理解に差がでる!「矢印」の効果的な使い方【ノート指導13】
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何気なく使っている「矢印」を意識して活用すれば、子どもの理解に差が出ます! 意味を考えた「矢印」の使い方のお話です。
執筆/北岡隆行
目次
矢印の3つの役割
矢印は、
①時間の流れを意味する
②原因と結果の流れを示す
③関連づける
の3つの意味づけができます。
時間の流れを意味する矢印
「時」を表す言葉を抜き出して、矢印でつなげるとわかりやすくなります。たとえば、「ごんぎつね」でいうと、これが何日間の話かを考えるとき、
と結びつけると、全体がわかりやすくなります。この間に、( )のように「誰が、どうした。」の文を入れたり、絵を加えると物語のあらすじが見えてきます。
原因と結果の流れを示す矢印
「レストランスクリプト」を知っていますか? レストランに入った「原因」とチップをはずんだ「結果」の文だけがあり、その間の「飛躍」をうめるというもので、「どうして、そうなったの?」ということを矢印から導き出すというものです。
たとえば、
・レストラン自体が気に入ったのかもしれない。
・料理がおいしかったのかもしれない。
・ウエイターのサービスがよかったのかもしれない。
・もしかすると、レストランで打ち合わせをしてうまくいき、気持ちがよくなったのかもしれない。
などが、そうなった理由として考えられます。
よい教材があります。
これを板書したうえで、「『小犬はボールをとってきた』それなのに『お母さんにしかられた』。なぜだと思う?」と聞き、(飛躍)を埋めるように考えさせました。
▶なんでも落ちているものを拾ってくる小犬なんじゃないかな。
▶テレビでやっているみたいに、おつかいを頼まれた犬じゃないかな。それなのに、ボールをとってきたから、しかられた。
「なるほど、そんなわけがあったんだ。」
ここで、「小犬は〜(原因)」と「お母さん〜(結果)」を矢印で結びつけました。それで子どもは次のような作文を書いたのです。
関連づける矢印
「三年とうげ」(光村3年上)に、そこで転んだら3年しか生きられないとうげが出てきます。
「主人公のおじいさんは、この言い伝えを信じていたのだろうか?」と問いかけると、全員が信じていたと答えました。「それなら、信じていたという証拠の言葉を書いてごらん。」と言って書かせました。
「気をつけて」と書いてあるのは、「転んだら大変だと思うから」と発表がありました。一つの言葉から考えたことです。ここで、①のように言葉と子どもの考えをつなげる矢印をつけます。
よりよい考えは複数の言葉を関連づけながら考えることです。
たとえば、
「『ごはんを食べずに』いたのは、こわくて『がたがたふるえていた』。そのことばかり考えていたから『病気になって』、だから、ご飯がのどを通らなかったんだよ」と言ったら、②のように言葉と言葉を矢印で結びつけるのです。
より深く、心情をとらえるようになります。
イラスト/相澤るつ子
「COMPACT64 ノート指導 早わかり」より