11月の荒れに効く4粒の特効薬
目次
お悩み5 保護者との連携がうまくとれない時は?
二学期後半になると、子どもや学校に無関心になる保護者も増えてきます。宿題をやらない子には、家庭との連携が必要ですが、連絡しても放置する保護者もいたりと困ってしまいます。
【特効薬4】が効く!
子どもをみんなの前でほめ、子どもに家庭で学校の話をさせる
これは【特効薬4】をお薦めします。保護者からの信頼を得るためには、行事、参観日はもちろんですが、日頃いかに「気になる子をほめているか」がポイントになります。「人の物を拾ってあげた」「前の日に宿題を忘れたが、正直に言いにきた」「翌日にはしっかりと提出した」など、ちょっとしたよいことを一つひとつほめてあげることでクラスはまとまっていきます。
私は、その子に折り紙で作った特製の紙飛行機をこっそりあげたり、時にはみんなの前で拍手と共に与えたりして、その子と教師の絆を深めていきます。
するとこの子は家に帰った時にその折り紙を保護者に見せて、きっとそのほめられたできごとを話すことでしょう。こうしたちょっとしたことが保護者と教師の信頼関係の絆を強め、家庭での学習意欲にもつながるのです。
お悩み6 子どもや保護者からの不満にどう対応すればよい?
学校生活になじめないストレスが爆発し、落ち着かない行動が増えるなど、「小一プロブレム」が二学期になってから目立つようになってきました。保護者の中にも環境の変化についていけない方もいます。例えば子どもたちにトラブルがあった場合、保育園や幼稚園によっては、個人保護の観点からお互いの名前は伝えず、すべて園の責任として園側がそれぞれの保護者に謝罪するところもあるようです。しかし小学校ではトラブルがあれば、できるだけ具体的に伝えます。そのため保護者からは「どうして学校が対応してくれないのか」など、不満につながることもあります。
【特効薬3】が効く!
子どもが安心できる環境をつくり、子どもの気持ちに寄り添う
子どもたちに交流があるからトラブルが起こるのですよね。これは決して悪いことではありません。その上で対応を用意しておきましょう。ここでは、「子どもが教師や学校を好きであること」、そして、「日頃から教師の姿勢を子どもたちにいかに伝えられるか」がポイントです。なぜなら、それが保護者に伝わるからです。
家庭で子どもが「先生大好き!」「学校大好き!」と言っていることが、家庭に対しても、子どもの学級は「世界一のクラス」である証しになります。その子にとって居やすい場所、安心できる空間が「世界一のクラス」になります。これが一年生の学級経営の土台になります。
その上で、【特効薬3】を処方しましょう。保護者同士に謝罪をさせるのではなく、まずは、子ども同士の気持ちに寄り添い、お互いにあったことを正直に話すこと、自分の行為をふり返らせるように導くことが大切です。自分のしたことの間違いに気づいて謝ったことに対してはしっかりとその行為をほめてあげましょう。
お悩み7 すでに荒れてしまった時は?
一学期に学級のルールを徹底できておらず、二学期後半になって荒れてしまいました。
【特効薬1】が効く!
「空気のドーナツ」を再構築し、くり返し指導を徹底させましょう
子どもたちの成長は大人の成長に比べてとても速いということを再認識しましょう。しかも、一度教えたことでも、クラスの約束(空気のドーナツなど)や、一度決めたことが守れない時には、その都度徹底させて指導していかないとクラスは成熟しません。
何度もくり返し指導することを怠れば、教師の怠慢と言われてもしかたありません。まずは、【特効薬1】で「空気のドーナツ」を構築し直しましょう。
お悩み8 子どもたちが言うことを聞かない時は?
指導を厳しくするあまり、子どもたちの信頼関係が築けず、子どもたちが言うことを聞かなくなくなってしまいました。
【特効薬2・3】が効く!
第3の目を使って子どもたちの気持ちを一つにする
子どもの気持ちを一つにすることは、教師と子どもたちの二者で考えると行き詰まってきてしまいます。しかも一度、信頼関係が崩れてしまうと、その信頼を回復することは難しいものです。しかし、第三の目(ケロちゃん)を置くことで学級がまとまることもあるのです。
子どもたちの「ヒーローのケロちゃんが大好き(+)」という気持ちを大事にしましょう。そして、教師自身もケロちゃん大好き(+)と宣言しましょう。するとハイダーの「バランス理論」で考えると、その二者=子どもたちと教師も(+)になるのです。これも教室に第三の目を置くメリットの一つです。
教師がいつも笑っているクラスは、子どもも笑っています。以前、先輩の先生にこんなことを言われました。「子どもを笑う教師にはなるなよ、子どもと笑う教師になれ!」と。これからも笑顔で前を向いて歩んでいきましょう。
イラスト/林 幸
『小一教育技術』2016年11月号より