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他者と比較する評価というのは「多様性の包摂」にそぐわない【次期学習指導要領「改訂への道」#39】

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中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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前回から、ICT教育の先進校である茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の教頭であり、同分野の中央教育審議会ワーキンググループの委員なども務める、総則・評価特別部会の中村めぐみ委員にお話を伺っています。 前回は、論点整理の基本的方向性を踏まえつつ、現行学習指導要領における、「主体的な学び」「対話的な学び」に取り組んできた現実と、そこに見える課題についてお話をしていただきました。今回は、残る「深い学び」と現行学習指導要領の構造化や、これから議論が深まる「評価」についてお話を伺っていきます。 

他者と比較する評価というのは「多様性の包摂」にそぐわない【次期学習指導要領「改訂への道」#39】

学習指導要領を通して教員養成を図りたい

前回、「主体的な学び」と「対話的な学び」についてお話ししましたが、「深い学び」については、現場に委ねられたというイメージがあります。現場が「『深い学び』とは何なんだろう?」と探りながら、明快にイメージしきれないままの現状があるように見えるのです。 

だからこそ、今回の改訂議論では、「高次の資質・能力」(資料1参照)を示しながら、そこに至るプロセスを各教科における言葉によって補いつつ示して、教員が正確に「深い学び」を共通理解できるようにしていこうという取組が進められており、その方向性はとてもよいと思っています。 

資料1 高次の資質・能力の例

高次の資質・能力の例 国語
高次の資質・能力の例 算数・数学
2月2日に開催された教育課程企画特別部会配付資料より抜粋。

ただし、分かりやすく使いやすい学習指導要領を目指すとは言いながら、まだ一般の教員にとっては、キーワードが多く、なおかつ難しい言葉で書かれていると思います。学識者、有識者の先生方がイメージし、現場の教員に期待する思いには、まだ現場が追い付けていないところがあるように見えるのです。教員の世界は年齢的にも幅がありますし、意識にも幅がある中で、一律に内容の意義を正しく共通理解することには難しい部分もあるのではないでしょうか。 

もちろん前提として、学習指導要領の構造化はよいと思いますし、構造化を通して、思考の積み上げ方や、その過程にある押さえるべき事項なども分かりやすくなり、教員にそのような考え方が身に付くだろうと思います。教員が子供たちの学びをつくるときに、構造を意識し、そのようなプロセスで学びの場面をデザインしてほしいということも見えてきます。その意味から言えば、教員自身の資質・能力のあり方も示しているのだろうということが分かりますし、この学習指導要領を通して教員養成の視点も見えてきます。 

しかし、先にもお話をした通り、幅のある教員世界で、全ての教員がこの学習指導要領で求められている本質を具体的なイメージをもって解釈し、意図を理解するのは難しいだろうとも思います。だからこそ、デジタル学習指導要領というものが提案されているわけです。 

私自身、デジタルの教育関連の委員を拝命している立場から言えば、デジタルなものから与えられる合理的配慮の側面があると思っています。デジタルはマルチモーダル(異なる種類の複数データで情報を統合する技術)であり、先生方の多様性にも対応できるもので、子供たちの学びと相似形だと思うのです。デジタル学習指導要領はデジタル教科書の理念と同じで、それぞれの思考の仕方に沿って、自身で情報を選び、構造を組み立てながら見ることができる仕組みになっているので、すごく分かりやすいと感じています(資料2参照)。

ただ、基本には紙ベースの学習指導要領で構造化された思考のイメージをもってほしいということがあり、まずはそこを見ていただいてから、次に必要な目的やねらいに沿って、デジタルの中で焦点化しながらそこを切り取って読んでいくような関係性になると思います。ですから、紙の教科書とデジタル教科書の関係と同じで、まずは基本的な考え方、本質的な考え方を理解することが重要です。 

資料2 デジタル学習指導要領のイメージ

学習指導要領と解説を同時に確認したり、教科・領域の系統性を確認したり、教科書との関連を確認したり、教科をまたいだ検索をしたりできるだけでなく、単元計画の作成支援も可能になると言う(教育課程企画特別部会配付資料より抜粋)。

評価に関して、答え合わせのような授業がまだまだある

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