冬ならではの自然体験を楽しんでみよう! シモやシモバシラ、そして雪と氷に親しむ
冷え込んだ朝、バケツの水が凍ります。氷の割れる音、手で触った感じ、様々な模様など、子どもたちは、たくさんのことに気づき発見することでしょう。見たり、聞いたり、触ったり、五感を研ぎ澄ませ、そんな自然の変化の楽しさを味わえるのは、今だけです。冬だからこそ出合える感覚は、子どもたちの心にきちんと刻まれ、自然への興味・関心を育ててくれることでしょう。今回は、そんな冬ならではの体験、シモとシモバシラについてご説明しつつ、氷や雪の実験も楽しんでいきたいと思います。
【連載】モンタ先生の自然はともだち #33
執筆/森田弘文
目次
シモとシモバシラ
冬の風物詩であるシモやシモバシラ。似たような言葉ですが、そこには大きな違いがあるんですよ。今回は、それぞれの違いをご紹介しながら、実際に自分の体で直接体験し、どのような教育活動ができるか、どうすれば楽しく実験・観察できるかをお伝えしたいと思います。
シモって何?

シモは、気温が下がることで空気中の水分が冷やされて水滴になり、露として葉っぱなどに付着した後、さらに気温が0度以下に下がって凍りついたものです。
コップに冷たい水を注ぐと水滴がつきますが、あれと同じ原理です。
寒い冬の、移動性高気圧に覆われた日の朝によく見られます。高気圧に覆われると、雲がなく風も吹かず、放射冷却現象が起きて冷えるからです。なお、放射冷却現象とは、地表の熱が上空に奪われることをいいます。
シモを観察してみよう
シモのついた枯れ葉や草花をてのひらに乗せ、子どもたちにその様子を観察させましょう。シモのひんやりとした感触や冷たさを実感できることでしょう。しばらくすると、シモは体温で溶けてしまいますが、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。アッという間の変化をじっくりと子どもたちに見せたいものです。また、枯れ葉についたシモに太陽の光を当てさせたり、自分の暖かな息を吹きかけさせたりしては、どうでしょうか。いろいろとアクティブに活動することこそ、学びの喜びがあり、とても大切なことです。
シモのある風景から


とても冷え込んだ朝、野鳥観察をしているときに、ある畑で見たことです。
上の遠景の写真をご覧ください。続いてズームインした写真も見てください。何か分かりますか? 朝日が当たり、家の影が落ちている部分だけシモが溶けずに残っているのです。そのまま継続観察すれば、影の動きにしたがって少しずつシモが溶けていく様子が観察できます。
なかなか見ることができない不思議な姿でした。
シモバシラって何?

シモバシラは、寒い日に地面の中の水分が毛細管現象で吸い上げられて地表で凍結することが次々と起こり、下から上へ向かって氷が成長していく現象です。特に関東ローム層の赤土でよく見られます。これは深夜早朝に気温が0度以下になることが多く、土質的に粒子が細かくて水気を含みやすい赤土のため、毛細管現象が起こりやすいからだと考えられます。
沖縄のように気温が0度以下に下がらないところではシモバシラはできません。また、北海道のように寒い地方では、土の中の温度も0度以下に下がって凍りついてしまうので、シモバシラは見られません。
学校の周辺では、とくにふかふかした畑や花壇などの土の表面に見ることができます。あたかも土を押し上げるようにして生えてきたかのようです。
シモバシラを観察・体験してみよう!
シモバシラを子どもたちが発見したら、まずはシモバシラを手にとり、どのような特徴があるのかをよく見てみましょう。どれも冷たく棒のようになっていて、それがたくさん集まっていることが確認でき、名前の由来も認識できると思います。シモバシラができた場所はどんなところなのか、なぜシモバシラができたのかも考えさせてみましょう。
そして、ここからがお楽しみです。自分の足でシモバシラを踏ませてください。みんなで耳を澄ましてどんな音がするか、自分の耳で確かめましょう。足で踏むと、「ザクザク、パリパリ」といった心地よい音が楽しめます。
体験したことを言語化させることの意味はとても大きいので、作文や俳句づくりなどの活動を入れると、より学びが深まることになります。
シモバシラっていう名前の植物もあります!


植物の世界にも、シモバシラという名前のものがあることをご存じでしょうか。シソ科の植物で、秋に白い可憐な花を咲かせますが、冬に枯れたこの草の根元を見ると、茎の周りに氷ができ、まさに自然が生み出した「氷の芸術」となります。山地や里山の山道の林床など、直射日光が当たらない半日陰のような場所に生育しているせいもあって、氷を身にまといやすいのでしょう。条件さえよければ、都市近郊の公園等でも見られます。なお、東京都の高尾山は、シモバシラの群生地としても有名で、多くの登山者が、この冬の風物詩を見るために訪れます。
安全のために … シモ・シモバシラなどの実験・観察時の留意点!
冬の自然を体感する活動は、子どもたちが楽しみながら学ぶ、素晴らしい機会ですが、安全衛生面に特に留意することが大切です。以下、様々な観点から注意点を記します。
- シモ・シモバシラ・氷・雪などは、見た目は美しいのですが、絶対に舐めたり食べたりしないように、事前にしっかりと約束をしておきましょう。
- 冬は気温が低下しますので、防寒対策をきちんとしてから始めましょう。
- 野外での活動が多くなるので、事前に危険な箇所はないか確認しておきましょう。
- 鋭い「つらら」がある等、危険な場所を事前に把握し、子どもたちに注意を促しましょう。
- 凍った地面や雪の上は、とても滑りやすく、思わぬ転倒につながることがあります。特に子どもたちが遊ぶときは、転ばないように滑りにくい靴を履くように注意喚起しましょう。
写真/森田弘文

森田弘文(もりたひろふみ)
ナチュラリスト。元東京都公立小学校校長。公立小学校での教職歴は38年。東京都教育研究員・教員研究生を経て、兵庫教育大学大学院自然系理科専攻で修士学位取得。教員時代の約20数年間に執筆した「モンタ博士の自然だよりシリーズ」の総数は約2000編以上に至る。2024年3月まで日本女子大学非常勤講師。その他、東京都小学校理科教育研究会夏季研修会(植物)、八王子市生涯学習センター主催「市民自由講座」、よみうりカルチャーセンター「親子でわくわく理科実験・観察(植物編・昆虫編)」、日野市社会教育センター「モンタ博士のわくわくドキドキ しぜん探検LABO」、あきる野市公民館主催「親子自然観察会」、区市理科教育研修会、理科・総合学習の校内研究会等の講師を担当。著書として、新八王子市史自然編(植物調査執筆等担当)、理科教育関係の指導書数冊。趣味は山登り・里山歩き・街歩き、植物の種子採集(現在約500種)、貝殻採集、星空観察、植物学名ラテン語学習、読書、マラソン、ズンバ、家庭菜園等。公式ホームページはこちら。
