宿泊行事で「キャンプファイヤー崩壊」させない工夫

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大阪府公立小学校教諭

松下隼司

高学年の宿泊的行事(5年生の林間学校・臨海学校)では、夜に「キャンプファイヤー」を行う学校が多いかと思います。しかし、子どもたちの実態によっては、事前指導を十分にしていても、例年通りに楽しく進まないことがあります。レク担当の子どもだけが一生懸命で、まわりの子どもたちは参加せずに好き勝手……。「ちゃんと話を聞いて!」と教師が注意してまわっても、効果がない……。楽しいはずのキャンプファイヤーが苦痛な時間になってしまい、「学級崩壊」ならぬ「キャンプファイヤー崩壊」が起こってしまうのです。そこで今回は、子どもにとっても教師にとっても、楽しいキャンプファイヤーの時間にする工夫を紹介します!

指導/大阪府公立小学校教諭・松下隼司

劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子どもも指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらうコーナーです。

レクをしている人に集中する

楽しいキャンプファイヤーにするために大切なのは、炎ではなく、レクをしている人に集中すことです。

子どもたちの実態によっては、炎を中心にした円の形(下の図)でレクをすると集中できず、レクが崩壊する危険があります(私は経験があります)。

レク担当の人の話を聞かないで、炎や星空、近くの友達しか見ないからです。

というのも、円の中心の炎が死角になり、レク担当が視界に入らない子どもが必ず出てくるのです。見えないだけでなく、聞こえない子どももいます。大きな音を立てて燃え上がる炎の音が邪魔になってしまうからです。歌を歌うときも、屋外なので歌声が分散しやすく、盛り上がりに欠けてしまいます。

①活動班ごとに縦1列で並ぶ

そこで、学年の実態が難しい場合は、円形ではなく、活動班ごとに縦1列で並ぶことをおすすめします。

下の図のように、班ごとに縦1列で整列すると、どの子どもからもレク担当の姿が見え、聞きやすくなります。歌声も集まりやすく、教師の指示も通りやすくなります。

②星空・炎の観察をレクの前に行う

都会ではあまり見られない美しい星空や炎、都会で見るものより大きい昆虫などに見とれてしまうのは、子どもなら当然です。

「空や炎を見ないで、レクに集中して参加して」と指導しても、子どもにとっては難しいものです。

そこで、キャンプファイヤーを始める前に、空やまわりの景色を見たり炎を見たりする時間をとります。そうしてからの方が、レクに集中することができます。

子どもたちには、普段の生活では出合うことのない景色や炎などの自然を満喫する時間も、たっぷりとってあげましょう。

③最初は教師がレクをする

学校で事前にレクの練習をするかと思います。それでも、実際にキャンプファイヤーの場でレクをさせるとうまくいかないこともあります。学校と本番の設定が全然違うからです。

星空や炎の美しさやバチバチと炎が燃える音に負けないでレクを進めるのは、大人でも難しいでしょう。 

そこで、子どもたちの実態によっては、一発目のレクは教師が担当することをおすすめします。ぐっと子どもを巻き込んで楽しいレクをしてから、レク担当の子どもに任せます。

その後に続くレクも、子どもの実態に応じて、教師が入ります。子どもがダレそうだと感じたら、教師が代わりにレクをします。レクを楽しむ雰囲気づくりを教師が行ってから、レク担当の子どもに返します(めちゃくちゃ大変な学年の場合は、教師がずっとレクをした方がいいかもしれません)。

急に教師が介入してレクをするのは、子どもたちにとっても付き添いの先生方にとっても、戸惑いがあるかもしれません。

そこで、「先生のレク」→「子どものレク」→「先生のレク」→「子どものレク」→「先生のレク」……、と交代でやることを事前に決めておくと、安心してレクを進めることができるかと思います。

今回は、拙著『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)から、学年の子どもたちの実態がむずかしい場合のキャンプファイヤーの工夫を3つ、紹介させていただきました。

  • 活動班ごとに縦1列で並ばせる。
  • 星空・炎の観察を、レクの前に行う
  • 最初は教師がレクをする

子どもたちにとっても先生方にとっても、楽しいキャンプファイヤーの時間にしましょうね!

松下隼司先生

松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。

イラスト/したらみ

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