学会に参加して理科の話を聞きにいってみよう 【進め!理科道〜よい理科指導のために〜】#47

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
進め! 理科道(ロード)
〜よい理科指導のために〜

学会と聞くと難しそうですが、実はお祭りみたいなもの。年に1~2回、こうした理科の発表会みたいなものが開かれます。そこには全国から理科に関心がある人が集まり、実践発表などもあります。「学会なんて全く縁がない」と思われているかもしれませんが、実は情報の宝庫、授業づくりに参考になることが多いのです。今回は、理科の授業の情報を仕入れる「学会」の全国大会について述べていきましょう。

執筆/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.「学会」って何をしているの?

周りの方で「学会発表をした」という先生はいませんか? 学会とは、ある内容に関して様々な視点で研究をして、それを発表や論文で披露したり、同じような研究をしている「同志」を見つけて情報交換をしたりする研究グループのことです。
また、発表したり、積極的に人脈をつくったりしなくても、他の人が研究をした結果を学んで自分の授業や研究に生かすこともできます。

つまり学会は、情報の発信側と受信側、またはその両方の目的で参加しています。

2.「学会」って難しいんでしょ?

私としては、学会は大学の先生や大学院生だけのものではなく、学校の先生方も参加するものと考えています。ある年の日本理科教育学会の全国大会の発表では、3割くらいの発表が現役の先生方でした。つまり、現役の先生方も積極的に参加して発表をされているわけです。

理科と言っても研究の視点は様々で、理科教育の歴史もあれば理科の評価法や普段の授業の指導法、教材研究などもあって、非常に多種多様です。
とにかく、学会発表は理科に関わっていて、これまで発表されていない新しいものであればいいわけです。

中でも実践発表は、多くの現役の先生方が発表される分野です。ある課題があり、それに対処した指導を考えたいという背景があり、ある考え方を授業実践に取り入れて実践してみたら、これまでの授業とこのように変わった。この点はうまくいったがこの点はうまくいかなかったなど紹介するわけです。これは日頃、子どもたちと関わっている先生しかできないことです。

「学会」と聞くと難しそうに感じますが、そんなことはありません。多くの実践発表もありますので、学びになることがあり、刺激を受けることになるでしょう。

3.発表しなくても見に行ってみれば?

学会はだいたい「全国大会」というものがあります。学会によって異なりますが、教育系の学会は夏や秋に全国大会をすることが多いように思います。毎年どこかの大学を会場にして行われますが、毎年ばらばらの県で実施されるため、毎年新しい場所に行くことができます。

全国大会の参加は必ずしも発表者だけではありません。聞きに行くだけの参加者の方もいらっしゃいます。最初、どのようなものか不安がある場合は、一度見に行くだけの参加をしてみてはどうでしょうか。どなたか知り合いと一緒に参加すると、それぞれ別の発表を聞いて情報交換することもできますし、同じ発表を聞いて互いの考えを交換することもできます。私の感覚では、現職の先生もそうですが指導主事の先生も情報の収集に来られている印象です。いずれにせよ、理科の授業について考える機会をつくっていることになるので、とても良い学びになること間違いなしです。

また、懇親会なども開かれており、ゆっくりお話をすることもでき、これまで関わることがなかった人たちともかかわることができます。

4.どのような学会に参加してみたらいいの?

理科教育、特に理科の指導法について、という視点で言えば、私は、まずは幅広いニーズに対応できる「日本理科教育学会」へのご参加をお勧めします。
先ほども述べたように、様々な分野があるためどれかにはフィットするはずです。また、「日本科学教育学会」「日本教科教育学会」も理科教育学会よりは実践発表の数が減りそうですが、授業に関係する発表があります。さらに言えば、ICTとのつながりで「日本教育工学会」、教育心理学とのつながりで「日本教育心理学会」も理科の授業と絡めた発表があります。
このように、学会と言っても様々な分野があります。まずはご自分が何に興味があるのか人の実践を聞いてみて考えてみるのもいいのではないでしょうか。

学会の模様

イラスト/難波孝

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寺本貴啓教授

<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。

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