ウェルビーイングを学校でつくる! ~SDGsの授業プラン #18 「Goal 9 産業と技術革新の基盤を作ろう」を学ぶ授業|次呂久あや 先生


全国各地の気鋭の実践者たちが、SDGsの目標に沿った授業実践例を公開し、子どもたちの未来のウェルビーイングをつくるための提案を行うリレー連載。今回からは「産業と技術革新の基盤を作ろう」を学ぶ授業実践提案です。提案者は、沖縄県石垣島の次呂久あや先生です。
執筆/沖縄県公立小学校教諭・次呂久あや
編集委員/北海道公立小学校教諭・藤原友和
目次
1 はじめに
石垣島で小学校教員をしている次呂久あやです。生まれも育ちも石垣島、島の文化や自然が好きで、学校教育の中で子どもたちが島の魅力・よさを実感できるような学びづくりを目指し、日々実践しています。
現在の勤務校である石垣小学校区には地域の文化や自然に精通した方が多く、地域を学ぶには最高の環境です。こんなチャンスは活かさない手はない!ということで、社会や総合、道徳の授業でゲストティーチャーを招き、生の話を聴き、ホンモノに触れ、学びへのきっかけづくりをしてきました。
今年度は4学年担当で、教科の枠を超えて伝統行事・工芸・文化・まちづくりを学び、「地域のよさや伝統を “いつの世までも” 受け継いでいくために、私たちにできることはなんだろう」と子どもたちが自分事として探究し考える授業づくりを目指しています。
今回は社会科や総合、道徳の授業で地域についての知識、理解を深め、Goal 9「産業と技術革新の基盤を作ろう」について協働的に学ぶ機会にしたいと思い、実践しました。
石垣島という小さな島ですが、昔からの伝統を受け継いでいる中小企業、新しいものづくりを目指す若手がたくさんいます。子どもたちが実際に見学をしたり講話を聴いたりすることを通して、その魅力を持続可能なものにしたいと感じ、その視点がSDGsについて考える機会になることを期待します。
2 SDGsのGoal 9についての解説
SDGs Goal 9「産業と技術革新の基盤を作ろう」について解説します。
Goal 9は「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」のテーマのもとに8つのターゲットで構成されています。「インフラの構築、整備(9-1)」「新しい技術開発による持続可能な産業化(9-2,9-3,9-4,9-5)」が大きな目標です。
【インフラの構築、整備】
人々の生活向上、持続可能な産業発展につながる技術革新は、基礎的なインフラ(電気、ガス、水道、交通、インターネット等私たちの生活に必要な施設や設備)の整備が前提となります。しかし開発途上国においては、安定的な電力供給を受けられない人が約26億人、水資源にアクセスできない人が約8億人、電話サービスが受けられない人が約10~15億人と、当たり前のインフラが満たされていない現状にあります(引用:SDGs支援機構サイト「SDGsジャーナル」より)。自然災害にあっても、いち早く元の状態に回復できるインフラを整備することで、持続可能な世界の実現を目指します。
【新しい技術開発による持続可能な産業化】
持続可能な産業化を目指す上で、技術の開発はもちろん、サービスや市場の整備、さらには開発途上国への技術支援が必要不可欠であり、世界の国々が手を取り合って解決していく目標となっています。日本各地を見てみると、小さな企業が持続可能な産業化を目指し、新たな取組に挑戦しています。そこに目を向けることが、SDGs、よりよい社会の実現、さらにはウェルビーイングをつくるヒントがあるのではないかと考えます。