【相談募集中】子供よりも周りの先生の目を気にしてしまいます

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愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

今年度3年目の先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。子供たちより、周りの先生たちに良い教師と思われたいという欲が先行してしまい悩んでいるそうです。似たような経験があるという愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦先生によるアドバイスをこちらでシェアします。

悩んでいる先生
イラストAC

Q. 子供よりも周りの先生の目を気にしてしまいます

今年度3年目の者です。はたからみると「大変な学年」という子供たちを持たせていただきました。実際大変なところはあるものの、これまでの先生方のご指導や子供たちの素直さでなんとかやってこられました。

しかし職員室の一部の先生(その子たちの大変だった頃を知っている担任)や新しくきた先生方は「あの学年は問題がある」「あの子たちは悪い子たち」と今の現状を見ず、イメージと伝聞で語っています。

私が強ければ「そんなことない! 立派に卒業させてみせる!」となるのかもしれませんが、そうではないので、「いくら子供たちが頑張ってもイメージで語られて悪評が多いなら、もうこの子たちを持ちたくない」と思っている自分がいます。

子供たちが何を望むかはわかりませんが、来年度の学年の希望調査において子供の感情ではなく「周りの先輩方からどう思われるか」「良い学級を築いていると思われたい」といった欲が先行してしまいます。情けないです。なにかアドバイスをいただけましたら幸いです。(バン先生・20代男性) 

A. 子供は自分と「向き合ってくれる先生」を求めています

ご質問いただき、ありがとうございます。バン先生の「周りの先輩方からどう思われるのか、良い学級を築いていると思われたいといった欲が先行している」という葛藤に、強く共感しました。私にも似たような経験があります。

それどころか、そういった自己分析ができないまま、必要以上に統率しているところを見せたり、逆にうまくいっていない部分を隠してしまったことがたくさんありました。わざわざ良くできた掲示物を、他の先輩方の目につきやすいところに貼ったこともあります。

きっと私だけでなく、そういった自分の学級がうまくいっていることを顕示したい気持ちをもたれたことがある方は多いのではないでしょうか。ですから、ご自身でそれではいけないと省察されているバン先生は、きっと素敵な先生なのだろうなと思います。

ご相談を読ませていただいて、こうした欲とうまくつき合いながら、周りの先生方の目ばかりを意識するのではなく、子供たちと向き合いたいとお考えなのではないかと感じました。少しでも、その気持ちを後押しできたらと思っております。

先ほど申し上げたように、ついつい周りの目ばかりを気にしてしまっていたことが私にもありました。いや、今でもそういった気持ちは残っています。その葛藤は何度となく訪れます。

例えばカンタ君という児童がいたとします。カンタ君は学習にもまったく取り組まず、いつも机に突っ伏したまま。勉強をやろうと問いかけても「うるさい」の一点張りです。そんなカンタ君が「お~い○○、虫がいた!」とこちらに走ってきました。先生のことを呼び捨て、言葉遣いも良くありません。しかもここは走ってはいけない廊下です。そんな様子を他の先生たちはあまりよくない顔で見ています。

このままでは、統率力のない甘い先生として見られてしまいます。「ここは廊下です。走りません」「言い方を直しましょう」と厳格な指導をするのが良いでしょう。この「問題児」に好き勝手させていない瞬間を他の先生方に見ていただくチャンスです。

しかし、この「良い教師と思われていたい」という思考の枠組みによって、見えなくなってしまうものがあります。カンタ君の前向きな変容です。まったく学習にやる気を見せなかったカンタ君が、初めて理科の観察に夢中になったのです。そしてその虫を見つけた喜びを先生に伝えにきたのです。このカンタ君のストーリーが見えるのは、きっと毎日そばにいる先生だけです。そして、学校にうまく適応できていない子供に寄り添っていくと、このように学校のルールを一度脇に置いておいた方がいい場面が訪れます。

職員室の先生方の方を向いているか、子供たちの方を向いているのか。それによってきっと選択が変わるのだと思います。そしてカンタ君のような子供たちはそんな先生の視線を確かめるように見ています。きっと自分と「向き合ってくれる先生」を求めているのだと思います。

もちろん、子供たちと向き合うことが、職員室の先生方を無視することとつながるわけではありません。子供たちとの関わりを相談してみたり、逆に話を聞いてみたりするうちに、こちらの思いを理解してもらい、協力が得られるようになることもたくさんあります。

きっと大変だと言われてる子供たちをうまくまとめながら、職員室の先生方のことも大切にしようとされているバン先生ですから、これからもきっと、子供たちのことを大切にしながら、職場の先生方とも良い関係を築いていけることと思います。今回私の一例が、その一助になっていれば幸いです。


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