両生類界のシティボーイ・トウキョウサンショウウオと、ステキな仲間たち【モンタ先生の自然はともだち】

昆虫と並んで、子どもたちに大人気の小さな生き物と言えば、トカゲなどのチョコマカと走り回る爬虫類が思い起こされますね。爬虫類は陸に棲むものですが、よく似た姿をしているものの、水辺にしか棲まない両生類という種類の生き物もいます。今回は、筆者がつかまえた、めずらしい両生類のトウキョウサンショウウオや、その他の小さな生き物たちをご紹介します。
【連載】モンタ先生の自然はともだち #13
執筆/森田弘文
目次
トウキョウサンショウウオとは

トウキョウサンショウウオは、東京都あきる野市で採取され新種と確認された、貴重な小型のサンショウウオです。名前に東京がついていますが、東京都のほか、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県と、福島県の一部でも分布が確認されています。
形態的な特徴としては、尾は左右に平たく、あばらに12本のしわがあり、全体は黒褐色、肌は滑らかで腹はイモリのように赤くはありません。成体は13センチほどにまで大きくなります。
丘陵地や山地の湧水がある林内に棲み、夜行性で昼間は木の下や落ち葉の下に隠れています。繁殖期は3~4月ごろで、水たまりに卵を産みます(上段左右の写真)。
この卵は卵嚢(らんのう)と呼ばれ、クロワッサンのような形をした、プルプルしたゼリー状の袋になっています。この中には50~70個程の卵が包まれており、1匹の雌は、この卵嚢を1対(2つ)産みます。
上の写真は、筆者が住んでいる、東京都八王子市の丘陵にある湧き水で、今年3月15日頃に発見した2つの卵嚢を育てた写真です。ここは毎年春に、20~30個の卵嚢が確認されている穴場です。
1つの卵嚢は何の変化もなく、やがて全体が白く濁って死んでしまいましたが、もう1つの卵嚢から生まれた9匹の子どもたちが、現在スクスクと育っています。
近年、雑木林の荒廃、谷戸田の耕作放棄や乾燥化、宅地開発や道路建設などにより、生息地である里山が減っています。また、外来生物が野生化し、近年問題視されているアライグマやアメリカザリガニによる捕食、販売目的の乱獲などによっても生息数が著しく減少しています。

とても珍しい上に、ご覧の通りたいへん可愛らしいので、ペットとして注目されるようになってきました。そのため、悪徳業者に大量の卵が乱獲されたり、ネットオークションで売りに出されたりするような問題も起こっています。
トウキョウサンショウウオは、令和2年2月より「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定されています。これを簡単に説明すると、「売買や譲渡は禁止だが、個人で獲って飼育するのはいいですよ」というものです。
持続可能な社会を今の子どもたちと共に作り、トウキョウサンショウウオの生息域が少しずつ増え、教材としての価値がある里山環境がいつまでも存続してほしいと願っています。