手書き卒業文集は、文字の「大きさ」と「濃さ」に気を付けよう【卒業文集の指導②】
卒業文集の文章を手書きで書く場合、原稿用紙に下書きする際に気を付けるべきポイントは、文字の「大きさ」と「濃さ」。ひらがなの正しい書き方をおさらいした前回に引き続き、今回も卒業文集の指導アイデアを紹介します。
☆前回の記事もあわせてご覧ください。
手書き卒業文集は、ひらがなの書き方確認から始めよう!【卒業文集の指導①】
劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子どもも指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらうコーナーです。
指導/大阪府公立小学校教諭・松下隼司
下書きは、マス目いっぱいに大きく、薄い字で
手書きで卒業文集を書く場合、原稿用紙の使い方において大切な指導があります。普段の作文の授業ではしない、卒業文集ならではの2つの指導です。
1 下書きは、マス目いっぱいに大きく書く
普段、作文を書くときの原稿用紙はB4サイズを使うことが多いかと思いますが、卒業文集の原稿用紙は小さいものを使います。B4サイズの1/4ほどです! (印刷・製本などにかかる費用を抑えるためだと思います)。
そこで、普段よりマス目いっぱいに、大きな字で書くことを子どもに意識させる必要があります。
言葉がけ
高学年になると、少し前までは大きな字で書いていたのに、とても小さく文字を書くようになる子どもが出てきます。普段の授業の中で、適切な大きさで文字を書くように指導することが大切です。字の大きさについて意識させる言葉がけは、どうするとよいでしょうか?
△「大きな字で書いてね」
……“大きな字”と言っても、一人ひとりの感覚が違うので分かりにくさがあります。
○「マス目いっぱいに大きく書いてね」
……「マス目いっぱい」という言葉の意味をとらえにくい子どもがいるかもしれません。
◎「字がマス目に触れるぐらい大きく書いてね」
……「マス目に触れる」とすると、より理解しやすくなると思います。
◎◎「字がマス目に触れるぐらい大きくね」と言って、教師が黒板に実際に書いて見せる。
……視覚的にも分かりやすくなります。
◎◎◎「字がマス目に触れるぐらい大きく書いてね」と言って、教師が黒板に実際に書いて見せる。しかも、良くない例として、小さな字も見せる。
……良い例・良くない例があって、さらに分かりやすくなります。良くない例の小さな字をめちゃくちゃ小さく書くと、子どもたちは楽しんでくれますよ。
2 下書きは、薄い字で書く
普段、私は、字を「濃く」書くように指導しています。特に印刷する場合は、薄い字だと、きちんと印刷できないことがあります。でも、卒業文集は、「薄く」下書きをするように言葉がけをするのです。
その理由は、下書きをペンでなぞった後、下書きを消さないといけないからです。
下書きが濃く書いてあると、消しにくくなります。強く消しゴムでこすりすぎて、ペンで書いた字も薄くなってしまったり、鉛筆の跡が残ってしまったりすることもあります。
これも、教師が板書して見せると子どもに伝わりやすくなります。
黒板に、チョークで字をめちゃくちゃ濃く書いて、黒板消しで消しても跡が残るのを見せたり、限界まで薄く書いたりすると、楽しくなりますよ♪
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手書き卒業文集は、ひらがなの書き方確認から始めよう!【手書きの卒業文集の指導①】
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。
イラスト/したらみ 横井智美