年度末、子供に起こりがちな3つのケース|特別支援教育のケーススタディ
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- 特別支援学級の学級経営
特別支援学級に配属されたものの、学級経営に悩む若手の先生方が多くいると聞きます。実際に学級内ではどのようなことが起こりがちなのでしょうか。ここでは、兵庫県公立小学校校長・公認心理師・特別支援教育士スーパーバイザーの関田聖和先生が、特別支援教育のケーススタディを指南。特別支援学級だけではなく通常学級での特別支援にもお役立てください。
構成・執筆/兵庫県公立小学校校長・公認心理師・特別支援教育士スーパーバイザー 関田聖和

目次
クラスの子どもたちの様子が気になる、3人の先生たち
2学期までは落ち着いて学習や生活を送ることができていたゆうかさんが、3学期に入ると活動に精彩を欠くことが多くなって……
些細なことで泣いたり、活動を嫌がったり、「いやだ」「行きたくない」が増えてきたんです。保護者の方に話を伺うと、「家でも、甘えが強くなっていて…」と話されていました。どうしちゃったんでしょう。
僕のクラスのるなさんは、最近お友達をたたいたり、気に入らないことがあると物を投げたり、暴言が増えてきました。
とくに、下校前や交流学級に行った後によくあるのです。本人にたずねても、「別に」という返事なのですが、表情がなんとなく硬いのも気になっています。
うちのクラスのしゅんたさんもそうなのよ。
「4月になると高学年になり、委員会活動も始まるから頑張らなくちゃね!」としゅんたさんに話したせいか、「早く5年生になりたい!」と、活動を張り切りすぎて疲れてしまうことが多くなってきたの。
最近は体調不良でお休みとか、しんどさから登校しぶりまでするようになってしまったの。
進級を控えた特別支援学級に在籍している子どもたちの2、3月は、進級への不安から不安定になることがあります。今回、先生たちが直面している3つの事例について、それぞれ解説していきます。
ケース1
情緒面の不安定さにより、できていたことが急にできなくなった“ゆうかさん”
ゆうかさんの事例は、「情緒面の不安定さ」に起因しているものと考えられます。3学期になると、次年度への環境変化を自分で予想してしまい、不安になってしまうことがあります。進級そのものだったり、新しい担任や教室変更などによる不安感が考えられます。
子どもにとっては「まだ起きていない変化」が最大の不安になってしまいます。不安が脳内で起きるのは、本能的に自然なことでもあります。ゆうかさんにとってみれば、「変わることは、わかっているけど、言語化できない」状態なのでしょう。また、できていたことができなくなってしまう退行は、「困りごとのサイン」ともいえます。決して、成長の後退ということではなく、「先を見据えた不安反応」から起こっているのです。
ゆうかさんのケースに、担任はどう対応すれば?
支援のポイントのひとつとして、「視覚化」が挙げられます。進級までの予定を見える形で具体化しましょう。予定表を掲示したり、個人カードを作成したりなど、今日は何をして、来週は何をするということが自分で確認できると安心します。その際、前年度の活動写真やイラストなどがあると、より分かりやすくなります。
変化のあることについては、事前に体験させることもいいでしょう。進級学年で予定されている学校行事の動画や写真があるのであれば、一緒に見たりして「楽しそう。私もできるといいな」と前向きな気持ちにさせて、不安よりも期待感が持てるようになるといいですね。
また、登校して荷物を置くなどのルーティンの事柄も、次年度でまた視覚化して伝えます。もしかしたら「覚えてるよ!」と言葉や仕草で反応をしてくるかもしれませんが、「昨年度と同じだから、覚えているもの」と決めつけず、繰り返し伝えていけるようにしたいものです。
そして、「この前は、できてたじゃないの!」という言葉がけは逆効果。ついつい、以前の行動と比べて話してしまいがちですが、絶対NGです。できなくなってしまったことがあっても、それは受け入れて明確に伝えましょう。
支援をしたから、不安がすぐに消えるわけではありません。ゆうかさんの甘えたい気持ちや誰かに依存したい気持ちを受け止めるために、意図的に時間の確保をしたいものです。授業の前後であったり、休み時間であったり、ほっとできる時間を一緒に過ごせるといいですね。
ケース2
行動面の荒れなど、急に不適切な行動が増えた“るなさん”
この1年間特別支援学級で奮闘してきた先生方! お疲れさまです。様々なことが、「ぱわぁあっぷ」したことでしょう。子どもたちに優しい気持ちが湧き、笑顔が増えていると想像して、「パワーアップ」ではなくひらがな表記です。
何より、先生方もそして子どもたちも、みんなのゴールは違いますが、最後は必ず、「ハッピーエンド」が待っていると信じています。多くの前進がある一方、まだまだ課題も山積みされている特別支援教育。過去記事にアクセスしていただき、振り返ってもらえると幸いです。
イラスト/terumi
