【相談募集中】教員採用試験に落ちたのは、自分には魅力がないから?
筆記も面接も自信があったのに、教員採用試験に不合格となってしまった。合格した人よりも自分の方が点数を取っていたのだから、そもそも魅力のない自分には無理なのか……。ここでは、「みん教相談室」に寄せられた相談への、自身も5度、教員採用試験に不合格となった経験をもつ岩手県公立小学校教諭・古舘良純先生からの回答をお届けします。
目次
Q.筆記試験は問題ないのに教員採用試験に落ちたのは、自分には魅力がないからですよね
教員採用試験に落ちました。筆記と面接です。いつもより自信があっただけにショックです。 同じ校種、教科で受けて受かった人3人に点数を聞いたら、私の方が点数を取っていました。それでも落ちたという事は、私には魅力がないということですよね。 魅力のない私が合格するには、圧倒的な点数を取ればいいのでしょうか? それとも魅力がない時点でそもそも無理ですか? 人間失格と言われたようで、悶々とした毎日です。
(きりんさん・30代男性 特別支援)
A.人生にはタイミングがあります。きっと今が必要な経験なのです。そう思えば、未来が少しだけ明るくなるかもしれません
採用試験の不合格通知ほど、ダメージの大きいものはありませんよね。
私も、通算7度の採用試験を受けました。そのうち、合格したのは2回です。
一度目の合格は、大学を出て講師2年目の年でした。地元の自治体の採用倍率では難しいだろうと判断し、当時倍率の低かった千葉県で合格しました。その時は、2000人受けて1000人が合格したそうです。希望する地元の自治体ではなかったけれど、合格通知を見てほっとしたことを覚えています。
二度目の合格は、35歳の時です。千葉県で11年目の年に、地元である岩手県が、教職教養と論文の二つの試験が免除になる「現職枠採用」を始めました。しかし、33歳で二次試験不合格、34歳で一次試験不合格でした。思い返すと、年度途中での不合格通知は計り知れないダメージだったことでしょう……。3度目の正直で受けた35歳の年、やっと合格通知をもらいました。約6倍でした。
さて、本題に入ろうと思います。
人間失格と言われたようで悶々とした毎日を送っているきりんさんへ。きっと、人生にはタイミングがあります。そのタイミングというのは未来のことですから、今はわかりません。いつ訪れるのかもわかりません。でも、必ず訪れると思っています。
例えば、私が本来希望する地元の自治体ではない千葉県の採用試験に合格したことです。私はその年、「ちょこっとスキル」(明治図書出版)を一緒に書いている髙橋朋彦先生と出会いました。初任研が同じ。年齢が同じ。しかも同じ班で1年間研修を受けました。これは運命としか言いようがありません。きっと私は、朋彦先生と出会うために、千葉県採用になったのだと思います。
私が千葉県に出る時、祖母は猛反対しました。「長男を外に出すな。近くに置け」と言って母に説教するほどでした。二度目の合格通知をいただき、岩手県での採用が決まった数か月後に、祖母は他界しました。きっと祖母は、私が岩手に戻ることになり、安心したのかもしれません。帰省した際に真っ先に手を合わせにいきました。
さらに、私が改めて初任者として着任した学校は、その年に学校公開を控えていました。そこで共同研究者として助言してくださっていた講師の先生が、私の中学校の恩師だったのです。全県異動が常の岩手県でたまたま出会う。これはもう、巡り合わせとしか思えませんでした。中学校時代に散々迷惑をかけた先生でした。まさか着任した学校で再会し、仕事をしている姿をお見せできるとは思ってもいませんでした。本当に嬉しかったです。
きりんさん、採用試験の不合格通知ほど、ダメージの大きいものはありませんよね。でも私は、今振り返ってみると、不合格には意味があったんだなと思えます。きっと、私に必要なタイミングで合格通知が届いたのだと思います。
ですから、魅力があるかないか、人間失格かどうかではなく、きっときりんさんにとって今が必要な経験なんだと思います。そう思えば、もしかしたら未来が少しだけ明るくなるかもしれません。
会ったこともない、名前も顔も知らないきりんさんですが、いつかそのタイミングが来たらぜひご連絡くださいね。いつまでも、心待ちにしております。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。