小4国語「もしものときにそなえよう」指導アイデア

教材名:「もしものときにそなえよう」(光村図書四年下)

指導事項:〔知識及び技能〕(1)カ 〔思考力、判断力、表現力等〕B(1)ウ・オ
言語活動:ア

執筆/神奈川県公立小学校指導教諭・荒木昭人
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、大妻女子大学准教授・樺山敏郎

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元では、自分の考えを明確に伝えるために、それを支える「理由」や「事例」との関係を明確にして、書き表し方を工夫する力を育成します。

また、書いた文章を読み合い、文章に対する感想や意見を伝え合う活動を取り入れ、その中で書こうとしたことが明確に表現されているところを見付ける力を育成します。文章を読み合う際には、書き終えた文章だけでなく、書く過程で作成した構成メモなども活用することで、目的が達成されたかどうかを確認するようにします。

②言語活動とその特徴

事実やそれを基に考えたことを書く活動を設定します。自分の考えを明確にするのはもちろんのこと、それを支える理由や事例としての事実との関係を明らかにして書くことが必要になります。

また、目的や読み手を意識し、段落相互の関係に注意して文章の構成を考えることも大切です。「はじめ」「中」「終わり」のような組み立てを意識したり、「はじめ」と「終わり」には自分の考えを書くという「双括型」で書いたりする工夫などが考えられます。

単元の展開(10時間扱い)

主な学習活動

第一次(1・2時)

①学習の見通しをもつ。
・自然災害への備えについて知っていることを出し合う。
・書くことに関する学習をふり返り、学習課題を設定する。

【学習課題】自然災害への備えについて考えたことを書き、読み合おう。

②学習の計画を立てる。
・教科書教材「もしものときにそなえよう」の事例がどのように書き表されているかを検討する。
→アイデア1

第二次(3~7時)

③テーマを決める。

④決めたテーマに関する情報を集める。

⑤調べたことを整理する。

⑥段落の役割について理解し、文章の組み立てを考える。
・構成メモを作成し、各段落に書く内容についてまとめる。
→アイデア2

⑦自分の考えをまとめた文章を書く。
・主語と述語の関係や指示する語句と接続する語句の役割などを確認しながら、まとめの文章を書く。

第三次(8~10時)

⑧ 書いた文章を読み返し、修正する。

⑨ 友達と文章を読み合い、感想を伝え合う。
→アイデア3

⑩ 学習をふり返る。

アイデア1 他教科や総合的な学習の時間と関連させたテーマの設定

書くことの学習においては、書く目的を明確にするということが重要です。目的を明確にするためには、他教科と関連させてテーマを設定することが有効です。例えば、社会科では、第4学年について【(3)自然災害から人々を守る活動】という内容が設定されています。また、総合的な学習の時間で「防災」をテーマにした学習に取り組んでいる学校もあるでしょう。

他教科などで行った施設見学や体験活動などを通して、自然災害が身近に起こり得るものだと実感した子供は、「学習したことを書いて伝えたいという思い」と「文章に書いたほうがいい情報」の両方が充実した状況で学習に臨むことができます。

他教科との関連をより充実させるためには、他教科で収集した情報を蓄積しておくことや、本単元を実施する時期を工夫することを意識しましょう。

アイデア2 「考え」と「事例」「理由」を明確にする構成メモの活用

本単元で身に付けたい資質・能力は、指導事項ウ「自分の考えとそれを支える理由や事例を明確にして、書き表し方を工夫すること」です。この力を身に付けさせるためには、「考え」「理由」「事例」の関係を理解したうえで、それぞれを明確にすることです。そのために、下のような構成メモを活用し、文章に書く内容を具体化する方法が考えられます。

▼構成メモ例

構成メモ例

この構成メモには、子供に使わせたい「キーワード」を示しておくことも有効です。構成メモで整理した内容をまとめとして書く文章に落とし込んでいく際は、文の形を変えていく必要も出てきます。その際に、これらのキーワードを参考にして書くことで、「理由」や「事例」といった文章の構造を意識しながら工夫して書く力の育成につながっていくのです。

アイデア3 文章を読み合う意欲を高める「防災作文コンクール」の設定

友達の書いた文章を読み合い、書きたいことが伝わるかどうかを確かめるようにします。ただ、文章を読み合うのではなく、視点を設定することにより、友達の文章を読む意欲を高め、その文章の良さを捉えなければならない状況をつくり出すことができます。読み合う際の視点を設定することで、その文章の良さが捉えやすくなります。

▼防災作文コンクール「しんさのしてんを意しきして、友だちの作品をひょうかしよう」

防災作文コンクール「しんさのしてんを意しきして、友だちの作品をひょうかしよう」

また、審査の対象をまとめとして書いた文章だけでなく、構成メモなどにも広げることで、書き手の意図をより確かに捉えながら読むことにもつながります。

さらに、ICT端末などを活用して、書く過程で使用してきたワークシートを写真に撮り、個人のフォルダに保存しておくことで、学校のネットワークを利用し、個人の端末を使って多くの文章を容易に読めるようにする工夫も考えられます。ただし、個人情報の取扱いには注意が必要なことに留意してください。

『教育技術 小三小四』2022年2/3月号より

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