移行期2年目の学校経営|管理職がこの1年間ですべきこと

いよいよ新年度がスタートし、小学校では新学習指導要領の全面実施まで残すところ1年となりました。万全の態勢で全面実施を迎えるために、この1年間をどのような計画のもとに進め、指導の充実を図っていくか。「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」の確立に向けて、スタートプランの考え方を解説します。

写真/大庭正美

カリキュラム・マネジメントは、校長が学校全体に周知を図る

2019年度の教育課程がいよいよスタートします。小学校では新学習指導要領全面実施までのラストイヤー、中学校でも移行期2年目となり、さらなる取り組みの充実を図っていくことが求められます。

ではこの移行期2年目を学校全体としてどのように過ごしていけばよいのでしょうか。

まず確認しておきたいのが、新学習指導要領の趣旨や、新学習指導要領下での学びのイメージを、全教員が理解し共有できているかという点です。

学校としてカリキュラム・マネジメントに取り組むにあたっても、「主体的・対話的で深い学び」の視点で授業改善を図っていくにしても、その目的やめざすところ、具体的な方策などについて共通理解ができていなければ、教員それぞれが別々の方向へ走り出してしまうおそれがあります。

教員個々の研究、研修だけに任せず、校長のリーダーシップのもと、学校全体での勉強会、研修会などの場で、新学習指導要領の理念や趣旨、基本的な内容について周知を図っておきたいものです。

そのうえで、各教科等における移行措置についてもあらためて確認し、学習内容に漏れや重複などがないことをチェックしておくことも忘れてはなりません。この移行期間中の教育課程については、2018年度の段階である程度、計画されているはずですが、修正・改善すべき点があれば、2019年度のスタートまでにしっかり軌道修正しておく必要があります。

プログラミング教育など新たな項目は指導方法を具体で示す

そのうえで、移行期2年目においては、具体的な改訂項目、改善事項についての研修・研究に計画的に取り組んでいかなければなりません。新学習指導要領では、「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」といった大きな柱に加え、プログラミング教育の導入、外国語教育の充実、伝統や文化に関する教育の充実、消費者教育・主権者教育の推進など、新たに取り組む内容や、重視する内容が数多くあります。

これらについて、どのような形で教育課程に組み込んでいくか、また具体的にどのような指導を行っていくか、計画的かつ段階的に準備を進めていかなければなりません。

特にプログラミング教育などはこれまでの学校教育にはなかった新しい取り組みであり、指導に不安を抱いている教員も多いはずです。外部講師の指導を仰ぐなどして、具体的な指導内容・指導方法を確立していきましょう。

もちろん、すべての取り組みがすべて最初からうまくいくわけでありません。しかし、取り組んでみることによって見えない課題が見えてくることもあるはずです。移行期だからこそ、ある程度の失敗や試行錯誤も許されると割り切って、課題の洗い出しと改善に取り組む1年としたいものです。

文/葛原武史(カラビナ)

『総合教育技術』2019年4月号

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