授業の基礎力をつけるために誰でもできる5つのこと【#三行教育技術】

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古舘良純の「つぶやききれなかったこと」【月1回不定期更新】
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岩手県公立小学校教諭

古舘良純
教室
撮影/髙野宏冶

学校で、子どもが一番長い時間を過ごすのが「授業時間」。
この授業を、子どもたちの学ぶ意欲を刺激する、ワクワクしたものにできれば、学校は楽しい場所になるはず。

♯三行教育技術(【技の名前+3行程度の箇条書き説明】に ♯三行教育技術 のハッシュタグをつけてつぶやくだけ!詳しくはこちら) でも話題の、ふるだてせんせい@YoshiJunF に、教材研究以前の、授業の基礎力をつけるヒントを教えていただきました。

執筆/岩手県公立小学校教諭 古舘良純

1「何のための授業か」一言で書いてから授業する

大学を出てすぐに講師で入った学校が「複式学級」でした。1、2年、3、4年、5、6年の3学級の小規模校で、支援学級もありませんでした。
そんな中で授業をすることになり、必死に先輩の先生の授業を見せてもらって学びました。

1時間の授業の中で、各学年を行き来する「わたり」を身につけなければならなかったのです。

6年生に前時の復習をさせている間に、5年生と本時の学習課題を考え、5年生に自力解決をさせている間に、6年生と答え合わせをして本時の学習課題を考える…。
実質半分の時間で、各学年ごとの指導を展開しなければなりませんでした。

もちろん、大学出たてでそんな芸当ができるわけもなく、4〜5月は授業がその時間に終わらないこともたくさんありました。その時、

  • 本時で最も重要なことを端的に言い表すこと
  • 指導のポイントを絞ること
  • 後ろから授業を組み立てること

を先輩の先生から教わりました。「この授業で何がしたいのか?」をシンプルに考えることを学びました。

この3つを意識すると、授業がいい意味で「スリム」になります。
時間に余裕が生まれることで本当に力を入れたい部分に力点をおいて授業をすることができるようになります。

2、基準となる数10 、20、30を決める

きっと、「拍手」が大切なことも、「いいね」と言うことも、「一人ひとり全員に声をかける」ことも、多くの方は「あった方がよい」「した方がよい」とお考えになると思います。でも、なかなか実践に移すことができなかったり、「あ〜そうだった!」と終わってから後悔したりすることもあるでしょう。

だからこそ、より意識的に実践していくために「10.20.30」と言う数字で基準を作ってみてはいかがでしょうか。

イメージとしては、「拍手を10回生む」ために、子どもたちの「いいな」「素晴らしいな」と思うところを20回ほめてみます。また、「いいな」「素晴らしいな」と思うところをほめるために、机間指導の中で「全員に声をかける」ことを自分自身に課すのです。

つまり、30人に声をかける中で、20個の価値を発見し、それを全体にシェアする中で10回の拍手場面を作るという教師側の課題設定をするのです。初めのうちは、達成は難しいかと思います。

そんな時は、

  • 30人に声をかけるステップをクリアする
  • 20個ほめるステップをクリアする
  • 10回の拍手を生むステップをクリアする

というように考えてみてはいかがでしょうか。数字を変えてもよいかもしれません。教師の意識改革が、授業の雰囲気を劇的に変えると信じています。

3、子どもの発言の後は「聞き手」も価値づけする

研究授業などを見ていると、発言した子に対して拍手が送られることがよくあります。素晴らしい態度でわかりやすく説明ができることへの称賛であると考えます。同時に、私は「それを聞いていた子どもたちの様子」にも拍手を送りたいと思います。

誰も聞いていないような状況で、安心して発言ができるでしょうか。誰も見てくれない状態で話そうと思うでしょうか。安心して堂々と発言できるのは、「それを成立させてくれる周りの環境」があるからだと思うのです。

私の初任時代の学級経営案には「よく聞き、よく反応する子を育てる」という文言があります。今でも大切に保管してあり、十数年経った今でも忘れてはならない心構えだと考えています。つまり、「発言」の裏には「発言をよく聞いている」という価値が存在しているのです。

そうした人的環境を整えていくことが、安心して発言していく子を育てる視点につながっていくのだと思います。

4、「奥」や「後ろ」の子に声をかける

「話を聞いていないなあ…」と思うときに、「静かに!」と叱ったり、「……。」と待ってみたりしたことはありませんか?
私は、子どもたちに負けない声量で一方的に話し続け「聞かせた気」になっていたこともありましたし、小さい声で話して「聞こえませんでした」と言われ、「聞いていないあなたが悪い」と子どもに責任を押し付けたこともありました。

全体へ話す技術はなかなか身につけることができませんでした。
「Zの文字を書くように教室を見渡しながら言うといいよ」と初任研で習ったり、新渡戸稲造の「武士道」を読んで「意識を『あの子』に集中」して言ってみたりするような精神論も試しました(笑)。

ある体育の授業中、最後に集合した時一番後ろに座った子がいました。用具を片付けて走って戻ってきたあとでした。その子に

「田中くん、片付けありがとう。話していいかな?」

と聞くと、全体が一気に「聞く雰囲気」になったことがありました。

「これだ!」と思い、次の時間に一番後ろの角に座っている子を名指しして「この声の大きさで聞こえていますか?」と小さめの声で聞きました。
すると、その子は「聞こえてます!」と答えてくれました。私は、「じゃあこの大きさの声で話しても聞こえるね」と言って話し始めました。
「後ろの子が聞こえるのに前の子が聞こえないわけがない」という意味で、子どもたちの間に緊張感を生むことができたのです。

こうした、一見1:1に見えるやりとりが、全体指導につながっているのです。

5、継続的に技術を身につける

私は「左利き」だったため、文字を書いたり漢字練習をするのも苦手でした。書写の授業は苦手を通り越して嫌いでした。
そんな私は、小学4年生の時に利き腕である左手首を骨折し、利き手ではない右手で文字を書かなければならなくなりました。祖母の「右利きにしたい」という思いから、私はその時から右で筆を持つようになりました。

困ったのは教育実習でした。板書をする時は人一倍緊張しました。力の入れにくい右手でチョークを持ち続け、妙な汗をかき、板書だけで筋肉痛になった記憶があります(笑)。

だからこそ、初任時代にはとにかく板書を練習しました。
文字を丁寧に書きたいという気持ちから、五十音を黒板いっぱいに書いたり、算数の問題を丸写ししたりしました。
また、フリーハンドで「まっすぐに線を引く」「大きな円を描く」他、波線や花丸なども練習し、チョークを何本も使った記憶があります。

私の強みは「継続すること」だと思っています。小さなことをコツコツと続けることです。急に大きなことはできません。地味なことを地道に続ける中で、教師としての感覚が研ぎ澄まされたり、人としての感性が磨かれたりするのだと思います。

「#三行教育技術」のようなスキルやハウツーの情報は簡単に手に入れることができます。大切なのは、それを教室に持ち込み、「うまくいっても・いかなくても」続けられるかどうかではないでしょうか。

古舘良純

古舘良純(ふるだて・よしずみ) 岩手県久慈市出身、北海道教育大学函館校出身、菊池道場岩手支部代表、バラスーシ研究会所属、共著『授業の腕をあげるちょこっとスキル』(明治図書)、平成29年度千葉県教育弘済会教育実践研究論文にて最優秀賞を受賞

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