小3国語「山小屋で三日間すごすなら」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「山小屋で三日間すごすなら」です。単元目標は「対話の練習」です。そのため、考えをいろいろと出し合う、みんなで決める、話し合いの言葉を知るなど、目標の手がかりになる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子

 

教材名 「山小屋で三日間すごすなら」(光村図書)

単元の計画(全3時間

1 「山小屋で子供たちだけで三日間すごすなら」という話題を確認し、「グループでの考えを広げたり、まとめたりする話し合い」の仕方について理解する。
2 各グループで、山小屋でしたいことや持ち物について話し合い、持ち物を5つ選ぶ。
3 各グループの話し合い結果を発表する。学習を振り返る。

板書の基本

〇まず、「山小屋で三日間すごすなら」という題名がおもしろいという感想をもちました。次に、「対話の練習」という学習活動に興味がわきました。そこで、子供たちとともに学習の進め方を考えました。手がかりにしたのは、本文の「1.グループで、したいことと、持っていきたい物をたくさん出し合いましょう。」「2.みんなでしたいことを決めて、グループで持っていくものを五つまでえらびましょう。」です。

〇「対話の練習」は、対話が楽しい学習活動であることに気付かせました。そして、学習が終わった後にどんな力を習得したのかを理解することが大事であることを理解させました。

〇板書は、3段階に分けました。

第1段階は、テーマを決める段階です。考えをいろいろと出し合うことを大事にしました。さらに、対話の練習ですから、「私の話を聞いてください」「それは、気が付きませんでした」など、対話に広がる話し方も指導しました。

第2段階は、みんなで決めることです。「考えを広げよう」と板書しました。話し合いの大体を共有することを目的に板書しました。

第3段階は、「対話の練習」で大事にしていくことです。この段階のまとめは、これからの学校生活や授業で活用したい、活用してほしいという意図もあり、カードに書いて貼りました。

板書のコツ(1/3時間目前半)

小3国語「山小屋で三日間すごすなら」京女式板書の技術 板書
1/3時間目前半の板書

 板書のコツ①

日付を板書し「めあて」である「対話の仕方を学ぼう。」と板書しました。題名は後から板書するので、1行分空けて、めあてを板書しました。

教科書に示している学習活動の進め方を読みながら、テーマを決めることから始めました。テーマを示した後、題名を板書しました。

板書のコツ②

学習活動は、グループで考えを出し合うことが多くなります。子供の意識は話題のおもしろさに集中する傾向がありました。そのため、グループの活動の様子を共有することを目的に、板書で話題を明確にしました。

板書のコツ(1/3時間目中盤)

小3国語「山小屋で三日間すごすなら」京女式板書の技術 板書
1/3時間目中盤の板書

板書のコツ①

「考えを広げよう」と板書し、学習活動の目的を考えさせました。「みんなでしたいことを決める」ということを確かめました。

板書には示しませんでしたが、次のことを考えさせました。

①したいことを提案する場合は、活動の様子と理由が分かるように話すこと。
②したいことが同じの場合は、黙っていないで、賛成の理由を話すこと。
③したいことが違う場合は、活動の様子と理由、違うところのよさなどを入れて話すこと。
④話が分からない場合は、質問することを初めに言ってから尋ねること。

など、「対話は、参加することが前提」であることを理解させました。

板書のコツ②

教科書の事例では、持ち物はグループで5つまでの条件があります。教科書の事例を真似て、川遊びで必要な持ち物を発表する時間を設けました。ベン図を活用して、2つの遊びができる持ち物を理解させました。

板書のコツ

「対話の練習」を意識させるために、「付け加えて話します」「意見を言います」「聞いてください」「質問です」など、グループで話すときに大事にしていることを使うことができているかどうかについても考えさせました。話し合い状況が上手に説明できたグループの話題を板書にしました。「対話の練習」を意識させることを目的にしたからです。

板書のコツ(1/3時間目後半

小3国語「山小屋で三日間すごすなら」京女式板書の技術 板書
1/3時間目後半の板書

板書のコツ①

授業のまとめで大事なことを色画用紙に書き、黒板に構造的に貼りました。繰り返し、子供たちに確認したことは、「対話の仕方」が理解できているかということと、対話に参加しているかということです。そして、対話を意識して学習したことの楽しさに気付いてほしいと考えました。その考えを板書にしました。

板書のコツ②

対話の仕方を色画用紙で示しました。対話の練習として「①考えを出そう」では、Aさん(ピンク色)が自分の考えを発表し、次にBさん(水色)が自分の意見を発表しました。Cさん(黄色)は、司会役として考えを聞いて、メモすることを示しました。

「②話し合おう」では、Bさんは、Aさんの考えを受けて感想を伝えた後、自分の考えを話します。次は、AさんがBさんの考えを受けて感想を伝え、自分の考えを話します。それを繰り返しながら、グループの考えを整理しまとめます。

 

構成/浅原孝子

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