小5らくらくUnit 1「Hello, friends.｣①【モトヨシ先生のスライドde外国語】

連載: モトヨシ先生のスライドde外国語（活動）～パワポで楽しくらくらくICT授業

2023.03.30

スライドは学級の実態に合わせて修正して使いましょう

小学５年生の「NEW HORIZON Elementary English Course 5」のUnit 1「Hello, friends. ～自分の好きなもの・ことを伝えよう～」全８時の１時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント（スライド）を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。

パワーポイント（スライド）を使った授業の進め方

この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで１時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。

クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。

目標と授業の流れ

○単元のゴール
自分の名前や好きなものを書いて名刺を作り、友達とやり取りをして名刺交換しよう。
○本時の目標
名前や好きなもの、誕生日についての英語を聞いて、だいたいの内容を理解しよう。

単元の評価規準（クリックすると各領域の評価規準が表示されます）

【聞くこと】
●知識・技能
〈知識〉
・I’m ～. My name is ～. What ～ do you like? およびその関連語句などについて、理解している。
〈技能〉
・名前や好きなもの・ことなどについて、聞き取る技能を身に付けている。
●思考・判断・表現
・相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、短い話の概要を捉えている。
●主体的に学習に取り組む態度
・相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、短い話の概要を捉えようとしている。
・外国語の背景にある文化に対する理解を深めるために、日本在住の外国出身の人について、短い話の概要を捉えようとしている。

【読むこと】
●知識
アルファベットの活字体の大文字について、理解している。
●技能
アルファベットの活字体の大文字を識別したり、その名前を発音したりする技能を身に付けている。

【話すこと】
●知識・技能
〈知識〉
I’m ～. My name is ～. What ～ do you like? およびその関連語句などについて、理解している。
〈技能〉
I’m ～. My name is ～. What ～ do you like? およびその関連語句などを用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合う技能を身に付けている。
●思考・判断・表現
自分のことを伝え、相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合っている。
●主体的に学習に取り組む態度
自分のことを伝え、相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合おうとしている。
外国語の背景にある文化に対する理解を深めるために、自分の名前について、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合おうとしている。

【書くこと】
●知識・技能
〈知識〉
アルファベットの活字体の大文字について、理解している。
〈技能〉
アルファベットの活字体の大文字を書く技能を身に付けている。

○言語材料
（表現）I’m ～. I’m from ～. I like ～. My birthday is ～. など
（語彙）アルファベット、国（America など）、動物（bear など）、月（January など）、日付（first）など
○Do you have (a pen)? Yes, I do. / No, I don’t.

本時の流れ（例）

挨拶
ウォームアップの活動（サイモン・セズ、数字ジャンケン、ゴースト・ゲーム）
単元のゴール、本時のめあての確認
デジタル教科書Enjoy Communication
デジタル教科書Starting out
デジタル教科書Let’s Watch and Think
Clapping Game・Touch the color Game
スモールトーク（色）Picture Dictionary
自分の名前を確認しよう
ふり返り

各活動の流れ

①挨拶

５年生の初めての授業です。元気に明るく挨拶をして、児童にHow are you? How’s the weather? などの質問をしてみましょう。

②ウォームアップの活動

５年生最初の授業なのでウォーミングアップとして、サイモン・セズ、数字じゃんけん、ゴースト・ゲームなど行ってみてください。サイモン・セズとゴースト・ゲームのやり方は、スライドに説明アニメを入れてあります。じゃんけんゲームのやり方はこちらの記事で確認してください。

サイモン・セズのやり方説明アニメ

ゴースト・ゲームのやり方説明アニメ

数字じゃんけん（パワーポイントとワークシートは記事の最後でダウンロードできます）

③単元のゴール、本時のめあての確認

④デジタル教科書 Enjoy Communication（P14）

デジタル教科書 Enjoy Communicationの動画を視聴し、児童が本単元で扱う表現を知り、学習の見通し（名前や好きなもの・ことを友達に伝え、友達と名刺を交換しよう｡）をもてるようにします。動画を視聴させたら、どんな話をしているか、ペアで話し合わせるとよいでしょう。日本語でも英語でも、やり取りの内容を児童に聞くことができます。実態に合わせて行ってください。英語で聞く場合は、以下のように児童に質問してみてはいかがでしょうか。

Now, let’s watch the movie.

