読書活動「リテラチャー・サークル」で、読む力・話す力を伸ばそう!
同じ本を読んだ人たちが、グループで話し合う読書活動「リテラチャー・サークル」。ここでは、昭和学院小学校の3年生の子供たちによるリテラチャー・サークルの実践を紹介するとともに、読書指導を研究する新潟大学教授・足立幸子先生にリテラチャー・サークルの指導方法、指導の留意点などをうかがいました。読書が好きになるきっかけにつながり、話す力を育てるリテラチャー・サークルに、ぜひチャレンジしてみてください。

目次
リテラチャー・サークルの内容、ねらい、準備
リテラチャー・サークルなど読書指導論について研究されている新潟大学教授・足立幸子先生に、リテラチャー・サークルについてうかがいました。
――リテラチャー・サークルについての内容やねらいを教えてください。
足立 リテラチャー・サークルは、1990年代から2000年代にアメリカで盛んになった読書法です。ここでは、ハーベイ・ダニエルズ(Harvey Daniels)のものを紹介します。日本では、読書は1人で味わうものだと思われています。しかし、読書活動の1つであるリテラチャー・サークルは、グループで同じ本を読んで、読書を深めることをねらいとしています。教室内でみんなで読む読書を実現するための方法がリテラチャー・サークルです。
リテラチャー・サークルでは、グループ内に1人ずつ役割分担があります。読書会で何を話したらよいか分からないという子供のために、こういう内容で話したらどうかという項目を設定することによって、安心して話ができるようになります。
読書会をすると、上手に話せる子供が話してしまって、話が苦手な子供はあまり話せないという活動になる場合があります。みんながそれぞれ役割を担って、全員が話合いに参加できるように役割分担があるのです。
――リテラチャー・サークルを実践する場合の準備、本の選び方などを教えてください。
足立 学級でリテラチャー・サークルを行う場合、学級の人数分の本を用意する必要があります。3~5人で1グループになるのが理想的ですので、本の準備は、例えば35人学級とすると、1グループ5人の場合、5冊ずつ7種類の本が必要になります。
本の選び方は、話し合える内容があるものを選ぶようにします。小学校高学年や中学生の場合、社会的な問題や人間関係についてなど、複数のテーマがあるとよいでしょう。中学年の場合、面白くてわくわくする内容の本を選ぶようにすると子供たちの関心が高くなります。
担任は、学校図書館司書と連携すると活動しやすいでしょう。本を選ぶ場合や本を集める際、学校図書館司書に協力してもらいます。また、リテラチャー・サークルの導入では、本の紹介が必要になるため、担任が行うか学校図書館司書が行うかを前もって打ち合わせをしておくとよいでしょう。
それから、子供に配付する「役割ワークシート」の準備も必要になります。
――リテラチャー・サークルの特徴や指導の留意点を教えてください。
足立 リテラチャー・サークルの特徴は、優れた読者が行っているよい読書活動を自然に習得できるように「役割」という形で整理して、子供が行える活動として構造化していることです。
役割には、次のようなものがあります。
【どのグループにも置きたい役割】
・コネクター:本と自分とのつながりを見付ける。
・クエスチョナー:疑問を見付ける。
・リテラリー・ルミナリー:優れた表現などに光を当てる。
・イラストレーター:目に浮かんだ情景などを絵・図にする。
【必要であれば加えたい役割】
・サマライザー:要約をする。
・リサーチャー:作者、テーマを研究する。
・ワード・ウィザード/ボキャブラリー・エンリッチャー:特別な語を取り上げる。
・シーン・セッター/パッセージ・マスター:場面、段落の特徴を捉える。
足立 この役割は、本の種類に関係なく使用可能です。グループの人数を3~5人にするのは、それ以上でもそれ以下でも話合いが弾まなかったり、話し合いにくかったり、役割が不十分であったり、役割が足りなくなったりするからです。
グループ分けは、子供が読みたいと思った本で行うことが大切です。読む難易度で決めるのは適切ではありません。それは、子供が本を読みたいという気持ちを中心に活動するからです。
本は、何回かかかって読める本を用意します。1回で読み終わってしまう本では、続きを楽しみにしながら進めていく楽しさが味わえないからです。リテラチャー・サークルの活動は1回だけで終わるのではなくて、数回続けることが大切です。数回に分けて1冊の本を読み切るようにします。
グループ内では一人一人の子供が異なる役割を担当します。自分だけの役割となると責任をもって取り組むことができ、その子供が気付いたり感じたりしたことを、ほかの子供が新鮮さをもって受け止めることができるからです。
重要なのは、上手に読めることではなく、自分が読んできたことをグループの仲間に伝えることです。
そのような体験を繰り返し、ほかの人の役割読みを聞きながら、自然に上手な読み方、伝え方を身に付けていきます。
リテラチャー・サークルの授業の展開
昭和学院小学校の国語科の授業(3・4時間目)で、3年生の子供たちが行ったリテラチャー・サークルの実践を紹介します。今回、リテラチャー・サークルの活動が初めてのため、1時間目を35分授業、2時間目を55分授業の2時間通しで行いました。
〇授業者:小学3年生
〇指導者:石橋幸子
〇本時のねらい:本を読み、リテラチャー・サークルで読み取った内容を交流することができる。
学習活動
1 本時の学習のめあてを知る。(5分)
指導者は、子供たちにリテラチャー・サークルの活動を通して、何を学ぶかというめあてを伝えます。
2 リテラチャー・サークルのやり方を知る。(10分)
指導者は子供たちに、リテラチャー・サークルは「同じ本を読んだ人たちが、小さなグループで役割を決めて、話し合う読書活動である」ということを説明します。

