小3国語「たから島のぼうけん」【京女式板書の技術】

今回の教材である「たから島のぼうけん」の単元目標は、「書き出しを工夫して、物語を書こう」です。本時では、冒険の様子を想像して、物語の組み立てを考えるという学習活動を行います。そのため、子供が物語を書きたいと思う気持ちを高めるための思考の手がかりとして機能させるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授 元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子
単元名|書き出しを工夫して、物語を書こう
教材名|「たから島のぼうけん」(光村図書出版)
目次
単元名:書き出しを工夫して、物語を書こう
1 学習の見通しをもつ。
2 冒険の様子を想像して、物語の組み立てを考える。
3 物語の構想を練り、組み立てを考える。
4 5 6 物語を創作する。
7 創作した物語を読み合い、感想を交流する。
8 学習の振り返りをする。
板書の基本
教材「たから島のぼうけん」は、「書き出しを工夫して、物語を書こう」という単元名が示す通り、物語の構成や表現の工夫に目を向けながら、自分なりの物語を創作することをねらいとしています。教材内容は、たから島の地図をもとに、その島をどのように冒険していくのかを想像し、出来事をつなぎながら物語風に書き表すという設定です。地図という具体的な素材が用意されていることで、想像の手がかりが得やすく、物語創作への導入として有効な教材であると考えました。
学習活動としては、①「組み立てを考える」、②「物語を書く」、③「物語を読み、感想を書く」という3つの活動が位置付けられています。さらに「学びをいかそう」では、物語の「はじめ・中・終わり」という基本的な構成を意識しながら学習を進めることが示されており、構成を踏まえた表現力の育成が重視されていることが分かります。
このような教材の意図を踏まえ、本実践では、板書を単なる情報提示の場とするのではなく、子供が物語を書きたいと思う気持ちを高めるための思考の手がかりとして機能させたいと考えました。そのために、学習の流れが見通せ、かつ想像が膨らむような板書構成を工夫しました。
まず重視したのは、教材として示されている「たから島の地図」の活用です。地図には、道筋や目印、生き物など、様々な仕掛けが描かれています。板書では、これらを取り上げ、「ここではどんなことが起こりそうか」「なぜ、この場所にこの絵があるのだろう」と問いかけながら想像を広げました。例えば、「ワニ」の絵を取り上げた際には、危険な場面や緊張感のある出来事を思い描く子供が多く見られ、物語の展開を考える手掛かりとなっていました。このように、地図の仕掛けを想像の起点とすることで、物語のイメージを具体化したいと考えました。
次に、物語の構成理解を確かなものにすることを意図しました。物語を書く際に、「何から書けばよいのか分からない」というつまずきは多く見られます。そこで、3年生の既習教材「三年とうげ」の挿絵を提示し、これまでに学習してきた物語の「はじめ・中・終わり」の構成を想起させました。既習の学びと結び付けることで、構成を新しい知識として与えるのではなく、これまでの学習の延長として捉えさせることができると考えました。
また、物語の「はじめ」に当たる部分として、「たから島の地図をどのようにして手に入れたのか」を共通の話題として取り上げました。冒険の物語であっても、そのきっかけとなる出来事が明確になることで、物語全体に必然性が生まれてきます。
板書では、子供たちの想像をまとめ、「落ちてきた」「ビンに入っていた」「砂をかけたら浮かび上がる」など、子供たちが自分なりの始まりを考えられるよう支援しました。なお、この地図の入手の仕方を必ず「はじめ」に書くかどうかについては、子供一人一人の選択に委ね、表現の幅を保障することを大切にしました。同じ地図を用いても、子供たちの想像や選択によって物語は大きく異なります。板書では、その違いが価値あるものであることを意識的に示し、「友達と同じでなくてよい」「自分の物語をつくってよい」という安心感をもたせるようにしました。
