会科」審議員等、様々な委員を兼務。校長になってからは、女性初の全国小学校社会科研究協議会会長、東京都小学校社会科研究会会長職を担う。2022年から現職。現在、小学校の教員を目指す学生を教えている。学校経営、社会科に関わる文献等著書多数。現在、日本・中国・韓国の初等教育において、異文化理解教育の推進に関する実践と研究にも携わっている。
目次
異文化理解を実践する視点をもとう
浅草や京都など観光地では着物を着て、インスタ映えをするスポットを歩いている外国人の多さに驚かされることが多いです。こんなにたくさんの人たちが日本に来ているんだと驚きます。訪日外国人旅行者の人たちは皆、楽しそうに写真を撮っていますが、日本で暮らすとなると外国人を取り巻く状況はいろいろと対応が難しいこともあるかと思います。
私の仲のよい、日本で長年マッサージ治療院を経営している女性は、最近では、就労するためのビザの更新料が大幅に値上がりしたり、日中関係があまりよくないと、「これだから中国人は」とまとめて悪口を言われたりするのがとても嫌だと話していました。
日本は島国なので、ヨーロッパなどとは違って、なかなか外国人を受け入れることが難しい風土があると感じています。しかし、せっかく外国から日本に学びに来てくれた子供たち、対応が難しい面があるかもしれませんが、外国から転入してきた子供たちを通して学校の子供たちも、教師も異文化理解を実践できるのではという視点で今回はお話しします。

年中行事を通して学ぶ異文化理解
「年中行事を通して学ぶ異文化理解」。これは今、私が取り組んでいる研究テーマです。「初等教育段階の児童が、年中行事の比較学習を通して、どのように異文化理解を育むことができるか」という点を実践研究しています。
先日、春節前に中華学校と日本の学校の子供たちが交流を行いました。中国では春節に獅子舞が披露されます。中国の獅子舞は大きな音と音楽、アクロバットのような動きが特徴です。今回は、お正月やおめでたいときに舞う日本の伝統的な獅子舞にも参加してもらい、日中の獅子舞交流をしました。
子供たちからは、「同じ獅子舞でも日本の獅子舞は顔が鬼みたいで毛がない。動きが生きている猫のようだ」という感想や、「中国の獅子舞は日本の獅子舞と違って、毛がふさふさしていてジャンプをすごくする」などの感想がありました。獅子舞はインドから伝わり、中国大陸から日本に伝わりました。あらためて、日本の子供たちは、中国の文化が日本に伝わっていること、中国の子供たちは、同じ獅子舞でも日本の獅子舞は日本らしい音楽で舞っていることを知りました。そして、ほぼ全員の子供たちが日本と中国の獅子舞の違いを初めて知ったと感想に書いていました。
「知らなかったことを知る」このことが異文化理解の第一歩です。春節とお正月も飾りが全然違うことを日本の子供たちは、中華街を歩いて知りました。けれども大晦日に蕎麦や水餃子を食べたり、新年に家族が集まってお祝いをしたり、子供たちがお年玉をもらったりするところは日本も中国も似ています。同じ年中行事でも違うところがあり、似ているところも分かることで、子供たちの中にはその国に対する親近感が生まれてきます。
日本の子供たちには、お正月と春節だけでなく、端午の節句と端午節、お月見と中秋節についても調べ、比較してもらいました。中国から日本に伝わってきた文化でも日本の風習に合わせて食べ物や飾り付けが違うことを子供たちは学びました。このような学習を通して隣国、中国、韓国への理解を深めてほしいというのが私の願いです。
