小学生の頃の思い出|絵本作家 寺門孝之さん

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雑誌『教育技術 小一小二/小三小四/小五小六』では、月替わりで人気の高い絵本作家に表紙用のイラストの作画をお願いしています。本コーナーでは、その絵本作家さんに、小学生の頃の思い出を綴っていただきます。今回は、2019年12月号のイラストを担当していただいた寺門孝之さんです。

 『教育技術』2019年12月号3誌の表紙に使用された、寺門孝之さんの絵
『教育技術』2019年12月号3誌の表紙に使用された、寺門孝之さんの絵

小学生の頃

小学校入学時に神戸市の西の端の新興住宅地に引っ越してきて、それが僕にはよかったのだと思う。それまで同年代の子供たちが本当に苦手で、隣の男児が遊びの誘いに来ると、食卓の下に隠れるような弱虫だった僕が、小学生になってからはクラスメイトと付き合うようにもなっていった。

何よりも「おたのしみ会」好きで、学期終わりの日には、教室の机を後ろに送って積み上げ、教壇はステージに、廊下を楽屋とし、椅子だけとなったスペースに並ぶ観客の前で、代わる代わる寸劇だの、漫才だの、歌だの、手品だのを繰り出し合う「非日常」に没入した。学内だけにとどまらず、仲間と準備をして、クラスメイトのほとんどを自宅に集めて演芸大会を開催したりのお祭り人間となってしまった。

寺門さんの小学生時代
寺門さんの小学生時代

野山や広大な空き地を走り回って

当時、自宅の周囲は山を切り開いたばかりの広大な空き地、まるで西部劇の舞台のようで、その先にはいまだ開かれない山があり、めずらしい野草や、昆虫や小動物と簡単に出逢うことができた。ランドセルに根掘りやタガネを入れて登校し、放課後には野原や山に寄って、化石を掘ったり、新しいスミレを探したりして廻った。また、辺りは源平の古戦場でもあって、少し足を延ばすと、神社や仏
閣が豊富で、非業の死を遂げた武将の塚を廻ったりもしたものだ。そうした趣味嗜好はそっくりそのままずっと持続して、いまもほとんど小学生の頃とおんなじメンタルで日々を過ごしている。

寺門孝之
1961年愛知県生まれ。第6回日本グラフィック展大賞受賞。天使や物語世界を描き、書籍装画や絵本、ライブペインティングなど幅広く活動。おもな絵本に『ぼくらのオペラ』(イースト・プレス)、『猫とねずみのともぐらし』(文・町田 康 フェリシモ出版)ほか。神戸芸術工科大学教授。
寺門さんのHP http://www.terapika.com/

『教育技術』2019年12月号より

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