小1国語科「としょかんとなかよし」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「としょかんとなかよし」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/金沢大学人間社会研究域学校教育系教授・折川 司
執筆/石川県羽咋市立粟ノ保小学校・山岸哲学
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では〔知識及び技能〕「(3)我が国の言語文化に関する事項」における「読書」に関する指導事項「エ 読書に親しみ、いろいろな本があることを知ること。」について指導をしていきます。
実際に本に触れたり、教師や友達が紹介する本と出会ったりする機会を豊かに設けながら、児童と本との出会いを促し、身の回りには物語や昔話、絵本、科学的な読み物、図鑑などの様々な本があることに気付けるようにしていきます。そして、自ら進んで読書をし、読書を通して人生を豊かにしようとする態度を養うための第一歩として、読書に親しもうとする資質・能力を育成します。
児童は、読書に関係した単元を既に一つ経てきています。教科書p38~39にある「としょかんへいこう」です。「としょかんへいこう」の学習では、学校図書館という魅力的な場所について知り、そこに様々な本があることについて実感することを大切にしました。
本単元では、「としょかんへいこう」を受けて、児童の意識をさらに豊かな読書行為へ誘っていく学習を展開します。学校図書館の利用の仕方や本の魅力などを思い出すとともに、本の題名や表紙から内容を推測したり、自分の興味ある本を探してみたりすることにより読書に親しむ習慣をつくり、児童一人一人の読書活動を軌道に乗せていきましょう。
1年生の児童が本に興味をもち、楽しみながら読書と向き合えるように、本単元では、表紙や題名を手掛かりに「本探しゲーム」をしたり、自分が「読んでみたい」と思った本を友達と紹介し合ったり、自分が読んだ本をシートに記録したりする活動を行います。
これらの活動を通して、学校図書館にいろいろな本があることを知り、積極的に本を手に取って読書に親しもうとする資質・能力を身に付けられるようにします。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
本単元では、自分が「読んでみたい」と思った本を紹介し合う言語活動を設定します。
友達と本を紹介し合うことで、図書館にはさらにいろいろな本があることを知ることができます。
もちろん、教師からの紹介によってもいろいろな本があることは知ることができますが、友達が興味をもって読もうとしている本だからこそ、より関心をもって紹介に耳を傾けることができることでしょう。このようにいろいろな本があることを知ることで、本に対する興味や読書への意欲をさらに高めることができると考えます。
自分が読んでみたい本を紹介し合う活動の前段階として、1時間目に「本探しゲーム」を設定しています。「本探しゲーム」とは、「表紙」や「題名」を手掛かりにしてゲーム感覚で楽しく本を見つける活動です。このゲームでいろいろな本を探すことや、図書館マップを活用することを通して、児童が図書館にいろいろな本が置いてあることに気付けるようにします。
1時間目にいろいろな本があることを知り、興味を高めておくことで、2時間目の「読んでみたい本を互いに紹介し合う活動」につながりやすくなります。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 主体的に本を選ぶ
学校図書館には、想像力を膨らませたり、知的好奇心を高めたりできる魅力的な本がたくさんあります。ファンタジーの世界を味わわせてくれる物語や、児童の大好きな昆虫や動物について写真や文章で詳細に書かれている図鑑などがあり、学校図書館は児童の思いを満たしてくれる場だと言えます。
学校図書館を活用する学習を通して、一人一人が自分の思いで自由に読みたい本を探し、満足のいくまで本の世界を楽しむことで、読書に親しめるようにします。
〈対話的な学び〉 多様な他者との対話を図る
本単元では、自分が「読んでみたい」と思った本を友達と紹介し合う活動を設定しています。
読書はそれ自体でも楽しめる行為ですが、「お互いにどんなことに興味があって、どんな本を読もうとしているのか」や「読んでどんなことを感じたか」等について対話することも、本や友達についてより深く知ることができ、意義のある活動になります。
また、入学当初は教室の中で学校生活を過ごすことが多かった児童も、この時期には徐々にその活動場所を広げていきます。本単元の学習を通して、いよいよ一人で学校図書館を利用できるようになるでしょう。
児童が実際に本を探し、借りようとする際に、学校司書や図書委員の児童と関わることが考えられます。
担任や友達だけではなく、多様な他者との対話の機会をもつことは、社会性を育む上でも大切なことです。そのため、言葉遣いを含めて相手や場面に応じた対話の仕方を、授業でしっかりと身に付けられるようにする必要があります。
〈深い学び〉 実感のある読書を通して、読書の日常化を図る
本単元では、読書に親しもうとする資質・能力の育成を目指しています。しかし、今回の単元のみでその資質・能力が身に付くわけではなく、今後も継続した取組が必要です。
読書は、新しい世界に触れる喜びや感動を与えてくれるばかりか、自分が知りたい情報を集め、調べるときや、自分の考えを広げるときにも役立ちます。さらには、語彙を増やし、集中力を身に付け、感性を豊かにするといった様々な学習効果も期待されます。
しかし、今後の読書を児童任せにしてしまうと、日常的に読書を行うまでには至らないかもしれません。そこで、今後も継続的に「本っておもしろい! もっと読みたい!」と思えるような教師の読み聞かせや、本の紹介、お勧め本のコーナーの設置などの工夫を行うことが大切です。
また、「本のおかげで、分からなかったことが分かるようになった!」と感じられるように、様々な学習場面において本を活用していくことも大切です。
このような実感を伴う読書経験が、読書の価値を高め、深い学びにつながり、より読書に親しもうとする資質・能力の育成につながるものと考えます。
5. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: としょかんとなかよし
【主な学習活動】
1時
① 学校図書館へ行き、本探しゲームをする。〈 端末活用 〉
② どこに、どんな本があったかについて伝え合う。
2時
① 自分の「読んでみたい」と思っている本について紹介し合う。
② 自分が読んだ本について「読書の記録シート」に記録する。
全時間の板書例と指導アイデア

令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデアを、続々公開中です!

イラスト/横井智美