小6国語「創造」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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大阪府公立小学校教諭

岡本美穂
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今回の教材は、巻頭の詩「創造」です。新年度の早い時期に、子供たちに国語の授業が楽しいという「希望」を与えることが大切です。この詩を通して満足のいくノートづくりにつながる授業を展開します。子供たちのノートづくりを助ける板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂

 

教材名 「創造」(光村図書出版)

単元の計画(全1時間)

  1. 詩を読んで、いいなと感じた言葉や表現などを出し合う。詩を音読することができる。

板書の基本 

光村図書出版の国語教科書6年の巻頭の詩を授業します。

■満足するノートにつながる板書づくり

国語の授業開きで大事にしていることは、子供たちに国語への「希望」を1時間で与えることです。

「先生、今日の授業楽しかったなぁー」
「さっき先生が言っていたことってこういうことやんなぁ?」

授業後の教室がこんな会話であふれたとき、何とも言えない、この仕事のすばらしさを実感する瞬間です。

子供たちが楽しいと思う授業、できるが増えた授業、分かる授業、それをサポートする道具の1つが「ノート」です。勉強する前と勉強した後の「かしこさ」がノートからにじみ出るようにすることが大切です。

○子供がノートを大切にしている。
○ノートを書くことが楽しい。

と感じることと、学ぶ意欲には大きな関係があるということです。

ただし、いきなり「ノート指導」に取りかかったからといって、急に子供たちが変化するということはありません。注意すべきポイントを押さえながら、子供を信じて、子供の姿を通して実践していきましょう。

「子供がノートを大切にしよう!」と思えるのはどんなときだと思われますか?

それは、子供自身が、自分で書いたページに満足したときだと、子供から教えてもらいました。どんな子供も自分のノートをすてきなノートにしたいのです。だから、最初のページだけはきれいな字で書きます。しかし、続かないのです。それは、やる気はあるのに、子供の書くスピードと、授業のスピードに差が出てきたために追い付けなくなるからです。そこで、ノート指導を大切にするために、4つのことを授業で心がけています。

①板書の文字は少なめに書く。
②子供の書くペースに合わせて、板書の文字もゆっくり書く。
③励ましの言葉をたくさん伝える。
④よいノートは掲示する。

4、5月にこの取組ができるかどうかで、その後、子供の意欲がまったく変わってきます。

板書のコツ(1/1時間目)

1/1時間目前半の板書
1時間目前半の板書 

板書のコツ

このように題名はふせて、いきなり「一枚の紙から」と板書していきました。そして「船」「飛行機」は書かず、考える時間をとりました。自然に「どう思う?」と聞き合っているペアを見付けてはそういう姿が大事だと伝えていきます。

子供たちはいろいろイメージしていましたが、なかなか正解が出ないので、「何色の紙ですか?」と聞きました。子供たちは「白色」などと言いながら「画用紙?」「折り紙?」と考えを広げていきます。正解することよりも、「一枚の紙」という言葉からイメージしたことを友達と共有する楽しさに気が付いてほしいと思っています。そうしているうちに「紙飛行機?」という意見が出て、「船と飛行機」が出てきました。それを子供たちはノートに書きます。

 

1/1時間目中盤1の板書
1/1時間目中盤1の板書

板書のコツ

二連目も、一連と同じ流れで行っていくのでスムーズです。「ひとかたまり」を辞書で調べて、イメージしている子供たちもいましたので、国語では「辞書」を活用する大事さも伝えていきます。

「低学年のときに粘土で遊んだな」などのつぶやきから「動物」がすぐに意見として出てくるので「象」は分かりやすいようです。

ただ、「つぼ」はひねりがあるので、作者の考えに迫れるように「粘土とは?」と発問しながら進めていきました。一連と二連を終えて、音読していきます。その際、詩の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすることができることをめざします。

 

1/1時間目中盤2の板書
1/1時間目中盤2の板書

板書のコツ③

三連目は、何も言わずに板書していきます。すると、つぶやきで「さっきとは違う」と発見していましたので、そういう「比べる力」は国語で大事にしていくことを伝えます。

誰に向かって、何を呼びかけているのかを考えるために、「わたしたち」「手」を隠して、また子供たちに考えてもらいました。「紙」も「粘土」も両方とも手を使うから、と根拠をもって意見を伝えてくれたので、今後の授業でも「なぜかというと」という根拠は大事にしようということを伝えます。

ただ、題名をまだ伝えていないので、全体を音読した後に考えました。ペアなどで意見交流していくと「そうぞう」という言葉が出てきていました。そこで「想像」か「創造」かどちらなのかを考える時間をとりました。

辞書で調べながら、今回の授業を振り返っていく姿が見られました。

 

1/1時間目後半の板書
1/1時間目後半の板書

板書のコツ④

最後に、これは光村図書出版の教科書の扉の詩であることを伝え、実は東京書籍の教科書にも扉の詩があることを伝えました。それぞれ6年生としてテーマがあるので、みんなが使っている東京書籍の教科書は「いのち」がテーマになっていることを、目次を通して確認しました。

「創造」と「いのち」。このことを1年間通して大事にしていこうと伝え、振り返りを書きました。
教科書会社が光村図書出版の場合は、また、次の単元にあるような「楽しく書こう」「続けてみよう」につなげることも意識します。

 

構成/浅原孝子

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