SNS時代の学級活動(2)で重視する話合い活動の4つの思考過程とは
特別活動の学級活動(2)は、一人ひとりが自己の問題解決に対して意志決定をし、実現に向けて粘り強く実践していく活動です。そのための話合い活動の流れにおいて、「つかむ→さぐる→見つける→決める」の4つの段階が重視されます。今回は「SNSのよりよい使い方」という課題について、この4つの段階を見ていきましょう。
執筆/東京都八王子市立小学校校長・清水弘美
目次
大切!「つかむ」活動のつくり方
学級活動(2)の多くは、「つかむ→さぐる→見つける→決める」の流れで活動させます。
特に大切にしたいのが、「つかむ」のつくり方です。「SNSの使い方」という題材は年間計画にあるものなので、教師の意図的な指導になります。子供たちがいかに自分事として、自主的に考え、実践的な活動につなげられるかは「つかむ」場面にかかっています。
「つかむ」では、子供たちの気づかない事実を示すことが効果的です。例えば、自分たちのアンケート結果を見て、自分で考えていたのとは違う考えの人がいることに気づかせたり、写真や映像を見せることで知らなかったことを知ったりするということです。また、自分一人で考えていたけれど、みんなもそうだったのかという気づきもあります。
ここで、「SNSを使う上での課題」に気づかせます。
たくさんの意見から「さぐる」活動をつくる
SNSを使う上での課題をつかみ、その原因を自分の経験や一般的な情報から知っていることを共有します。ここは、教師がリードしてたくさんの意見を出させます。
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解決策を「見つける」活動は対話的につくる
解決策は、子供がお互いに話し合って思考を広げ、解決策を見つけます。一人では思いつかない考えにたくさん出合い、自分の意見と比べながら自分の意見を深めていく対話的な活動になります。グループで考え、相手の意見を否定することなく意見を出し合い、拡散させましょう。意見をまとめる必要はなく、オープンエンドでよいのです。
グループで出た意見を学級全体で共有する時間も取りましょう。
「決める」では行動につながる「具体」が重要
最後に、自分が実践することを決めます。ここで大切なのは、いかに具体的にするかということです。例えば、「人が嫌がるSNSの使い方はしない」というのではなく、「いない人の悪口は言わない」「夜8時までしか使わない約束をする」「終わりにする合図を決める」など、実際の行動につながる決定をすることが大切です。そして、まず1週間程度実践して振り返りをします。
特別活動の学級活動(2)は、自分の行動変容につなげて、日々の生活を気持ちよく過ごしたり、健康的に過ごしたりできるようにすることが求められます。
『教育技術 小五小六』2019年12月号より