小3国語科「漢字の広場①」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科 「漢字の広場①」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校教諭・石井康介

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、第2学年までに学習した漢字を使い、絵を見て想像したことをもとに文を書く活動をすることで、第2学年までに学習した漢字を確実に定着させることをねらいとします。
また、教科書に提示されている挿絵と言葉とを結び付けることで、語彙を豊かに広げる学習にもなります。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

この単元では、動物園の絵を見て想像したことをもとに文を書くという活動を設定します。
教科書p35には、たくさんの動物の姿が描かれています。動物が大好きという児童は少なくありません。この楽しい絵の中に第2学年までの配当漢字が「言葉」として配置されているため、児童は挿絵と言葉を結び付けながら、楽しんで文を作ることができるはずです。夢中で文を書いているうちに、自然と漢字が定着しているような授業を目指したいものです。

漢字を正しく使うことはもちろん、主語と述語が正しい関係で書かれているか等、文の構成に触れることや、「他に似たような言葉を知っているかな」などと問いかけ、語彙を豊かにしていくことも大切です。

個人で文を作ったら、今度はグループで活動します。それぞれが作った文をつなげて「動物園での一日」としてまとめます。グループで活動することで、自分が使わなかった言葉に出合い、さらに語彙を広げることができたり、間違った漢字や文法を指摘し合ううちに、文を整える力を高めたりすることができます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 漢字の大切さを見つける

中学年になると、新出漢字が増えます。低学年の内は楽しく書けていた子も「漢字で書くのは面倒くさい!」「テストのために漢字を覚えなくては…」という考えになってしまうことがあります。
このような考えを少しでも減らし、漢字の学習を主体的なものにしていくために、指導者は漢字を扱う単元ごとに、漢字の楽しさ、便利さ、必要性等を児童に伝える必要があると考えます。

単元の初めに、漢字を使わずにひらがなで書かれた文を提示します。「読みづらいから漢字で書いた方がいい」と反応する子が出てくるでしょう。ここで「今回は、漢字を正しく使って文を書けるように学習をしましょう」と投げかけるようにします。ちょっとしたことですが、何のために学習をしているのかを、学習者が意識していることが、主体的な学びの第一歩だと考えます。

〈対話的な学び〉 グループで「動物園での一日」の文を作る

自分が書いた文を持ち寄って、グループの友達と協力しながら「動物園での一日」としてまとめるという課題を設定します。
「門でチケットを買います。」「門のちかくには、長い首の黄色いキリンがいます。」「昼下がりに牛が鳴いていました。」…のように動物園の様子をお話にしてつなげていきます。
グループで活動することで、友達の漢字の使い方のよいところを認め合ったり、間違った漢字や文法を指摘し合ったりして、文を整えながら楽しく漢字を学ぶことができます。
また、友達が、教科書に載っていない言葉を使っていたら、語彙を増やすことにもつながります。

また、それぞれが考えた文を一つにまとめることで、文末の表現をそろえる必要があると考える子や、「そのあとに」など、文と文をつなぐための言葉が必要だと考える子が出てくるかもしれません。
今回はそこまで求めていませんが、指導者が想定をしておき、児童の実態に応じて指導できるようにします。

〈深い学び〉国語辞典、漢字辞典を活用し、学びを広げる

提示されている語句を使って文を書けるようになってくると、児童は、別の熟語や違う読みを使った文を書きたくなってきます。
「そういったときに便利なものは何でしょう。」と、ぜひ児童に問いかけてみてください。直前の単元で扱った、「国語辞典」が児童から出てくるはずです。国語辞典を実生活で活用するチャンスです。1人1冊用意して、いつでも自分が書きたい言葉について調べられるようにしておきます。友達が書いた文の中に、知らない言葉があったときにも、国語辞典が活躍します。困ったときに辞書を引く習慣を身に付けておくと、語彙を増やすことができます。また、言葉に対する理解を深めることができます。

漢字辞典については、4年生の学習で扱いますが、教室に1冊は用意し、誰でも手に取れるようにしておくとよいでしょう。

本単元をきっかけにして、辞書を調べて気付いたことを様々な場面で活用できるように働きかけていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)場面ごとに分けて提示する

教科書p35の挿絵を教師用端末に取り込み、場面ごとに分けた画像にして保存します。Googleスライドに画像を貼り付け、一つ一つの画像を順番に提示できるように準備しておきます。こうすることにより、授業の初めに漢字の読み方を確認するときなどに、一つの場面だけを提示することができます。

教科書p35には、1ページの中にたくさんの言葉が提示されています。クラスの中には、どの言葉の読みを確認しているのか分からなくなってしまう児童もいると思います。場面ごとに区切った画像を提示することで、集中して学習に取り組めるようにします。

(2)作った文を写真に撮り、タブレット端末上で共有する

各グループで「動物園での一日」を作成するときに、1人1台端末を使用します。
児童は、グループで話し合いながら完成させた文を写真に撮り、その写真をスライドに貼り付けます。場面の画像も一緒に貼り付けることで、紙芝居のような作品を作ることができます。このようにすると、後で読み合うときに楽しいですし、たくさんの作品を短い時間で簡単に読み合うことができます。また、コメントを書くページを用意しておけば、作品を読んだ後の感想などを伝え合うことができます。 

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 漢字の広場①

【主な学習活動】
第1時(1時
① ひらがなで書かれた文を読み、漢字で書く大切さを考える。
② 挿絵の中の言葉の読み方と意味を確認する。〈 端末活用(1)〉
③ 例文を見て、漢字の使われ方を確かめる。
④ 例文を参考にして、動物園の様子を表す文を書く。

第2時(2時
① グループになり、動物園の様子を表す文を読み合う。
② グループで話し合いながら「動物園での一日」を作る。   
③ 他のグループの作品を読み合う。〈 端末活用(2)〉           
④ 友達の文のよいところなど、感想を伝え合う。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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