小3 国語科「秋のくらし」全時間の板書&指導アイデア

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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「秋のくらし」(光村図書)の全時間の板書、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:秋のくらし(光村図書・国語 三 下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立向山小学校・岡崎智子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、秋の暮らしに関わる言葉を集めたり、その言葉にまつわる経験を想起して文章を書いたりすることで、児童の語彙を豊かにすることを目指します。
集めた言葉や経験を文章化することは、経験を想起し伝えたいことを明確にして書く力を育てることにもつながります。

2. 単元の評価規準

 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

「秋のくらし」は、季節の言葉を扱う小単元です。
同様の小単元は、2年生から6年生までの全学年に設定されています。どの学年も春・夏・秋・冬の季節ごとに年4回設定されていますが、紹介されている語句の種類が学年ごとに異なります。

3年生は、暮らしに関わる言葉が出てきます。
衣食住に関わる言葉や風物詩などに触れ自分の生活経験とつなぎ合わせることで、その季節らしさに気付き、実感を伴って語彙を増やしていくことができる教材です。教科書p.32には、文部省唱歌の「虫の声」の歌詞と、秋に関する語句、「新米」を食べたエピソードの文章が例示されています。

本実践では、まず、自分が秋を感じた経験や秋に関するイメージを自由に出し合います。
その後、出てきた言葉を分類し、さらに秋の言葉を集めていきます。言葉を集める際には、経験の想起と併せて、辞書やインタビューの活用など、これまでの国語科の学習で学んだ方法を活用できるようにします。
地域による違いもありますが、秋は、自然や食、芸術や文化、スポーツなど、児童が実際に秋らしさを体験する機会の多い季節です。言葉を集めた後は、自分が見つけた秋らしさとそれを感じたときのエピソードを文章に書き、読み合います。エピソードや生活経験と言葉を結び付けることで、児童の語彙は確かで豊かなものになっていきます。

今回は「秋らしさを感じること」と、広範囲で言葉を集めますが、学級の実態に応じて食べ物などに限定してもよいでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 児童の身近な生活を生かして興味、関心を引き出す

校内の先生方数名に秋らしさを感じる言葉とエピソードを紹介してもらいます。
事前にインタビュー動画を撮影しておき、それを視聴するようにします。教科書に載っているものだけでなく、その他の言葉も紹介してもらうことで、秋らしさを感じる言葉への興味が高まります。

他にもあるのではないかという思いが児童の中に生まれてから、学習の計画を立てたり課題を出したりしていきます。「知りたいな」「やってみたいな」という思いをもつことが主体的な学びの第一歩です。

〈対話的な学び〉 秋を感じたエピソードを出し合う

秋らしいと感じたことを出し合う際には、言葉だけでなくエピソード(いつ、何をしているときに、感じたことなど)も話すようにします。友達の話を聞いて「わたしも、…」「ぼくも、…」と自分の経験を思い出したり、「見てみたいな」「食べてみたいな」という思いを引き出したりすることで、言葉の理解を確かなものにし、言葉への関心を高めることができます。

〈深い学び〉 生活経験と言葉を結び付ける

本単元は、秋を切り口に言葉への興味・関心を高め、児童の語彙を豊かにすることを目指しています。語彙を豊かにするとは、言葉数を多く知ることでなく、自分の経験と結び付けたり他の言葉との関連を考えたりしながら言葉を多面的に捉えていくことです。

児童が秋らしいものを実際に見た聞いたり食べたりする経験ができるよう1週間の取材時間を設け、秋らしさを感じたものを写真に撮りためるようにしておきます。文章に書いて読み合うことで、経験と言葉を結び付けたり、言葉と言葉を関連付けたりしながら捉えていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)言葉の理解を深める

1時間目、秋らしさを感じたことを出し合う中で出てきた言葉の中には、児童にとってなじみのないものもあります。同じ学級の中でも、生活経験によって一人一人知っている言葉が異なります。知らない言葉が出てきたときには、インターネットで画像を検索してみるとよいでしょう。言葉と写真や絵を結び付けることで、新たな言葉を覚えることができます。

(2)出し合った言葉を分類、整理する

秋らしさを感じる言葉を出し合う際に出てきた言葉を教師がカード化し、児童の端末に送ります。
1人1台端末を活用することで、児童一人一人が、カードを動かしながら言葉の分類を行うことができます。デジタル教科書の思考ツール機能や、各自治体で導入されている学習支援ソフト(ロイロノートやオクリンク等)の機能を活用するとよいでしょう。

(3)生活の中で見つけた秋らしさを感じるものを記録する

1時間目の終わりに、「今日から1週間、秋らしさを感じるものを見つけて写真に撮ってみよう」という課題を出します。
意識して生活することで、日常生活の中に潜んでいる秋らしさを見つけることができます。
買い物や外出をしたときに話題にしたり、調理して味わわせたりしてくれる家庭もあるでしょう。
給食は、季節を意識して作られていることが多いものです。献立や食材への注目を促したり味わった感想を話題にしたりと活用できます。体育や理科などで校庭に出る際にも、天気や虫の声など自然の変化を話題にします。
撮りためた写真は、2時間目に文章に書くこと(題材)を選ぶ手掛かりになります。

(4)書いた文章を共有する

2時間目には、選んだ写真の横に文章を書きます。実態に応じて文章をキーボード入力してもよいですし、ノートに書いたものを写真に撮ってもよいでしょう。学習支援ソフトを活用して互いの文章を共有し、読み合うことで、言葉とエピソード、実物とを結び付けて理解することができます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 秋のくらし

【主な学習活動】
第一次(1時
①「虫の声」の詩を音読し、知っていることを出し合う。
② 秋らしいと感じる言葉を出し合う。〈 端末活用(1)〉
③ 出された言葉を分類・整理する。〈 端末活用(2)〉
④ 校内の先生方の「秋らしさを感じたこと」の動画を視聴する。
⑤ 自分たちも集めて紹介し合おうという学習の見通しをもつ。

2時※1時から1週間程度後
① 自分の撮りためた写真の中から、紹介したいものを選ぶ。〈 端末活用(3)〉
② 秋らしさを感じたときのことを3文程度の文章に書く。
③ 書いた文章を読み合う。〈 端末活用(4)〉
④ 単元の学習を振り返る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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