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「コグトレ」で身体感覚を育てよう〔Ⅰ自分の身体(動きを変える)〕#8ダウンロードプリント付

連載
子どもたちの認知機能を高める 教室コグトレ
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立命館大学教授・一般社団法人日本COG-TR学会代表理事

宮口幸治
「コグトレ」で身体感覚を育てよう〔Ⅰ自分の身体(身体を知る)〕#1ダウンロードプリント付 バナー

「コグトレ」の身体面のトレーニング(認知作業トレーニング)の8回目は、自分の身体に向き合う機会をつくり、ボディイメージを高めるとともに身体のバランス感覚を養う「Ⅰ自分の身体」のなかの〔動きを変える(聴覚的注意トレーニング)〕にチャレンジしましょう。「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」に着目したトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、身体面のトレーニング(認知作業トレーニング)を基にして身体的不器用さの改善を図るトレーニングを紹介します。ダウンロードプリントを活用して、ぜひ試してみてください。

監修/立命館大学教授・宮口幸治

認知作業トレーニングとは

コグトレの認知作業トレーニングは、自分の身体のボディイメージを高める、物を扱う能力を高める、他者との関係の中で、多くの情報に注意を払い身体の適応力を高めるなど、身体的不器用さの改善を図るトレーニングです。下の表のように「Ⅰ自分の身体」「Ⅱ物と自分の身体」「Ⅲ人の身体と自分の身体」など3つのプログラムから成り立っています。

「コグトレ」で身体感覚を育てよう〔Ⅰ自分の身体(身体を知る)〕 認知作業トレーニングプログラム

身体的不器用さ(以下、不器用さ)をもつ子どもは、小学生では約5% 存在すると言われています。不器用な子どもの特徴は、物によくぶつかる、ボールをうまく投げられない、物をよく壊す(手先が不器用)、姿勢が悪い、力加減ができない、じっと座っていられない、左右が分からないなどです。この子たちは、運動やスポーツが苦手だったり、身体や手先がうまく使えなかったりするだけでなく、不器用さが自尊感情の低下や周囲からのいじめの原因となることも報告されています。そのような不器用さを改善するトレーニングが、コグトレの「認知作業トレーニング」です。いわば、体育の特別支援教育とも言えるでしょう。「認知作業トレーニング」は、グループで実施することが原則となっています。

今回は、「Ⅰ自分の身体」のなかの〔動きを変える〕の「聴覚的注意トレーニング」の課題を紹介します。

〔動きを変える〕は、「聴覚的注意トレーニング」「視覚・聴覚的注意トレーニング」の2つのプログラムからなります。手足を動かす、止めるといった身体の動きをコントロールするには、主に脳の前頭葉が行っています。ルールに従って身体を動かすには、身体をコントロールするだけではなく、外部の刺激にも注意を払わなくてはなりません。この場合にも前頭葉が重要な役割を果たします。ルールに従って動きを変えることには、身体を動かすことと、注意を払うことという2つの異なった機能を前頭葉が担えるように、能力を向上させることが大切です。〔動きを変える〕トレーニングは、外部の刺激による動作の切り替えによって注意力を鍛えます。今回は「聴覚的注意トレーニング」の〈落~ちた、落ちた〉を試してみましょう。

〔動きを変える〕の「聴覚的注意トレーニング」にチャレンジ!

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