ビデオを視聴します。

（ビデオの試聴が終わったら）Now, I have 4 questions.
（女の子を指さして）What is her name? What sport does she like?
（男の子を指さして）What is his name? What sport does he like?

Now, let’s watch the movie one more time.

このように視点を与えて、２回目のリスニングを行うとよいでしょう。もちろん視点を最初に与えてもいいでしょうし、１度目の視聴後の児童の様子から、２回目の視聴は必要ないと教師が判断できる場合は、すぐ質問に移ることもできると思います。児童の反応から、何がベストな進め方かを判断するとよいでしょう。

いずれのやり方で進めた場合でも、｢単元のゴールは何か」が児童から出るように問いかけてみましょう。

では、この単元でのゴールはどんなことができるようになることかな？

自分の名前や好きなことを伝えて、名刺交換をすることです。

単元末のゴールは、学校や学級の実態に合わせて設定しましょう。言語活動の必然性があるか、児童が「やりたい」｢できそう」と思えるか、などを考慮して、児童とともに考えられるとよいですね。
＜例＞
○初めて会うALTの先生に自分たちのことが伝わるように、自己紹介をしよう。
○転入生が学校生活に早く慣れるように、自分たちのことを紹介しよう。
○新しい学級の友達のことを知るために、お互いの好きなもの・ことを伝え、名刺交換をしよう。
（クラス替えをした場合）
○初めて会うALT（オンライン）に自分のことを知ってもらえるように、自己紹介をしよう。
私自身、外国語を指導していておもしろいなと思うことの１つが、この単元ゴールの設定です。児童の実態はそれぞれの学校で違います。上記に述べたように、５年生でクラス替えがある学校もあるでしょうし、ALTの先生が４月から新しくなる場合や転入生が来る場合もあります。以前、私の学級に転入生が来たときに、好きなことや嫌いなことのインタビューをペアで行った際、その児童の感想に「まだ話したことがなかった友達の好きなことを知ることができてうれしかった」と書いてありました。担任をしていれば、外国語科以外の時間の児童のつぶやきなどから単元ゴールへ導くこともできると思います。これは、小学校の先生方が上手にできることですね。ぜひオリジナルのゴールを設定し、授業を進めてみてください。

なお、単元のゴールを児童と共に考えたり、実態に合わせて設定したりした場合は、評価規準もそれに合わせて変更してください。上記の評価規準は指導書からの記載になりますので、自校化することが大切です。

Unit 1～Unit 3 の学習を終えると、３つの単元で学習したことを統合して活用する Check Your Steps の学習が用意されていて、｢初めて会う外国人に自己紹介をしよう！」というゴール設定がされています。４月の段階で、１学期のゴールを児童にイメージさせておくことも手立てとなります。

⑤デジタル教科書 Starting out（P10）英語を聞いて、場面の順に□に番号を書こう。

教科書のリスニングです。児童ができたと感じられるように、視点を与えながら進めていきましょう。デジタル教科書には映像用のクリックと音声用のクリックがあります。どちらを活用するかも先生の判断になります。私は１、２、３問目は映像を見せて、４、５問目は音声のみという使い方をよくします。児童には難しいと教師が判断した場合は、映像を見せた後に音声を流すことも可能でしょう（ただし、この進め方の場合、児童がデジタル教科書の画面を見られる状態だと答えが丸見えですので、画面を隠すなどの工夫が必要です。それが難しい場合は、通し再生を活用します）。

Open your textbooks to page 10 and 11.
Now let’s listen. （通し再生をクリック）

通し再生のNo.1～No.5を再生し終えたら、

Now, let’s check the answer. No.1’s answer is A, B, C, D or E?

