実はけっこう活発に動く植物たちのこと~オジギソウやネムノキ~【モンタ先生の自然はともだち】

子どもたちと自然観察をしていて特に感じることは、動くものにとても関心をもつということです。昆虫や小動物は、子どもたちの心を一瞬でとらえます。一方、植物は動きがないのが一般的で、子どもたちの興味をひきづらいと言えます。そこで、オジギソウやネムノキの登場です。こんなにハッキリと動きが分かるものがあると知れば、子どもたちもガゼンおもしろがってくれるのではないかと思います。
【連載】モンタ先生の自然はともだち #16
執筆/森田弘文
目次
1.昆虫は動くからおもしろい、でも、植物は動かないから……
子どもたちと、授業で自然観察をしていて特に感じることは、子どもは、動くものにとても関心をもつということです。
ある植物の観察をしているときに、突然、モンシロチョウがひらひらと舞って来たり、トカゲが地面を走ったり、オニヤンマが目の前を通り過ぎたりすると、もう植物を一生懸命見ていたことを忘れたかのように、子どもたちは昆虫に目を奪われてしまいます。
確かに、動きという点では、植物は静的です。伸びたり、枯れたり、結実したりと、確かに動きはあるのですが、それらはとても緩やかなため、後になって気づくことが多いです。タケやヒガンバナなどのように短時間でびっくりするくらい成長するものもありますが、人間にとってはそれでもかなり忍耐力が必要です。
そんなイメージを覆すような、「見た目ではっきり分かるくらい素早く動く」植物を子どもたちに紹介することで、植物への興味を向けてもらうことができるかも…、なんて思いませんか?
そんなときに、最適の例があります。
例えば、オジギソウという植物です。葉に触れるとすぐに葉が閉じて「おじぎ」をするのが、その名前の由来となっています。そのスピードはかなり速く、数秒~数十秒で動きます。音や火でも反応することを筆者自身確かめたことがあります。
オジギソウの葉の付け根には葉枕(ようちん)という組織があって、刺激を受けると葉枕の中の水分が移動し、内部の圧力が変わることで素早く葉を閉じて葉枝が垂れます。
なぜそんなことをするのか長年ナゾでしたが、最近になって食草昆虫からの食害を防ぐためだということが分かりました。オジギソウは、亜熱帯から熱帯の中南米が原産の植物で、沖縄などでは野生状態で繁茂しています。花屋さんやホームセンターなどでも、安価で販売されていますので、みなさんも買い物のついでなどで、一度ご覧になってみてくださいね。


とはいえ、オジギソウは、本州以北などでは、自然状態ではほとんど見られません。
そのため、自然観察などの教育活動の中では、子どもたちが目にすることができない地域もあるかと思います。
そこで、もう一つ好例をご紹介したいと思います。日本全国に一般的に存在する、ネムノキという植物です。