小3国語「ことわざ・故事成語」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「ことわざ・故事成語」です。単元学習は、「グループで、ことわざ辞典を作り、紹介する」です。この活動を成り立たせるために、調べる、辞典をつくるという学習活動への導きが必要です。そのため、情報の整理という視点で考えさせる板書、教科書に書いていないことわざへ広げられるようにした板書など学習活動の手がかりになる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子

 

教材名 「ことわざ・故事成語」(光村図書出版)

単元の計画(全4時間

1 提示されていることわざを手がかりに、ことわざを集める。
2 学習を生かし、さらに、ことわざをを集める。
3 故事成語について知り、提示されている故事成語の意味や由来を調べる。
4 グループで、ことわざ辞典を作り、紹介する。

板書の基本

〇教材「ことわざ・故事成語」は次の2つの学習活動を示しています。

①ことわざの意味を国語辞典やことわざの本を使って調べる。

②グループで、自分たちのことわざ辞典を作る。

いずれの活動も、これらのことわざ・故事成語をすでに知っているであろうという前提で示しています。この活動を成り立たせるために、調べる、辞典をつくるという学習活動への導きが必要であると考えました。そのためには、教科書に示されている例を活用して、「ことわざを集める」という学習活動を考えました。

〇板書では、次の2つのことを配慮しました。

①調べる手がかりとなるように、教科書に示していることわざを整理できるように工夫して板書しました。つまり、情報の整理という視点で考えさせる板書です。

②調べる学習活動に役立ち、さらに教科書に書いていないことわざへ広げられるように、「にた意味のことわざ」「反対の意味のことわざ」も併せて指導しました。これは、ことわざは「生きていくうえでのちえや教えを短い言葉や言い回しで表す」ということと関連させて理解させるためです。このことが、調べる学習活動につながるようにしました。

板書のコツ(1/4時間目前半)

小3国語「ことわざ・故事成語」 板書
1/4時間目前半の板書

 板書のコツ①

日付・題名・めあて「ことわざを集めよう」を板書しました。すでに、「知っている」とつぶやく子もいました。「知っている」という子に指名をすると、「花より団子」「猿も木から落ちる」と発表がありました。これらの発表のようにすでに知っていることを授業で進めると、いかにも授業が活発に見えます。しかし、学習内容としては初めてであることを前提に、教科書を読むことから授業を始めました。

理解させたのは次のことです。

①「ことわざ」について、文章を読んで理解する。

②調べる学習をする。

③「ことわざと絵」から意味を予想する(この段階で、知っている子の発表を聞きました)。

板書のコツ②

いくつかのことわざを取り上げるため、黒板の右から左へと直線を引き、2段に分けました。ここでは「犬も歩けばぼうに当たる」や「ねこの手もかりたい」「善は急げ」「石橋をたたいてわたる」を取り上げました。

「ことわざ」の大体の意味を理解させるために、教科書の絵を手がかりにして、ことわざを発表させました。ことわざは、上段に「犬も歩けばぼうにあたる」「ねこの手もかりたい」、下段に「善は急げ」「石橋をたたいてわたる」をカードで示し、意味を板書しました。

板書のコツ③

黒板に貼った4つのことわざを学習しました。子供は、上段の2つのことわざには「動物」が登場していることにすぐに気が付きました。下段の2つのことわざは、共通点がないので、縦に線を引き、2つに分けました。「善は急げ」は意味から「教訓」、「石橋をたたいてわたる」は「そのほか」と仲間分けをし、黒板の中央に「動物」「教くん」「そのほか」と板書しました。教科書のことわざは、この3つで仲間分けができると考えたからです。

板書のコツ(1/4時間目後半)

小3国語「ことわざ・故事成語」 板書
1/4時間目後半の板書

板書のコツ①

上段には「動物」が出てくることわざを集めました。子供から「ねこに小判」という発表があったので、板書し、意味を確かめました。「にた意味のことわざ」があることを話題にすると、「ぶたに真じゅ」「馬の耳に念ぶつ」の発言があり、板書しました。

同じように下段に「善は急げ」のことわざを広げる学習をしました。「にた意味のことわざ」「反対の意味のことわざ」へ話題を広げるために、「にた意味のことわざ」「反対の意味のことわざ」のカードを貼りました。子供たちには少し難しかったようなので、例として「思い立ったが吉日」や「待てば海路の日和あり」を示しました。すると、「なるほど」という発言があり、次の学習予定であるグループ学習に役立つと感じました。

板書のコツ②

調べ学習へと導くために、次のように指導し、板書しました。

①動物に関するおもしろいことわざの例として「とらの威をかるきつね」を示しました。知っている子もいましたが、あえて、辞書で調べることを指導し、調べる活動に子供の意識を高めるようにしました。

②「石橋をたたいてわたる」のことわざでは、「にた意味の言葉」として「念には念を入れよ」を板書しました。ことわざの意味を理解するだけでなく、「にた意味のことわざ」や「反対の意味のことわざ」など、語彙を広げさせています。

 

構成/浅原孝子

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