Excellent. How about No.2’s answer?（No.1の時と同じ要領で進めてみましょう）

次に、下に示したような質問を提示し、もう１度リスニングをさせてみることもできます。この場合は、通し再生ではなく、各映像の音声のみの再生ボタンをクリックすることで、１問ずつ行うこともできます。ある程度のまとまった話を聞いているので、すべてに関する質問をするのでなく、内容をしぼって質問をするとよいでしょう。

Now, let’s listen to No.2 again. I have four questions.
What’s her name?
Where is she from?
She plays the_____?
She doesn’t play the_____?

音声を再度聞いたら、児童に上記の質問をしましょう。同じように３問目、４問目もできます。単元のゴールのビデオ視聴のときも、同じ方法で聞く視点を与えて質問しているので、児童もスムーズにできると思います。ただし、３問すべて行うのではなく、ここもクラスの実態に合わせて行うことをおすすめします。

⑥デジタル教科書 Let’s Watch and Think（P11）

教科書のP11の問題を行う前に、ALTと２人で似たような形で行っておくのもよいでしょう。身近な存在のALTの映像を見せることで、児童も活動に取り組みやすくなると思います。その後に教科書の２問を行いましょう。必要に応じて、スライドで以下のように提示してもよいでしょうし、同じような内容を板書しておくのも支援となります。

もちろん、児童の実態に応じて必要があれば、支援する形をとることが大切ですので、１回目は音声のみで聞かせてもよいでしょう。実態に合わせて行ってください。

本時のここまでで、単元のゴールの映像視聴やリスニングなど、Check your steps「外国人に自己紹介をしよう！」で使用する表現が繰り返し登場してきます。７月には、友達やALTの先生に自分のことを紹介する場面を児童がイメージできるように、指導者は意識的にゴールをイメージさせ、声をかけていきましょう。

⑦Clapping Game, Touch the color Game

Clapping GameとTouch the color Gameについては小３ Unit 4 で同じ活動の説明をしています。そちらで確認してください。

⑧スモールトーク（色）Picture Dictionary（P6, P7）

Now, open your Picture Dictionary to page six and seven.
Let’s talk about your favorite colors.

Now watch our demonstration.

と言って、ALTの先生とのやり取りを見せましょう。

私がALTと行っている動画を入れてありますが、非表示にして、先生ご自身で同じようにデモンストレーションをして、児童に提示してみましょう。

Now, it’s your turn. Make a pair and ask each other your favorite colors.

座席を移動させたり、教室内を歩き回ったりさせて、インタビューを行いましょう。このような活動を何度も行ってきている場合は、食べ物やスポーツなどのテーマでも行えると思います。

⑦⑧のような活動、インプットや復習に関しては、私は朝の会の時間に取り入れたり、ちょっとした隙間の時間に扱ったりして、ゲーム感覚で行うようにしています。インプットを授業外で行うと、アウトプットの時間を授業で多く扱えるのでおすすめです（専科として外国語を教えていたときは、それが難しいので取捨選択をする必要がありました）。

⑨自分の名前を確認しよう

１時目の授業で、児童の名前が４線上に書かれたカードを配付して、教科書の最初の見開きページに貼らせます。最初の見開きページは１年間使うので、おすすめです。児童が慣れるまでは、よくこのページに戻り、名前のスペルを確認している姿が見られました。ALTに協力してもらい、児童の名前のお手本を準備しておきましょう。

⑩ふり返り

単元のゴールを設定したらCan-Doリストを作成してふり返りを行います。本時の学習の感想を全体で共有しましょう。

居村啓子（いむらけいこ）
拓殖大学外国語学部英米語学科教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得｣、｢フレーゾロジー｣。

本好利彰（もとよしとしあき）
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。 2023年より東京書籍の会員制教育情報サイト「東書Eネット」にて実践事例、指導技術などを連載中。