優れた学校経営の手腕は、接遇の細部に宿る。来校者の目に輝いて映る学校にするための、来客接遇術

教頭は学校の第一印象を左右する大切な窓口です。講師や保護者など多様な来訪者に対し、教頭(副校長)が率先して丁寧な応対を行うことで、校内外の信頼感と安心感を築くことができます。接遇の基本から事前準備、案内、文書作成まで、具体的なノウハウを整理しながら、学校のおもてなしの質を高める方法を考えます。
【連載】がんばれ教頭クラブ
目次
来客接遇の基本構想
ある大学教授が、ある学校を訪れた際の体験を語ってくれました。
「講師依頼を受けてその学校に行ったのですが、案内板もスリッパもなく、歓迎されていないのかと思いました」
その時点で心のスイッチが切れてしまったそうです。
教頭(副校長)の接遇がもたらす効果は大きく二つあります。一つは外部の講師や保護者が安心して学校と関わることができるようになる点。もう一つは、校内の他の教職員への好影響です。教頭が率先して模範を示すことで、自然と学校全体の接遇の質が引き上げられていきます。
丁寧な接遇は、長期的に見ても学校運営に好影響を与えます。訪問者との信頼関係は、地域社会との連携を深める土台となり、再度の講師招聘や協力依頼がスムーズになります。学校という場が「信頼される空間」であることは、教育活動の大前提です。
到着直前の準備 案内板と環境整備
来客の第一印象は、玄関に入った瞬間に決まります。そこに明確な案内板が掲示され、整えられたスリッパや清潔な受付があれば、それだけで学校への安心感が高まります。
案内板には、「○○大学 講師△△△△先生 来校ありがとうございます」と具体的な名前を記載し、「授業協力」「講演」「ご指導」などの目的も簡潔に示します。校内地図や矢印を用いて、迷わず目的地にたどり着けるようにすることが大切です。設置場所は正面玄関と、控え室か訪問先教室近くの二か所。来校10分前には掲示を完了し、終了後は速やかに撤去して校内の美観を保ちます。以下は案内文例です。
△△大学 ○○○○ 先生
本日はご講演のためご来校くださいまして
心より感謝申し上げます。
→ 校長室(校舎2階)へお越しください
□□教育研究所 △△△△ 様
本日はお足元の悪い中
ご来校ありがとうございます
研修室B(北校舎1-2)まで
こちらの矢印に沿ってお進みください
△△組 保護者の皆様
参観日(学級懇談会)にご来校くださいまして
誠にありがとうございます
集合場所 多目的室(南校舎1階)へお進みください
◎◎設備工事 ご一行様
ご来校ありがとうございます
→ 体育館倉庫前駐車場へお回りください
スリッパも忘れてはならないアイテムです。上がり框に人数分のスリッパを並べておくと、より丁寧な印象を与えます。また、古くなったものは交換することをルール化し、常に清潔感を維持したいです。来客用の下駄箱は常にきれいにしておき、下足を入れる下駄箱の扉を開けておくなど、置き場を分かりやすくするのもよい気遣いです。