「朝の会・帰りの会」の計画的な指導【やき先生のとっておき学級経営の実践ノート】⑩
宮川八岐・元文部科学省視学官による人気の連載「やき先生のとっておき学級経営の実践ノート」です。今回のテーマは、「『朝の会・帰りの会』の計画的な指導」。先生方は、朝の会、帰りの会にはどのような取組をされていますか。朝の会、帰りの会を計画的に運営するアイデアについて紹介していただきます。
執筆/元文部科学省視学官・宮川八岐

目次
朝の会・帰りの会のプログラムを工夫しよう
学級経営は、学校経営の基本方針の下に、学級を単位として展開される様々な教育指導の成果を上げるための必要な諸条件の整備を行い、運営することであると言われています。これまでも「やき先生のとっておき学級経営の実践ノート」において、やき先生なりに“このことはぜひ”という課題を精選して特集してきましたが、今回は、「朝の会・帰りの会の計画的な指導」を中心にしつつ、「やき先生の講話事例」も取り上げました。
「朝の会」や「帰りの会」は、そのこと自体は教育課程ではありませんが、1日の学校生活の始まりと終わりに短時間、生活や教科等の指導の一環として行われる貴重な時間です。その時間の運営については、様々な取組が見られますし、学級経営の実践研究の課題でもあります。今回は、やき先生ならではの取組として、例えば、「講話」の実践、学級会などの集団活動を生かす工夫も含めて、以下に紹介し、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
「朝の会・帰りの会」は何をする時間か?
「朝の会」や「帰りの会」は教育課程そのものではありません。しかし、昔から学校では学級経営の内容として全国どこの学校でも日課の1つとして位置付けて、学級担任が「出席確認」「健康観察」「1日の学習や生活に関する予定、伝達や指導」などを行うなど、様々な特色ある取組が行われています。
どの程度時間を取るかは、学校運営上の工夫として学校によって違いがありました。例えば、10分、15分のいずれかのケースがほとんどで、多くの時間は確保できなかったことと思います。それでも学級担任によっては、様々な工夫をして、学年で共通すること、学級担任の学級経営方針から創意に富んだ取組をしてきました。やき先生も自分の教育観を実現する貴重な時間として力を入れて運営してきました。
「出席の確認・健康観察」や 「1日の予定」の確認など

おそらく全国の学校で「朝の会」は行われているでしょう。始業のチャイムが鳴ると「朝の会」が開始されます。昔のことですが、文部省では、「『朝の会』ではなく『朝の話合い』とすべきではないか」という考え方だったようです。「会」が付くと学級会やお楽しみ会のイメージがあったのでしょう。
しかし、全国的に学校に定着していったことから、現在では当たり前になっています。朝の会の時間に毎日することと言えば、「朝のあいさつ」「出席をとる」「健康観察」「その日の予定の説明」などが一般的です。
また、「今月の歌」を歌っている学校も多いでしょう。音楽教育充実の観点から、音楽部が4月から翌年の3月までの各月の「今月の歌」を決めて全校朝会で指導し、学級では朝の会の時間に歌うといった取組です。
なお、学級の実態などによっては、鍵盤ハーモニカなどの楽器で児童が伴奏するなどといった取組も可能です。実際に行われているところもあります。
1日の授業が終わると「帰りの会」が行われるでしょう。学校、学年、あるいは学級担任によって内容はいろいろ工夫されていると思います。「その日の振り返り」「宿題や翌日の予定・持ち物の確認」などが中心でしょう。そのほかに、やき先生は次に述べることも行っていました。全国の先生方は様々な取組をされていると思います。
「生活指導や集団活動」の連絡などの場
意図的な生活指導の場として
学校の生活指導として「今月の生活目標」を設定して全校で取り組んでいる学校が多いのではないでしょうか。例えば全学年で、週初めの「朝の会」に生活目標への取組について話し合うなどして意識付けを図る指導などです。
やき先生が新任だった頃の学校では、「よい子のほこり12章」が設定されていて、その第1章が「すすんであいさつをする子」で、それが全校児童の4月の生活目標になっていたのです。4月第1週の朝会では、生活指導担当の先生から「4月の生活目標」についての指導があり、そのことを踏まえて各学級の「朝の会」では、学級担任からも学年に応じた指導をするのです。
例えば、朝教室に「おはよう!」とあいさつしながら入ってくる児童と、教室内にいる児童たちが「おはよう!」と迎えるあいさつの練習をするのです。低学年では、場面設定をして具体的にやってみることが生活指導では大切です。

集団活動を生かす学級経営の場として
前述の内容のほかに、「当番」の仕事の指導や給食指導などに関わる指導も「朝の会」や「帰りの会」で行いますが、特別活動の内容に関わる活動や指導を行う貴重な機会でもあります。
例えば、次のような活動が行われます。
学級会の事前の活動を行う
① 例えば、月曜日の「朝の会」では計画委員会から「学級会の議題の提案をお願いします」と呼びかけることです。教室の後ろの掲示板などに「学級活動 コーナー」が設置してあって、「学級会の1週間の流れ」が掲示してある学校があります。その流れに従って「朝の会」や「帰りの会」で計画委員が以下の②や③の活動を行うのです。
② 例えば、火曜日の「朝の会」で計画委員会から「今度の学級会の議題は、〇〇〇〇で……」などと全員にはかって議題を決定する活動を行います。
③ また、学級会の当日の「朝の会」では、「話し合うこと1」の内容として提案されたことを短冊に書いて提示し、説明や質問を出し合うなどをします。そのことによって、提案された内容への理解や問題意識が高まることから、学級会の時間の話合いが効率的に行われるようになるからです。学級会の指導充実のための効果的な学級経営の工夫です。

「係活動の連絡など」に関する活動を行う
① 例えば、やき先生は、水曜日の「朝の会」と「帰りの会」の内容の1つに「係からのお知らせ」を設定していました。係からみんなへのお願いやお知らせを発表したり、みんなから係への質問やお願いを述べ合ったりするなどの機会を確保したのです。係活動の活発化への学級経営の工夫として実践していました。
② また、計画委員会や係から何らかのアンケートを実施したいという場合も、「朝の会」や 「帰りの会」で実施できるようにしました。ただ、この時間にあれもこれもできませんので、アンケートなどへの回答・回収などは休み時間に行うことになります。
「先生の話」の様々な内容
「朝の会」や「帰りの会」のプログラムの最後は、日直の号令で「先生の話」になります。「朝の会」の1年間を通してみると内容は様々です。以前、「やき先生のとっておき学級経営の実践ノート」②の「表現力を育てるにはどうするか」で紹介した「生活を書くこと」は、児童が<いつでも><どこでも>気付いたことを書き続ける取組でした。その中のこれと思うものを「朝の会」や「帰りの会」で取り上げ、オリエンテーションもします。
やき先生は、「『自主勉強』ノートの指導」で紹介しました学級経営の実践も、児童それぞれが自分なりの計画に基づいて取り組み、提出日も児童が決めて……という実践でした。これは必要に応じて朝の会などで取り上げて取組のよさの共有化を図りました。
「学校行事の事前指導」「読書月間」などにはその意義や取り組み方にまつわる話、「長期休業日に向けた指導」や「祝日」の前には制定の意義などの話は、必ず「朝の会」や「帰りの会」で話題にすることになります。まさに内容は様々であり、そのすべてをここで紹介することはかないません。