3 簡単な紹介を聞いて読む本を選ぶ。(20分+子供が本を選ぶ10分)
指導者は前もって、子供たちが読む本を数冊(今回は7冊+予備1冊)選んで、用意しておきます。
本時では、子供たちに本の内容を伝えます。子供たちは、本の内容を聞いて、自分が読みたい本を選びます。

【今回使用した本】
・『チョコレート タッチ』(パトリック・スキーン・キャトリング作/佐藤淑子訳/伊津野果地絵/文研出版刊)
・『火曜日のごちそうはヒキガエル』(ラッセル・E・エリクソン作/ローレンス・ディ・フィオリ絵/佐藤凉子訳/評論社刊)
・『さかさ町』(F.エマーソン・アンドリュース作/ルイス・スロボドキン絵/小宮由訳/岩波書店刊)
・『カモのきょうだい クリとゴマ』(なかがわちひろ作/アリス館刊)
・『いたずらおばあさん』(高楼方子作/千葉史子絵/フレーベル館刊)
・『そいつの名前はエメラルド』(竹下文子作/鈴木まもる画/金の星社刊)
・『忘れないよ リトル・ジョッシュ』(マイケル・モーパーゴ作/渋谷弘子訳/牧野鈴子絵/文研出版刊)
4 リテラチャー・サークルを行う。
① 同じ本を読むグループで集まる。(①②③合わせて10分)
指導者は、子供たちを選んだ本別に5人ずつグループ分けします(この間、子供たちの休憩時間)。同じ本を選んだ子供たちが集まります。

② 役割分担の内容を確認する。
子供たちが役割の内容を確認します。
【役割】
・思い出し屋(読んだ話のあらすじを思い出して、みんなに伝える役割)
・イラスト屋(読んだ中から自分の好きなことや場面を絵にする役割)
・質問屋(不思議に思ったり、疑問に思ったりしたことをみんなに聞く役割)
・予想屋(話の続きや未来を予想する役割)
・言葉屋(読んだ中で特別な言葉を見付ける役割)
③ 役割、読む範囲、発表者を決める。
子供たちがそれぞれの役割を自分たちで決めます。同グループでは1人1役とします。
本のどこからどこまでを読むかをグループで決めます。
授業の最後にグループの代表者が話合いの内容を発表します。その発表者を決めておきます。
④決めた範囲まで読む。(10分)
子供たちは、グループで決めた範囲を読みます。

⑤ワークシートに記入する。(10分)
子供たちは、それぞれの役割「思い出し屋」「イラスト屋」「質問屋」「予想屋」「言葉屋」のワークシートに各自書き込みます。

⑥役割に沿って話合いをする。(10分)
子供たちは、それぞれの役割に沿って、話し合います。

5 一番盛り上がったことについて、発表したり友達の発表を聞いたりする。(5分)
グループで決めた発表者がグループ内で盛り上がったことについて、発表します。

2回目以降は活動の仕方が同じなので、1時間授業(時間配分例、読む10分、書く10分、話す15分、発表10分)で行うことが可能です。
